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わたしは愛される実験をはじめた。第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」

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【読むだけでモテる恋愛小説2話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が〝愛される女〟をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた〝パンケーキ女〟に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」

■第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」

「でも」私はHUBの席につくなりいった。ビールの酔いもあって、ちょっと失礼な口の利き方だった。「私、モテたいなんて思ってません。ひとりの相手と、ずっと付き合えたらいいなって。遊びたいわけじゃないし。ほらモテる人って大変そうじゃないですか──いや私じゃないですよ? なんか、まわりのモテる女性は大変そうにみえるし」

「質問」女はひとさし指をあげた。ワンカールした黒髪ボブ、大きな顔とアイメイクの濃さに目力があった。ずんぐりした足を組んで、アメリカ映画のキャリアウーマンのような雰囲気だった。「あなたがモテる女のなにを知ってるの?」

「それは聞いた話ですけど」

 女はブランド物らしいブラックスーツを着ていた。立てたシャツの襟をのぞかせて肩をすくめた。「モテる女がわざわざ〝いい男に誘われて優越感〟〝日曜に一人で食事したことがない〟〝イケメンと街を歩くのは楽しい〟なんて報告するわけないでしょ? 女の嫉妬はめんどくさいのに。モテる女は男にちやほやされて、若いころからいい思いができる、モテる女にしかできない経験がある──そんなの当たり前」

「ほんとですか?」

「それをまず認めなさい」女はひとさし指をつきつけた。「あなたのやってることは手にできないブドウに〝あれは酸っぱいんだ〟と文句をいって自分をなぐさめてるだけ」

「でも、そんな男に媚びる生き方したくありません」私はむっとした顔をした。「それに食事を奢られても気をつかうだけでしょう? それなら私は自分のお金で食べたいお店にいきますよ。誰にも気をつかわないでいいし。うらやましくなんかない」

「うらやましくなんかない?」

「まったく」私はビールを飲んだ。

 女はあきれたように首をふった。私が0点の答案を提出したみたいだった。「そもそもデートの食事は男に奢らせるものだって考えてるのがもうダメ。前時代をひきずってるモテない女まるだし。あんたなんか、せいぜいレジの前でわざとらしく財布をだすふりするくらいでしょ? そんな考え方じゃ、男の方から逃げだすわ」

「それが女性としてのマナーじゃないんですか?」私は先週のデートを思いだした。オクムラさんが奢るよ、といったから財布をひっこめて頭をさげたのに。

「それは、すでにモテてる女のマナーよ」女はいった。「男はね、高値の花によろこんでお金をだすけど、そうじゃない女には、お金を使いたくないの。そりゃ顔にださないけど頭のなかでは、デートにかかった金額を計算してる──私たちといっしょ。〝デート代は男が持つべきだ〟なんて文脈に苦しんでることを理解してあげなさい

「でも、むこうから財布をだしたんですよ?」

「質問」女はカクテルグラスをゆすった。赤い液体がゆれた。「初デートの目的はどこに設定すべきでしょう」

「え、目的ですよね? 男の人と仲良くなることですか?」

「ちがう」

「仕事とか収入をたずねること?」

「ちがう」女は直線の太い眉をひそめた。「もっとシビアに考えなさい」

「なに? あ、まさかゲイじゃないか調査すること?」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛について語りまくってます。アイコンをおすと飛べるよ。

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