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わたしは愛される実験をはじめた。第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」

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【読むだけでモテる恋愛小説41話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない?」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」

 いよいよ。タイガー(モテる男子)のテラサキさんを狙うのだ。

「それで、いまLINEはどうなってるの?」 

「合コンのあとに全体のグループができて、そこでみんな挨拶したくらいです」

「あなたから、そのターゲットのテラサキにLINEはした?」

「してません」私はフランソア喫茶室のカップを両手でとりながら首をふった。「なにを送ればいいかもわからなくって。そのまま二日くらい経っちゃった感じです」

「なるほどね」ベニコさんはクスリと笑った。ぽっちゃり体型ながら、ワンカールした黒髪、欧米風メイク。ブラックスーツを着て、あいかわらずアメリカンドラマのキャリアウーマンという感じだった。「やるじゃない」

 私は皮肉かなと心配になった。「やっぱり送るべきでした?」

「悪くないわ」ベニコさんは首をふった。「合コンのあとのLINEは後日にすべしという〝遅れてきた存在感の法則〟になってるから。相手をしてもらえる可能性が高くなる。特にタイガーは、合コンの夜に女からLINEが送られてくるなんて何度も経験してる。むしろ〝こいつも俺を好きなんだろうな〟と確信されると──ポジションが一気に下がるわ

「こわい」私のカップの珈琲がビクッとゆれた。

「これだけは肝に銘じておいて」ベニコさんはいった。「タイガーを狙うには〝こいつは他の女と違うかもしれない〟と感じさせることが重要なの」

「他の女と違うかもしれない──ですか?」

「多くの女から言い寄られてきたタイガーだからこそね。これが普段女の寄ってこないフィッシュ(モテない男性)なら女がアクションすること自体を武器にできるけれど。タイガーにとっては日常茶飯事。いかに〝ほかの女と違うか?〟をアピールしなければいけない

「そっか」私はいった。「タイガーを狙うってことは、私と相手の関係だけじゃなくて、他のライバルのことも考えなくちゃいけないってことなんですね」

「常に無数の女と比べられているのよ」ベニコさんはうなずいた。「いまも他の女にアプローチされてるって考えていいくらい──その女との勝負でもある。だからパンケーキ女がよくやる何がいいたいのかもよくわからないまま突然デートに誘って玉砕するみたいなグラニュー糖のように甘ったるいアプローチなんかしてる場合じゃないわ」

 私はレトロな照明の天井をみた。イケメンを手に入れるためだからか、いつもより頭が回転している気がした。「ほかの女と違うってみせつけるアプローチがいるんですよね?」

「オフコース」

「それって難しくないですか? だって、私、ただのパンケーキ女ですよ?」

 沈黙した。どこかのテーブルで珈琲に角砂糖をいれる音がした。

「自分でいって悲しくならない?」

「すっごいなりました」

「安心なさい」ベニコさんは特にフォローもしてくれなかった。「モテる男だからといって女の心のなかまで見透かせるわけではないから。いい? 私たちが〝相手はこういう人間だと思う〟というとき、それは〝相手のふるまいからそう判断した〟だけなのよ。だから〝他の女と違う〟と思わせるふるまいさえすればいい──まさに恋愛認知学のセオリーどおりね」

「なるほど。そっか、そうですよね」私はうなずいた。「ふるまい、か」

「どれだけあなたがパンケーキ女でもそれで生きていけるわ」

「まだいいますそれ?」

 ベニコさんは私の抗議を無視した。「とにかくタイガーは技術をよせあつめたところでどうにかなる相手ではない。いままで以上に、本当のところから、モテる女のマインドを作りこむ必要があるの。人生を変えるのはリアクションじゃなくてアクション。とにかく受け身なパンケーキ女の考え方を捨てて、洗練されたアクションをすること」

 そのアイメイクの濃い目は真剣だった。

 幸せになりたいならアクションすること。それは何度も聞かされてきたことだった。月9のテレビドラマや、子どものころに読んだ絵本のように、待っていても理想の男性がやってきてくれることはないから。

 ぼんやりしていると、いつかだれかと恋ができるだろう──なんて甘い考えだ。そんなのは〝白馬の王子様なんかいるわけない〟と大人のふりをしながら、心のどこかで〝いつか自分にピッタリの男性がやってきてくれるはず〟なんて信じているパンケーキ女そのものだ。

 私は姿勢をただした。私はドキドキを楽しむ遊びをしたいんじゃなくて、ドキドキさせてくれるような男性を手にいれたいから──パンケーキ女を卒業するんだ。ひざの上でぎゅっと手をにぎった。

