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わたしは愛される実験をはじめた。第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」

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【読むだけでモテる恋愛小説46話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」

■第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」

『ミホちゃん元気?』イケメンのテラサキさんからのLINEだった。

 めちゃくちゃ待ち望んでいたものだった。ぴよぴよトランペットを持ったゆるふわパーマの天使にいざなわれて昇天するかと思った。

 しかし、ここで『はい(絵文字)(絵文字)テラサキさんも、あのあと無事に帰れましたか(絵文字)?』なんて〝待ち望んでいた感〟をだすのは恋愛認知学的にアウトらしい。相手がタイガー(モテる男性)だったらなおさら。なんだ、こいつも他の女とおなじなのか、とポジションを一気にさげてしまうから。

 でも、じゃあ、どう返信すればいいんだろう? 

 ひとり暮らしの部屋のなかで眉をよせてスマホをにらんだ──よし、シンプルにいこう。むこうからLINEを送ってきたわけだから。こっちから強く誘いかける必要はないんじゃないかな。たぶんモテる女性ならこう考えるだろうと思った。

 魂をこめた渾身のフリック入力だった。『元気ですよ!』

 ぽん、と文字が画面にあらわれた。しかし、そこで急にこわくもなった。この引き返せないという感じ。心臓がドキドキして、これで良かったのかなとか疑念がよぎる──無視されたらどうしよう? あらためて手汗でぬるりとした画面に浮かんだ「元気ですよ!」をみて、私は、アントニオ猪木かと恥ずかしくなったりもした。

 しかしLINEは終わらなかった。カーペットの上で頭を抱えていると二分くらいで返信があった。とたんに心の中がまたパァっと晴れて、世界に味方されてる気がして、この短時間のあいだに感情がジェットコースターみたいにアップダウンしすぎてるなと思った。これじゃパンケーキ女だ。ほっぺを化粧水でもしみこませるみたいに叩いて気をひきしめた。

『めっちゃ元気そうじゃん』テラサキさんの返信だった。そのシンプルなLINEがタイガー(モテる男性)らしいなと思った。まちがっても長文や絵文字を使わない感じ。

 私も返信がほしくて必死みたいなLINEを送らないように気をつけた。むこうも会話を続けたくてLINEしてきたわけだから──そう予想して──あせる必要はない。むしろ落ちついた空気感をつくるようにする。あらLINEしてきたのね、くらいの感じで。

『ストレッチしながら家で麦茶飲んでましたよ』

『麦茶なんだ笑』

『麦茶をばかにしちゃだめですよ』

『すいません』テラサキさんは送信した。『俺はいま同僚と飲んでた帰りだよ』

 そこで私のことを思いだしてくれたんだなとうれしくなった。『電車ですか』

『ホームだね』

『めっちゃ寒そう』

『ほんとに寒いよ。手袋わすれちゃって』

『スマホさわってる場合じゃないじゃないですか』

『たしかにそうかも』

 私はスマホを手に恋愛認知学のLINEテクを思いだした。

 まず大事なのが〝LINEは内容よりテンポ〟ということ。ちゃんと〝短文の法則〟でテンポをあわせて卓球みたいにラリーをつなげるのを意識した。私だって、ちゃんと成長してるんだから──昔みたいに長文で返してたら、ここまではずまなかったかも。

 LINEは時間をかけて心を通わせるツールではない。さくさくとふたりだけのノリを作りだすツールなのだ。いや、ベニコさんからの聞きかじりですけど。

 同時に、恋愛認知学の〝ノン・クエスチョン・メソッド〟を実践した。文章の最後にハテナをつけないLINEを作るというもの。もちろん使っちゃいけないわけじゃない。会話を引きのばしたいがためだけの、わざとらしいハテナをなくすべし、というわけだ。

     ※

「この〝ノン・クエスチョン・メソッド〟はね」このメソッドを教えてくれたときにベニコさんはいった。ぽっちゃり体型ながら、ワンカールした黒髪、欧米風メイクで、あいかわらずアメリカンドラマのキャリアウーマンという感じだった。「日常から〝ハテナマークを減らすことで異性とのやりとりを訓練できる〟という効果もあるの。わざと負荷をかけて美しいスタイルを手にいれるみたいにね」

