1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 恋愛/結婚/離婚
  3. わたしは愛される実験をはじめた。第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」

わたしは愛される実験をはじめた。第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」

Share

【読むだけでモテる恋愛小説25話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」

■第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」

 最後の席がえもあって、この合コンもラストスパートだった。私は、お皿やグラスを移動しながら横のテラサキさんをのぞいた。細身だけど、がっしりした印象。その横顔がうつくしい。あいかわらずイケメン。すごくいい匂いもする——気がしてしまう。

 席がえがこんなにうれしいのは小学生のとき以来だった。

「え、香水とかつけてます?」次の瞬間、心の声がもれていた。

「俺すか?」テラサキさんは眉をよせた。「なんか変な匂いします?」

「いえ、なんか逆です。すいません気のせいでした」

「なんすか」テラサキさんは笑った。ちょっと不機嫌っぽい顔のイケメンがみせる笑顔はずるい。なんとなく会話の流れになった。「あれですよね、めっちゃ働きものですよね?」

「はい?」私はのみかけたグラスをとめた。「働きもの?」

「さっきから会話の感じとか、すごく気が効くひとなんだろうなって思ってましたよ」

「あ、ありがとうございます」

 個室をみまわした。男幹事ヒロトさんが、その他のメンバーをまきこんで会話していたので——助けてくれてるのかもしれない——ふたりで話をするチャンスだった。

「あの」私は勇気をだした。「さっき、身長の高い女子がタイプっていってましたよね?」

「あ、うん」テラサキさんは焼きそばを小皿にとった。おちたキャベツもつまむ。

「あれって。身長の高い女子って、どういう感じがするから好きなんですか?」

「どういう感じ?」

「いっしょにいると嬉しいとか、どんな気持ちになるから好きだ——というか」

「ああ、なるほど」テラサキさんは考えるような顔をした。「なんか元カノって、しっかりした人が多かったんすよ。対等に話せるというか。冷静に意見できる感じかな」

「冷静に意見できる感じ、ですか」

 私は〝冷静に意見できる感じ〟とくりかえした。これはLINEテクでも使った〝鏡の法則〟という恋愛認認知学のメソッドだ。あいての言葉を、そのままオウム返しする。しっかり話をきいていると印象づけられる。気の利いたあいづちを考えなくていいから、すごく便利だ。

「ぶっちゃけ旅行するとわかる気がするんすよ」テラサキさんはいった。「どの場所にいくとか、なに食べるかとか相談したり。提案しあったり。そういう子がいいなって。なんでもいいって、結構、まかせっぱなしの子もいるんだけど——おいって思うんですよ」

おいって思うんですね」と、また言葉をくりかした。実にかんたんなメソッドだとおもう。

「そうそう。なに食べるってきいても、なんでもいい、みたいな」

「わかる気がします。対等に話せる感じがいいですよね」

「ほんとそれ」テラサキさんは焼きそばをたべながらうなずいた。

 ここでもテラサキさんの好みにあうような台詞をいった。この〝対等に話せる〟というのもすこし前に彼が口にした言葉。だから否定されない——共感される。

 私も焼きそばを口にいれた。これは真似したわけじゃないけど結果的に〝鏡の法則〟になった。LINEやあいづちだけじゃなく行動でも使えるから。ソースもうすくて、ふにゃふにゃの麺をかみながら、頭のなかで、テラサキさんの情報をまとめた。

 たしかにテラサキさんは「身長の高い子がタイプ」といった。それだと私はアウト。けれど、その奥に〝冷静に意見できる感じ〟〝対等に話せる〟という感覚をもとめていることがわかった。つまり、そういう女性なら——ふるまえる女なら——高身長でなくても勝負できるかも。

 逆に女子に頼られたり、依存されるのは苦手みたい。さっと上手に身をひきそうな気がする。これもモテるイケメンの価値観っぽいなと思った。

 ここまで考えて、え、私、いろいろ賢く考えてない? と、テンションがあがった。あんなにパンケーキ女なんてなじられてたのに。やばい。このへんで、そろそろイケメンの恋人つくっちゃう? おもわず顔がにやっとしたので、あわてて鼻に力をこめた。

「テラサキさんって」私はすこしずつ敬語をなくすようにした。「女子に依存されるの苦手そう」

「あ、それ苦手」テラサキさんは笑った。「わかってるじゃん」

「でも、それだけ依存されてきたってことじゃない?」

「そうみえる?」

「みえる」

 私たちは目をあわせて笑った。なんか大人みたいだなとおもった。

「めっちゃ見抜くね。でもそうかも。ほら、なんかサバサバ系とかいってたのに、付き合うと、ひとが変わったように依存する子いるよね。ああいうの苦手だな」

「それ、女子あるあるかも」まわりの友人にもいたりする。恋人ができる前といってたことちがうじゃん、とツッコミをいれたくもなる。

「あれってさ——みわける方法あるの?」テラサキさんはビールをとった。そこでグラスがからだと気づいたらしい。その表情もイケメンでみほれてしまった。「あ、なにか頼む?」

