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わたしは愛される実験をはじめた。第53話「最短でモテる男とのデートの日程を決めるには?」

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【読むだけでモテる恋愛小説53話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第53話「最短でモテる男とのデートの日程を決めるには?」

 イケメンとのデートが転がりこんできた。

『お』私の誘いにテラサキさんから返事がきたところだった。『いくか』

 私はLINEをみた。正直、この文面だけでも二週間くらい白飯だけで生きていけそうだった。肌の内側から、ぎゅんぎゅん女性ホルモンが出てる気がした。てか、出てる。

 でも、ここで満足しちゃダメ。

 私は壁に新しくはりつけた〝デートは、当日、相手の顔をみるまで気をぬかないこと〟という文字をにらんだ。気まぐれでキャンセルもありえるから。特に相手はタイガー(モテる価値の高い男性)なのだ。なんとなくの気分で逃げられることもありえる。

 鼻の穴からふんと息をはいた。なんとしてもデートを実現させてやる。思わずフリック入力する指に力が入った。

『おけです』私は送信した。『えっと、直近でいつあいてますか』

 さっそく日程を決めることにした。媚びる感じをなくして、シンプルな質問文で。もちろんガッツキ感はNGだ。一気に、モテない女みたいになってポジションが下がるから。恋愛認知学の「モテるにはモテるふりをすること」は絶対のルールだ。

 そして、このシンプルな質問文にも、恋愛認知学のメソッドを二つこめてある。

 一つめは〝ノン・クエスチョン・メソッド〟だ。

 質問文だけど、あえて最後に疑問符〝?〟をつけなかった。媚びた感じを減らして、ラフさを演出するために。さくっと聞いてるんですけど、みたいな。

 二つめは〝直近メソッド〟だ。

 これはデートのスケジュールを決めるときに大活躍する。とにかく「直近で(近くで)いけるのはいつですか?」と質問すること。このメソッドを使えば、それぞれ休日を出しあったのに予定があわなくて──なんてグダらずにすむ。相手の希望にあわせられるくらい時間に余裕があるとき限定かもしれないけど。

 LINEを送ると興奮のあまり立ちあがった。意味なく掃除しないルンバみたいに部屋をうろうろしたあと座椅子にもどった。LINEを待つのはいつだってソワソワする。

 そこでテラサキさんから返信があった。『あー、とりあえず今週来週とかは空いてないな』

 ちゃぶ台につっぷした。髪が前にたれる。このスパンと決まらない感じ。さすがイケメンはスケジュールも埋まってるのか。他の女ともデートの予定があるんじゃない──なんて想像をぶんぶん頭をふって追い払った。

 私はアヒル口をしたあと唇を口のなかにおりこんで考えた。たぶん、ここで折れて「じゃあ、また今度決めましょうか」と送ってはいけないんだろうなと思った。一度逃したテンションはもどってこない。次はないかも。

 机の上のボールペンをでこぴんした。なんて送ればいいんだろう?

 まず浮かんだのは「じゃあ再来週でいけるのはいつです?」と聞くことだった。でも、なんとなくポジションが弱くなりそうだなと思った。めちゃくちゃデートしたい女みたいだ。

『お、リア充』

『どういういじりだよ笑』

 とりあえず、ガッツキ感を減らすために雑談をはさんだ。デートしたくて必死というよりは余裕ありますけど、という感じ。そして、ここは第二の恋愛認知学メソッドを使うときかもと考えた。

『そういえば』私は送信した。合コンのときに、テラサキさんが平日も飲めるといっていたのを思いだした。『平日もいける系でしたよね?』

『あらかじめわかってたらいけるよ』

『再来週なら木か日どうです?』

 これは〝候補日メソッド〟だった。いそがしくて〝直近メソッド〟を使えないか、さっと決めたいときに候補を二日か三日にしぼって持ちかけるというもの。

 ポイントは「再来週なら土日どっちもあいてますよ」と、土日連続で提案しないこと。週末に用事のないヒマな(価値の低い)人間だと思われるから。

 ここで、ちゃっかり合コンでの情報収集も役立った。ファーストコンタクトのときに相手の生活リズムを聞いておくとスムーズに誘えるわけだ。普通は、それがわからないままに予定を合わせようとしてグダつくから。さすが恋愛認知学にぬかりなかった。

