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わたしは愛される実験をはじめた。第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」

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【読むだけでモテる恋愛小説45話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」

 その瞬間、世界に光が満ちた。

『ミホちゃん元気?』

 イケメンのテラサキさんからLINEがきた。これ以上の女の幸福があるだろうか?

 ちょっとSっぽいテラサキさんとは合コンで出会った。その夜LINEを送ることはせず──自分の価値が低くなるから──恋愛認知学のトラップ・メソッドに従って、数日、彼から連絡があるかどうかテストすることにしていた。

 私は既読をつけずスマホをちゃぶ台の上においた。とっさに立ちあがって、ひとり暮らしの部屋のトイレにかけこむと便座にすわった。正直、便意も尿意もなかった。ぶちぶち壁のトイレットペーパーを引きちぎりながら、あ、自分でも混乱してるなと思った。

 なにせ。なにせ。テラサキさんからLINEがきたのだ。

 私からLINEしたわけじゃないのに。その事実を考えるごとに、にやにやキモい顔になっているのがわかった。その感情のハーモニーにひたったあと床にちらばったトイレットペーパーの破片を便器に放りこんでざあっと流すと座椅子にもどって、スマホを手にとった。

 私はまずベニコさんにLINEがきたことを説明した。スマホのむこうでは、ぽっちゃり体型ながら、ワンカールした黒髪、欧米風メイク。ブラックスーツを着て、あいかわらずアメリカンドラマのキャリアウーマンという感じなのかなと思う。

『ベニコさん』私のスマホは手汗でぬるぬるしていた。『どうLINEすればいいんでしょう?』

『おちつきなさい』

『だって、だって、ここでミスしたら終わりですよ?』

『だから、あんたはパンケーキ女なのよ』

『ひどい』

『すでにペースを乱されていることに気づきなさい。あれだけシビアに解説しても、いざイケメンからLINEがくると頭のなかのホイップクリームが暴走するんだから』

『なんか、めっちゃいわれてる』

『いい?』ベニコさんは返信した。『すでに〝どうすればいいか?〟は教えたはずよ。恋愛認知学のLINEテクをね。モテる女のふるまいを身につけることで、モテる女になるというメソッドのとおりにやりなさい──基本に忠実に。それだけの話。ドキドキするのはわかるわ。けれど相手がイケメンだからと対応を変えてしまうのは最もやってはいけないこと

 私はスマホ画面にうなずいた。胸の奥がキュッと緊張しているのがわかった。『それはそうですよね──そっか』

『モテる女は、ちょっといい男からLINEがきたからといってパニックになるかしら? それを文面にだしてしまうもの? すぐ返信する? 既読をつけるかどうかで頭をかかえる?』

『ううう、いまパンケーキ女の私は頭をかかえてます』

 私はちゃぶ台の上のピーチミントを一粒がりっと噛んだ。大きく息をはいた。たしかに一度決めた作戦をLINEが来たはずみでひっくり返してはなんにもならない。ようやく冷静でなくなっている自分に気づいた。おちつけパンケーキ女。

『とはいえ死にかけのトドみたいな顔をしてるパンケーキ女のためにコツを伝授するわ』

『さすがベニコさん!』なじられたことを気にもせず、もし、しっぽが生えていれば全力でふっているだろうなと思った。

『さっき〝どうすればいいか?〟については教えたといったわね』

『はい、はい、はい』

『今回は反対に〝どうしてはいけないのか?〟を教えてあげる』

 私は眉をよせた。『ん? どうしてはいけないのか?』

『現状を分析すると』ベニコさんは送信した。『合コンのあと、こちらから連絡していないのに──あえて連絡しないというトラップ・メソッドを使ったわけだけど──むこうからLINEがきた。もちろん、これは合コンでのがんばりがあってこそよ。これは〝最大限アプローチをしたあとに食いつき具合をテストするメソッド〟であって〝なにもしてないのに連絡がくるようにひたすら願うメソッド〟ではないから。はき違えてはダメよ。でないと、なにもしないくせに注文だけは一人前のパンケーキ女に逆もどりしてしまう』