 私はダンベルを持って筋トレするのを想像した。「なにを訓練するんですか?」

「いい?」ベニコさんはひとさし指を立てた。「あんたみたいな男慣れしてないパンケーキ女は男との会話をすぐに〝一問一答の質問会〟にしてしまう。面接みたいに質問して、答えてのくりかえし──ダレるに決まってる。逆にいえば、上手な会話は、わざとらしい質問が少ないのよ。ちゃっかり〝あいづち・ツッコミ・掘りさげ〟の形をとっているから質問に感じない──これがポイントよ。とにかくモテない女は〝一問一答の質問会〟をさけること。それを〝ノン・クエスチョン・メソッド〟で訓練するの」

     ※

『手の感覚なくなってそう』

『ほんとそれ』テラサキさんは返信した。『ピンチ』

『大丈夫ですか』

『うん。もうすぐ電車くるっぽい』

 ハテナマークを使わずにLINEをするのは案外簡単だった。たとえば『手の感覚なくなってそうですね?』を『手の感覚なくなってそう』と〝推測〟に変えることもできる。『大丈夫ですか?』を『大丈夫ですか』とハテナを〝削除〟するだけでもいい。そんな感じだ。これだけでも、あざとさや、必死感や、しつこさを消せる。

 さすがタイガー(モテる男性)をゲットするためのLINEテクだ。正直、めっちゃ頭を使う。そんなこと考えたこともなかったから。でも、いままでどおりにしていても、いままでどおりの結果にしかならない。だからこそ、やらなきゃいけないことなんだと思う。

『いま電車にのったよ』テラサキさんは送信した。『めっちゃ混んでる』

『どこで飲んでたんですか』

『京都タワーサンドだよ。京都タワーの下に屋台村みたいなのができててさ』

『へえ』私は送信した。相手の単語をくりかえす〝鏡の法則〟だった。『屋台村ですか』

『いろんなお店があるんだよ』

『楽しそうですね』私は送信した。『ハシゴし放題じゃないですか』

『めっちゃ楽しかったよ。京都の有名店がブースをだしてた。お洒落な感じで。焼き鳥とか、蕎麦とか、餃子とか、ステーキとか』

『おおお』

『あ、あとね』テラサキさんは送信した。『パンケーキ』

 その文面に座椅子にかけたまま二メートルくらい跳ねあがりそうになった。少なくとも心のなかはそうだった。いや、大丈夫。これは私がパンケーキ女であるとバレたわけじゃない。ただのパンケーキだ。パンケーキの話なのだ。

『パンケーキですか』私は送信した。『あのホットケーキの進化形みたいなやつですよね』

『他になにがあるの笑』テラサキさんはいった。『女子は好きかなと思って』

 私はスマホを手にうなずいた。『切っても切れない縁みたいなとこあります』

『なにそれ笑』

 そのとき、私の頭の奥にぴかんとライトグリーンの光が浮かんだ。

 あれ、もしかして──この流れってデートに誘えちゃうんじゃない? 今度いきましょうよって。まさに〝LINEの目的はデートに誘いだすことだけ〟という恋愛認知学の黄金ルールも思いだした。野球のことはよくわかんないけど。めちゃくちゃど真ん中にストレートがきてる状況じゃないのかな。

 私はバット、じゃなくてスマホをにぎりこんだ。そう考えると女子ウケしそうなパンケーキの話題も誘ってるんじゃないかなとか深読みしてしまう。フリック入力の指をとめた。すごく大事な局面な気がする。ごくりとのどを鳴らした──えっと、なんていうか、ここでデートに誘っちゃっていいの?

■今日の恋愛認知学メモ

・男性側から待ち望んでいたLINEがきても、がっつきすぎないこと。

・【ノン・クエスチョン・メソッド】文章の最後にハテナをつけないLINEを作るメソッド。盛りあがるコミュニケーションの訓練にもなる。

・上手な会話は「わざとらしい質問の形」をさけて質問している。

・どうしよう——さっそくデートに誘っていいのかな?

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」
第48話「イケメンのLINEを既読スルーできる?」
第49話「愛される女は自分ばかりを愛さない」
第50話「モテる女のスリリングなLINEの作りかた」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛テク語りまくってます。

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