「アクションします」私はスマホをとった。「じゃあ、いまLINEの返信を考えますね」

「ストップ」

「はい?」

「いまはLINEを送ってはいけないわ」

「だってアクションって──」私は眉をよせた。

「パンケーキちゃん」ベニコさんは右手をピストルのようにかまえた。「アクションする=ガンガン攻めるということではないわ。ときにはLINEを送らない、返事を遅らせる、といった〝動かない〟ことも必要なのよ。無挙動も挙動のうち。そうした考えられるあらゆる手段を使って結果をだそうと試みることが本当のアクションよ」

「はあ」私は息をもらしながらスマホをテーブルにおいた。「深い」

 ベニコさんはカップに口をつけた。「女には待たなくてはならないときがある」

 私はうなずいた。「いまがそのときですか?」

トラップ・メソッド」ベニコさんはにやりと笑った。「これはデートや合コン、どんな出会いのときにも使えるわ。連絡先を交換したあとに〝あえて数日連絡しない〟というメソッドよ」

「それって〝遅れてきた存在感の法則〟みたいに、がっつかない印象を与えるためですか?」

「それもある」ベニコさんはうなずいた。お静かに、とでもいうように、ひとさし指を唇にあてた。薔薇のような色のルージュが印象的だった。「でも、このトラップ・メソッドは相手からの連絡を待つあいだに〝相手から連絡がくるかどうか?〟をテストするのが目的なの」

 私は五秒くらい考えたけどわからなかった。「どういうことですか?」

「復習しながら説明するわ」ベニコさんはひとさし指を立てた。「合コンの直後にLINEするのは〝私はあなたに気に入られたくてたまりません〟とポジションをさげるようなものだといったでしょう? さらに他の女たちのLINEにも埋もれてしまう。そこでタイミングを遅らせることでアピールを強めるのが〝遅れてきた存在感の法則〟だった」

「おぼえてます」私はうなずいた。「雑に相手されないために、みたいな」

「トラップ・メソッドはそのコインの裏側よ」ベニコさんは手のひらをひっくり返した。「あえて連絡しないことで、男側の食いつきを調べるの。三日くらいね。どれくらい食い付いたかチェックするのに、これほどわかりやすい指標はないわ。さらに、じらす意味もある。とくにモテるタイガーほど〝女は自分にアプローチをして当たり前〟と考えているから〝あれっ?〟と違和感をおぼえるの。うちとけた気がしたのに。このまま逃がすのかって。もし罠にかかって、連絡があれば、かなり優位なポジションをとることができるし──多少なりとも食いつきがあることがわかる」

 私はおずおず質問した。「でも、それって逆に連絡がなかったら脈ナシ決定ですか?」

「失敗のことばかり考えるパンケーキ女」

「ミホです」私は唇をとがらせた。「真剣に考えてるんです」

「安心なさい」ベニコさんは笑った。「アプローチもしてないのに、そう考えるのは早すぎるわ。ノーをつきつけられてるわけでもないんだから。その場合はこちらからLINEすればいいだけ。ただ〝遅れてきた存在感の法則〟のとおりにね」

「そっか。連絡がなくて普通っていうか、なにかを失敗したことにならないんだ」私は感心した。連絡がこなくても作戦どおりに運ぶようにできてるから。

「ノーリスク・ハイリターン」ベニコさんはいった。「これは合コンだけでなく、デートのあとや、ほかの出会いのときにも使えるメソッド。もちろん必ず使えといってるわけではない。しかし、ときに有効な技となる。こっちから尻尾をふってLINEするだけが恋愛じゃないわ。そろそろ女は連絡しない勇気を持つべきよ──もちろん失礼にならない範囲でね」

 それから京都の喫茶室でいくつも恋愛認知学のメソッドを学んだ。もはや柱の影をながれるクラシックは耳にはいらなかった。

 途中、何度もテラサキさんの顔を思い浮かべた。ふとカップをおいて胸に手をあてるとドキドキしていた。ドキドキだけで終わらせるもんかと思った。

■今日の恋愛認知学メモ

・タイガーを狙うには〝こいつは他の女と違うかもしれない〟と感じさせること。

・【トラップ・メソッド】あえて数日連絡しないメソッド。じらす効果と、食いつき具合をテストできる。

・いよいよ恋愛認知学をテラサキさんに試すときだ──大丈夫かな?

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浅田 悠介

マジシャン。日本催眠心理協会認定 心理療法士。ツイッターで恋愛テク語ってます。

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