「おなじもので」と、すかさず私はいった。

 これも〝鏡の法則〟の応用で〝おなじものでメソッド〟だった。お酒を飲める女子限定だけど——なにを注文されるかわからないから——かわいいカシスオレンジなんかを頼むより男心にささったりする。お、やるじゃん、みたいに。

「じゃあ、その元カノとは、どんな感じだったの?」と、私はさりげなくグラスをテラサキさんのグラスに近づけた。はなれがたい恋人みたいに。これもベニコさんにならった、あいての無意識をゆさぶる〝チェックメイト〟という恋愛認知学のメソッドだった。

「えと、元カノ?」テラサキさんはまばたきした。ちょっと妙な雰囲気だったので、なにか気まずいことでもあるのかなとおもった。

「嫌ならきかないけど気になったかなって。いつわかれたかとか」

「うん、いや、半年くらいかな」

 元カノの話題になればしめたもの——情報の宝庫だから。さりげなく質問できるチャンスがあれば聞いておくにかぎる。そこで、ふたりだけで深い恋バナをする感じになった。もちろん、私が、ほりさげているからでもある。

「それはあるかも」私はミントのすっきりしたモヒートをのんだ。テラサキさんの前の彼女が、毎回、お店をまかせっぱなしにしてくる子だという話題だった。「毎回、毎回、デートのお店を決めてっていうのはしんどい」

「お、わかってくれる?」テラサキさんもモヒートを飲んだ。おそろいで、なんか海外旅行中のカップルっぽいかもとおもった。

「のっかる感じがなんとなく——」

 グラスのなかに沈んだミントの葉をながめた。正直、ちょっと前まで、私も、そんなパンケーキ女のひとりだったんだよなあ。なんでもいいよ、なんて、気をつかってたつもりだけど、それは受け身なモテない女の発想だった。過去をおもいだすと胸がちくりとする。

 でも同時に、それを話題に、いまやイケメン男子と「そんな子いるよね」と盛りあがっていることにもおどろいていた。すごい成長じゃない? これって、すこしは男女のことがわかってきたってことでいいのかな。

「でさ」テラサキさんはいった。「ぶっちゃけ、それでさめちゃって——あ、もういいやって」

「もういいやってなったんだ。最後、どうやってきりだしたの?」

「や、まあ、そこは適当に」テラサキさんは言葉をにごした。

「適当ってなに」私は笑った。「なんかこわいんだけど」

「いやいや」テラサキさんは考えるような顔で数秒口をとじた。「深夜にドライブいくぞっていって」

 チャンスタイムとばかりに、どんどん深い話をきいた。もはや場のだれよりテラサキさんの恋愛観を知っている自信があった。これが数日後にでもLINEを送って、デートに誘うときに、めちゃくちゃ役立つわけだ。

 恋愛は情報戦。合コンはそれをゲットする場所。やはり気になる男性とは恋バナをしないといけない。恋愛認知学の鉄板〝ラブリートークメソッド〟だ。

 正直、イケメンといい感じにトークできているだけでもよだれがでそうだった。空気清浄機の真横にいるのかというくらい空気がおいしかった。ていうか、ひそかに深呼吸した。むこうの、よく考えたらおもしろいのかよくわからない冗談にくすくす笑って、へえ、そうなんだあ、と返事しながら、心のなかで「おい数ヶ月前のパンケーキ女の私! イケメンと会話できてるぞ!」とさけんだ。

「ちょっと」そのとき声が響いた。「さっきから、そこ、ずっと会話してない?」

 さっとテーブルの空気がしずまった。撃ちこまれたライフルの銃口をさがすように、その方向をみた。テーブルの対角線上。私とテラサキさんをとりあって、さっきまでティラノサウルスみたいに暴走したあげく、このたびの席替えで、遠くに島流しされた肉食女子のショウコだった。テーブルに不服そうに肘をついていた。

「ずるいなあ」合コン用の表情でショウコは笑った。でも、完全に、イケメンを手にいれられないくらいなら邪魔してやるぞモードなのはわかった。「ねえ、私たちも会話にまぜてよ」

■今日の恋愛認知学メモ

・【鏡の法則】あいての言葉や行動をオウム返しするメソッド。LINEテクでもつかえる。

・【おなじものでメソッド】飲みものをたずねられたときに「おなじもので」とこたえるメソッド。さっぱりした印象をあたえられる。でも、お酒を飲める女子限定。

・元カノの話はさりげなく質問できるならきいておくべし。情報の宝庫。

・なんか戦いの予感がするんだけど?

わたしは愛される実験をはじめた。第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」

https://p-dress.jp/articles/7391

【読むだけでモテる恋愛小説26話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない?」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」

Share

浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛テク語りまくってます。

関連記事

Latest Article