 送信したあと、つばを飲んだ。スマホをみつめた。そして既読がついたあと、ちょっとだけ時間があって──胸の奥が緊張しすぎてゲップがでた──緑のアイコンが光った。

『十八日いける』テラサキさんは送信した。『八時すぎでいい?』

 その瞬間、嬉しすぎてスマホを布団に投げた。スティーブ・ジョブスが作ったiPhoneは祝砲みたいにぽすんと着地した。もう脳内は京都市植物園のバラ園くらい薔薇色だった。なんならデートして、テラサキさんが口紅くらい真っ赤なやつを一輪プレゼントしてくれるところまで想像して、ちょっとバラ園の薔薇は持ち帰っちゃだめなのにテラサキさん、とかいって、喉の奥から、自分でも引くくらいキモい声がもれたところで我にかえった。

 ちゃぶ台の上の百均の鏡をのぞいた。

 にやにやしまくっていた。ぺたりと、その顔にふれた。だって、イケメンとデートの約束を取りつけて日程まで決めたんだから──もう完璧のはず──えらくない? そこまで考えると、また表情の筋肉がドミノ・ピザのチーズみたいにたれた。パンケーキ女卒業かも。

 そのとき壁の〝デートは、当日、相手の顔をみるまで気をぬかないこと〟が目に入った。

 そうだ。おちつけパンケーキ女。夏の京都市内の猛暑に飛びこむ前に日焼け止めクリームをしみこませるみたいにぱしぱし顔を叩いた。まだデートできたわけじゃないんだ。

 布団の上からスマホを回収した。

『いけますよ』私は送信した。『じゃあ8時15分に京都タワーのスタバ前とかどうです?』

『そうしよっか。遅れそうだったら連絡するよ』

『むしろ500億円くらいの商談入りそうだったらそっちいってくださいね』

『それはない笑』テラサキさんは送信した。『おもしろすぎるだろ。うちの会社買えるよ』

『買いましょ』

『わかった。来年の目標にする。買う。俺ならできる』

『カッコいい笑』

 そんなLINEにキュンキュンしながら待ち合わせ場所と時間も決めた。こちらから提案する形で。その流れでLINEをラリーしながら──イケメンとLINEできてるだけで自己肯定感がうなぎのぼりだ──ふと思った。

 あれ、このままデート当日までLINEって続けたほうがいいのかな?

 思わず部屋のなかをみまわした。なぜか葛根湯が一袋おちてるのと、炊飯器のフタがあいてることを発見しただけで、どこにも答えは書いてなかった。テラサキさんをデートに誘うことに夢中で、その約束をとりつけたあとのことは考えもしなかった。

 頭のなかで計算する──デートまで十日以上あった。このままLINEするべきか、いったんLINEを終わらせるべきか。それが問題だ。続けた方がデートまで安全な気もするし、反対にダレる気もする。ていうか、そもそもLINEを続けられるかも心配だ。

 そのとき壁の〝デートは、当日、相手の顔をみるまで気をぬかないこと〟が目に入った。ビクッとなった。そこに幽霊でもいたみたいに。すごく怖いものに思えたから。

 ぐらんと脳がゆれた。気をぬけない──どっちが正解なの?

 次の瞬間、私は、その恐怖から逃げるようにスマホを手にしていた。ベニコさんにLINEをしようとしていた。答えをもらえるに違いないから。

 でも、緑のアイコンを十秒ほどながめたあとで、その手をとめた。

 だめだ。いつまでもベニコさんに頼っていてはだめだ。私が口説こうとしているのはタイガーのテラサキさんなのだから。そんな弱い姿勢ではいけない。たぶん──私は自分で答えをみつけられる女にならないといけない。

 手もとのスマホ画面にはテラサキさんからのLINEがあった。

 私はどうすべきか考えた。なにかを間違えると、あっというまにテラサキさんとのデートが失われてしまうかもしれない。ひとつでも選択を間違えるとアウト。そう考えるとすごく怖かった。でも、愛される実験をやめるわけにいかなかった。

■今日の恋愛認知学メモ

・【直近メソッド】日程をあわせるときに「直近で(近くで)いけるのはいつですか?」と質問すること。

・【候補日メソッド】こちらから候補を二日(三日でもいい)にしぼって持ちかける。土日連続で提案しないこと。

・このままLINEすべきか、いったん中断すべきか──どっちなの?

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」
第48話「イケメンのLINEを既読スルーできる?」
第49話「愛される女は自分ばかりを愛さない」
第50話「モテる女のスリリングなLINEの作りかた」
第51話「彼と距離を縮めたいならLINEで〝悪口〟を共有する」
第52話「デートの約束は日にちまで決めてしまうこと」
第53話「最短で好きな人とのデートの日程を決めるには?」
番外編「モテる女は付き合う前にクリスマスプレゼントをわたすのか?」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛について語りまくってます。アイコンをおすと飛べるよ。

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