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わたしは愛される実験をはじめた。第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」

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【読むだけでモテる恋愛小説28話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」

■第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」

 合コンのあと家に帰るとLINEグループができていた。

 さっそく「すごく楽しかったです!」「またこのメンツで飲みにいきましょう!」と、各メンバーの投稿やスタンプがおどった。さすがに大人になると、これも社交辞令で、また飲みにいくことはないんだろうな——なんて考えてしまう。

 私も、すぐに返信することはできた。でも、スマホを充電器につなぐと、シャワーをあびて眠ることにした。布団にくるまって、明日の朝くらいに投稿しようと思った。

 そこでベッドのなかで「あれ?」と目をあけた。

 いま、私、すごいナチュラルに返信をあとまわしにしてなかった? 合コングループに返信しないといけないけど。ちょっと明日でいいや、みたいな感じで——なんかモテる女みたいじゃない? え? これって?

 いまのは、たしかに恋愛認知学の〝遅れてきた存在感の法則〟の応用だった。本来は、合コンのあとターゲットの男性にLINEするのを遅らせるメソッドだ。しかし、その前のグループLINEでも使える。がっついた印象をあたえず、むしろポジションをあげられる。

 それを意図せず、やってた気がする。

 もしかすると意識しなくても、モテる女の行動が身についてたってこと——これがベニコさんのいってた「モテる女のマインドを身につける」ってことなのかな?

 自分自身の行動におどろいた。いままでだったら、グループLINEにも、すぐさま投稿していただろう。「今日はありがとうございました、また飲みにいきましょう」なんて。はやく返信しないと嫌われる気がするから。

 でも、それこそ「私はまわりの目を気にして生きているモテない女です」と主張してるようなものだった。モテない女のふるまい——恋愛認知学的にアウト。

 ちょっとは愛される女に近づいてきたのかもしれない。

 暗い天井をみつめながら、つい、にやけてしまった。今日の合コンもうまくいったっぽいし。男性陣もアタリで——そんなことを考えていると、ふと急に、イケメン男子のテラサキさんの顔が浮かんだ。次の瞬間には、彼もグループに投稿してるのか気になった。

 一度気になりだすと、枕の上で、アラサー女の煩悩はおさまらなかった。イケメンの文字を読みたい。イケメンの文章を愛でたい。イケメンとLINEしたい。あんなにモテる女のマインドとかいってたのに。それを、ううう、と敷布団をにぎってこらえた。そして、ああ、やっぱり私はパンケーキ女なのねと反省しつつ眠りにおちることになった。

 その瞬間、スマホが光った。

 このタイミングは、テラサキさんからにちがいない。イケメンだ。イケメンだ。もうガマンできないと——これじゃパンケーキ女そのものだ——ベッドを高速ローリングしながらおりて充電器にさしたスマホをのぞいた。夜中に、すぐ既読がつくのもキモいから、スマホの機能をフル活用して未読のまま文章だけのぞくことにした。

「今日はありがとうございました! 合コンでは緊張して、うまく話せませんでしたが楽しかったです(絵文字)あの、よかったら今度四条のイタリアンに食事でもいきませんか?」

 クリタさんからの個別LINEだった。

 まじかよ。いきなり誘うのかよ。合コンの席での眼鏡の顔を思いだした。高校の化学教師で、アップルウォッチをしていて、前に熱帯魚を飼っていて、とことん女慣れしてない感じだった。そういえば、しっかりしてる女性がタイプだといってたけど——まさか私?

 暗い部屋のなかで、光る電子画面をにらんだ。夜中の変なテンションでおどろきながらも、その文面を冷静にながめる自分がいた。

 なんとなくモテない人間のLINEっぽい——わざわざ下手にでる感じが。恋愛になれてないというか「僕はモテない男です」と主張してる感じ。そんなこといわなくていいのに。女としては、気持をあずけていいかわからなくなる。

 でも、このLINEどこかでみた気がするんだよなあ。

 その数秒後に気づいた。衝撃だった。そうか、これは、以前、私が男性に送っていたものと似てるんだ。異性にどう接していいかわからなくて、それでも幸せになりたくて、やっと呼ばれた合コンに必死で、その夜、宝くじを買うみたいな気持で、イチかバチかLINEを送信してたころの私だ。

 文面をながめるほどに、あまずっぱい気持がこみあげた。ひさしぶりに呼ばれた合コンで、精一杯、勇気をだしたのかも。

 でも、とにかく返信するのはいまじゃない。眠たいものは眠たいから。おかげでイケメンに対する煩悩もふっきれた。またベッドにもぐりこむことにした。合コンのあとの男性からのLINEをほっておいて眠るなんて、ちょっとモテる女みたいじゃない。その女の快感にまみれて、ぐふぐふ、いってるまに意識はなくなった。

