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わたしは愛される実験をはじめた。第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」

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【読むだけでモテる恋愛小説47話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが甘えた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」

■第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」

 イケメンとデート。 イケメンとデート。 イケメンとデート。

 女子にとって最高の贅沢──長期休暇に海外にいくよりもだ。そこらの居酒屋でいい。もう肩をならべて四条通を歩いているだけでドキドキドキドキしっぱなしだろう。

 そのチャンスが目の前にニンジンみたいにぶらさがっていた。

『フロア中に席があってさ』テラサキさんは送信した。『どのお店のも頼めるんだよ』

『あ、いろんなお店のを食べられるんですね』

『京都の有名店をつまみ放題』

『大人になっても楽しいやつじゃないですか』

『ほんとそれ』テラサキさんは送信した。『軽く飲みすぎた』

 私はひとり暮らしの部屋のなかで、スマホを手にしていた。京都タワーの下にできたという〝京都タワーサンド〟について盛りあがっていた。イケメンとぽんぽんLINEできているというだけで、脳内はアドレナリンと女性ホルモンが蛇口全開で分泌されまくりだった。

 同時に迷ってもいた。

 これって、完全にデートに誘うタイミングじゃないのかな。むこうから楽しい飲み屋の話をふってくれているわけだし。「私も行きたいです。こんど行きましょうよ!」とアピールするチャンスに思えるんだけど。

 でも、がっつきすぎな気もする。正直、断られるのがこわい。最悪ドン引きされて一気にLINEを無視されたり──いまだに男性は急に返信をしなくなるものだと思ってる──過去のトラウマをおもいだして背中を汗がつたう。

 次の瞬間、私は電話していた。なかなか出てくれなかったけれど一分半くらいコールし続けたらようやく出てくれた。「ベニコさん! 助けてください!」

「なによ」ベニコさんはいった。すっごい不機嫌そうな声だった。ぽっちゃり体型ながら、ワンカールした黒髪、欧米風メイクで、あいかわらずアメリカンドラマのキャリアウーマンという感じなのだろう。「ランプの妖精か、ドラえもんみたいに呼びださないでくれる?」

「すみません」私はスマホに耳にあてて頭をさげた。「緊急事態でして」

「電話ごしに頭をさげてもみえないわ」

「え、なんでわかったんです?」

「パンケーキ女のやることなんて一から十億までお見通しよ」

「ケタがすごい」

 そこで、私は、テラサキさんとのやりとりを説明した。

「いい?」ベニコさんはいった。「結論からいうとタイガー(モテる男性)からの誘いは〝すぐに食いつかない〟のがセオリーよ。イエスを告げるにしても一拍ずらすの」

「あっちから誘われてもですか?」

「オフコース。あとは今回のように誘いやすい話題をふられたときもよ──男側が意識的にやってるかどうかは別としてね。軽く応じてはいけない。どうしてかわかる?」

「わかりません」私は即答した。

「考える力を持たない女という名のパンケーキ」

「ミホです」私はいった。「てか、ストレートすぎません?」

「ミルクか砂糖でも入れる?」

「え? ミルク?」

「冗談もわからない女はギルティね」ベニコさんは息をついた。「とにかく、そのホイップクリームのつまった頭で考えなさい」

 私はiPhoneを耳からはなして、スピーカーホンにした。腕組みをした。たしかに答えを教えてもらって当たり前になってたかも。モネの睡蓮の絵はがきをはっている壁をみつめながら、しばらく考えた。「えっと、ちょろい女だと思われるからですか?」

「イエス」ベニコさんはいった。「デートに誘った瞬間に〝ぜひぜひ〟と飛びつくようでは価値が低い女だと思われる。よほど惚れられているか、普段、モテない女なんだろうなと──つまりポジションが下がるのよ」

「モテない女感はわかるかも」私はいった。「やっぱり俺のこと好きなのかよ、みたいな」

「タイガーはいつだって女を試しているのよ」

「試す? なんですそれ?」

「いい? これはすごく大事なことよ」ベニコさんの声は低くなった。「数多の女の相手をしてきたタイガーには〝いままでの女と同じなのか?〟を無意識にはかるセンサーがある。これを恋愛認知学では〝タイガー・センサー〟と呼ぶ。その無数のセンサーにひっかかるとアウト。とたんに軽んじられることになるの──いわば雑魚のパンケーキ女あつかいね」