 私は忘れかけていたことを再認識してグサッときた。たしかに、あれだけ合コンでがんばったからこそLINEが送られてきたわけだ──めちゃくちゃ苦労した。なにもしていないのにLINEがくるはずはなかった。この世の真理は、つねにアクションする女のもとに良い結果がまわりこんでくる、ということらしい。

『そして現在あなたにはポジションがある。いわば、むこうの気をひけている状態なのよ』

『本当ですか?』

 すぐに返信があった。『あなたは、なにもない異性にLINEするの?』

 私はそれに対する返事なのかなんなのか目をとじてぷるぷると首をふった。五日くらい寝ないで働けそうだった。あっさりLINEは無視され、なかなか返信もない──そんな恋愛歴のパンケーキ女からすればイケメンからLINEがくるなんでアポロ着陸のあとアームストロング船長が月の上につけた足あとくらい大いなる一步だった。

『現状を分析するといったけど、うぬぼれていいとはいってないわ』ベニコさんは私の心を見透かしたように送信した。『ちょっと気まぐれにLINEが飛んできたくらいだから。ここから一度でもミスをすれば、タイガー(モテる男性)はあっというまにどこかにいってしまう──それくらい不確かなものだと考えなさい』

 その言葉にスマホを持つ手がビクッとなった。悲しいかな、あっというまに返信がこなくなる想像ができてしまったから。いつものことだけど。

『ベニコさん』私は魂のフリック入力をした。『ここで既読スルーされたら二年くらいひきずりそうなんですけど、どうすればいいんですか』

『いい?』ベニコさんは送信した。『あっちからLINEがきた以上──なんとか恋愛認知学の作戦のおかげで──すでにポジションはあるんだから。そのリードを保つことよ。今回のような場合〝待ちのぞんでいた感〟をだすことが一番のタブーになる』

『待ち望んでいた感?』

『アホみたいにキラキラした絵文字を散りばめたり、新聞の天声人語みたいな長文を送りつけたり、返信がほしいからって、これみよがしに〝あのあと無事に帰れました?〟やらのどうでもいい内容のくせに疑問符で終わるLINEを送ったりってことよ』

『まってください』私は送信した。『ハテナマークで終わるのってダメなんですか?』

『中学生なら口説けるかもね』

『嘘ですよね?』私は送信した。中学生のときに、こうすれば返信をもらえるでしょ、と友人に教わって感激してから愛用していたテクだった。『自分のなかの必殺技っていうか。数少ない、けっこう自信ある恋愛術だったんですけど』

『当たり前のことだから頼るほどのテクじゃないわ』ベニコさんは送信した。『疑問符をなげられたら返信したくなるのは当たり前だけど。それは心理的に相手をひきつけているかとは関係ないことだわ。わざわざポジションがあるときにやることではない。あざとさがバレるほうが危険よ。まさに〝私はあなたの返信がほしくて必死に考えてLINEしてます〟といってるのと同じことだから──パンケーキちゃん、この意味わかる?』

 私は天井をみて七秒くらい口をあけて考えた。『そうかもですね』

『もちろん疑問符を使うなといってるわけじゃない。とってつけたハテナマークのあざとさは男も感じとる、という話をしてるのよ。それをフィッシュ(モテない男子)は喜んだとしても、女慣れしてるタイガー(モテる男子)は軽く扱っていい女だと──いままでの女と同じように──判断するでしょうね』

 私は水中からあがったあとみたいに息をはいた。『はあ、なんか、たんなるLINEなのに理解するのが、めっちゃ難しい。もうハテナマークを使わずにLINEを続けるのもどうすればいいかわからないですよ』

『このあたりが大人のかけひきってやつでしょうね』

『わかるようになりたいです』画面ごしにマジでうなずいた。

『なりなさい』ベニコさんは送信した。『異性と何度もコミュニケートをすることよ。誰だってはじめは初心者だったんだから。場数をこなした人間とそうでない人間がいるだけ。愛される女は逃げてはダメ。それじゃパンケーキ女にLINEテクの上級編を叩きこんであげるわ』

■今日の恋愛認知学メモ

・めあての人からLINEがきたときに〝待ち望んでいた感〟を出すのは危険。

・あざとく疑問符をつけるのはポジションを下げてしまう。

・いよいよLINEテクを教えてもらえるんだ。絶対にイケメンをゲットしてやる。

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛テク語りまくってます。

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