 翌日の日曜は、午後からベニコさんと待ちあわせしていた。合コンは終わったあとの作戦が大事らしいから。三条スタバにて、抹茶ラテを買ったあと河川敷におりた。人気のない場所で、ベニコさんが紙コップを手に鴨川をながめていた。真剣な表情だった。

「なに考えてるんですか?」私はのこのこ近づいた。

「あら、パンケーキちゃん」ベニコさんは顔をむけた。ワンカールしたボブ。ばっちり濃いアイメイク。ぼっちゃり体型ながら、あいかわらずアメリカンドラマのキャリアウーマンみたいな雰囲気だった。「失われた時を求めて——過去を思いだしていたの」

「過去?」

「イエス」

「あ、そういえばベニコさんの昔の話とかきいたことないかも。教えてくださいよ」

「だめ」

「ケチ」私は唇をとがらせた。「どうしてですか?」

「そうね」またベニコさんは鴨川をみた。「私のものだから」

 その横顔はさびしそうだった。もう気安くたずねてはいけない感じだった。いつか教えてくれる日はくるのかな。抹茶ラテに口をつけた。二秒後、さすがに空気の読めないパンケーキ女なりに、ここは話題を変えるところだと気づいた。

「ていうか、それよりベニコさん」私はスマホをとりだした。昨晩のクリタさんからのLINEをみせた。「いろいろ教えてほしいことがあるんです」

 ベニコさんはちらっと画面をみた。ぴくりと眉をうごかす。あいかわらずキャリアウーマンが仕事のできない部下の書類をながめるみたいな感じだった。「なるほどね」

「なるほどって——まだ、なにも説明してませんよ?」

「このモテなさそうな文面をみればわかるわ」ベニコさんは私の首すじに、つつつ、と紅い爪をはわせた。おもわず抹茶ラテをこぼしかけた。「本命の男子じゃない、おどおどした男からLINEがきて調子こいてるパンケーキちゃんってところでしょ?」

 私は首に手をあてて一歩さがった。なんとなくベニコさんをにらみつけたけど考えるほどに図星だった。「ううう、くやしいけど反論できない」

「それで、この男にどう返信すべきか迷ってる」

「はい」

「とくに好きではないけど、出会いもないから、あわよくばキープしておきたいと思ってる」

「う、そのとおりです」

「あとは」ベニコさんは犯人を追いつめる探偵みたいにあごに手をそえた。「さっき〝いろいろ教えてほしいことがある〟といったからには、それだけじゃなさそうね。本命男子がほかにいるってことかしら——どうせ、ちょっとモテそうな雰囲気のあるイケメンでしょ?」

 私は一気に核心をつかれたのでおどろいた。肩をおとして、なぜか意味なくあやまった。「すみません、そのとおりです」

 私は合コンの一部始終を話した。もはや河川敷で自供させられる昼ドラの犯人の気分だった。イケメン男子のテラサキさんに心臓を撃ちぬかれたこと。恋愛認知学に従って、少しはうちとけたこと。まだグループLINEにすら返信していないこと。

「供述する女という名のパンケーキ」

「ベニコさん」私はいった。「これ以上、私の頭のなかを読みとるのはやめてください」

 ベニコさんは首をふった。なにかを否定しているわけではなさそうだった。昼の風のなかをワンカールしたボブがゆれた。その口紅は笑っていた。

「イケメンを好きになることは悪いことではないわ。ルックスや、職業や、ランクの高い異性を好きになってあたりまえ。それを手にいれるのも愛される実験よ。でもね。そう——ちょうど教えておくタイミングかもしれないわ」

「なにをです?」

「そこにね、ほとんどの女が犯す悲劇があるの」ベニコさんはいった。「いまいち恋人もできず、たとえ恋人ができても長続きしない女はこのことをわかっていないからなのよ。ランクの高い異性を狙うとはどういうことか——それを理解しておく必要がある」

 ランクの高い異性を狙うということ? ほとんどの女が犯す悲劇?

 私は手のなかの抹茶ラテをぎゅっとにぎった。河川敷では、どこかの学生のサークル団体が盛りあがっていたけど、そんな声は耳にもはいらなかった。

■今日の恋愛認知学メモ

・【遅れてきた存在感の法則】合コンのあとターゲットにLINEするのを遅らせるメソッド。その前のグループLINEでも使える。ポジションをあげられる。

・下手にでるようなLINEは「モテない人間です」と主張してるようなもの。

・ほとんどの女が犯す悲劇って——どういうこと? 

わたしは愛される実験をはじめた。第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」

https://p-dress.jp/articles/7662

【読むだけでモテる恋愛小説29話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない?」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛テク語りまくってます。

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