「雑魚のパンケーキ女」私は寒気がした。「こわくないですか?」

「あなたが狩ろうとしているのは虎だということをお忘れなく」ベニコさんは笑った。「それかゲームをおりる?」

 私はテラサキさんの顔を思い浮かべた。合コンで横の席になったときのことをイメージするだけでドキドキした。本当に体温があがってると思う。私は、あの人との未来を信じてみたかった。たぶん、この気持はとめらない。「あきらめません」

「ならば食らいつきなさい」

「もちろんですよ」私は得意な気分になった。「ちなみに無数のセンサーって、どれくらいあるんです?」

「京都にいる観光客の数くらいよ」

 私はゲロを吐きそうになった。「え、無理じゃないですか?」

「もちろん一つひとつを試験問題のように予習してクリアするのは不可能よ。だからこそモテる女のマインドを徹底するの。なにも考えなくてもタイガー・センサーなんて余裕で通過するくらいにね。とにかく今回は、たやすく誘いにのらないこと。タイガーは、デートに誘いながら、どれだけ女を支配できているかを試しているからほいほい誘いにのるようじゃ失格。むしろ一度〝スカして〟あれって思わせるくらいがいいわ」

「スカす?」

「恋愛認知学のメソッド」ベニコさんはいった。「すぐに誘いにのらないこと。相手が期待するタイミングをずらすことで主導権をにぎるの。間をあけて〝あれっ?〟と思わせれば勝ち

「ふむふむ」

「すぐに食いつかないのも女のエレガンスよね」

「えっと、いま京都タワーサンドの話をしてるじゃないですか?」私はいった。「ここで〝今度行きましょうよ〟って送るのがダメなのはわかりました。タイガー・センサーにかかって価値の低い女だと思われるから。スカさないと。じゃあ、いつ誘えばいいんですか?」

「LINEのスカしには三パターンあるわ」と、ベニコさんは文字を送ってくれた。

1.誘いのLINEから3〜5往復してから反応する
2.しばらくして話題が変わってから反応する
3.後日反応する

「最後になるほど強いスカしになる。もちろん流れで、すぐに〝ぜひ〟と答えるのが正しいときもあるわ。けれど、その場合も1のように何往復かしてからがオススメ」

「そういわれても3とか5とか数字だけではピンとこないんですけど」

「例えばだけど」ベニコさんは息をついた。「あんたみたいなパンケーキ女の好みのイケメンが〝魚の美味い居酒屋いこうよ〟とLINEしてきたとする──どう返信する?」

「イケメン?」私の声は一オクターブ高くなった。「そりゃ〝ぜひ!〟って送りますよ」

「だから、あんたはパンケーキ女なのよ」ベニコさんはぴしゃりといった。

「やっぱり」われながらアホみたいだなと思った。

「どれだけ心が盛りあがってもスカすことよ。たとえば〝お、魚ですか〟や〝めっちゃハードルあがってません笑?〟や〝そういうの恋しくなる時期ですよね〟なんて送るの。そこから〝いきましょうか〟と誘いにのればパターン1になる。さらに別の話題にまで引っぱったところで〝てか、その魚の居酒屋いきましょうか〟と返信すればパターン2になるわ」

「おお、めっちゃ具体的にイメージできます」

「スカしのコツはね。感想を返しても誘いにのるとはいわないことよ

「あ、たしかに」私はいった。「よく考えたら答えてはないですよね」

「つまりスカした時点で、相手の誘いは成功してないってことなの。誘ってあげてたつもりの男側はプレゼンを続けないといけなくなる──一度、誘うのを失敗したことになる。こちらにポジションが生まれるってわけ」

 私はちゃぶ台の上のピーチミントを一粒とりだして、がりっと噛んだ。

 座椅子にもたれて考えた。たしかに誘った側としては感想を告げられただけで、イエスともノーとも返事がなかったら気になるだろうなと思った。余裕がありそうにみえる。そう考えると、すぐに〝ぜひ!〟と食いつくのは上手いやり方じゃないのかも。

「そして今回の強敵であるテラサキに対しては」ベニコさんはいった。「どう〝スカし〟のアプローチをすべきかわかるかしら?」

■今日の恋愛認知学メモ

・【タイガー・センサー】タイガーは常にいままでの女性とおなじなのかを測っている。これに引っかかると軽くあつかわれてしまう。

・【スカし】反応するタイミングをずらして主導権をにぎること。デートに誘われてもすぐには答えない。コツは、感想をかえしても誘いにのるといわないこと。

・えっと、デートを実現させるには──どうアプローチすればいいのかな?

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いに即答でのっかる女はモテない」
第48話「イケメンのLINEを既読スルーできる?」
第49話「愛される女は自分ばかりを愛さない」
第50話「モテる女のスリリングなLINEの作りかた」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛テク語りまくってます。

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