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わたしは愛される実験をはじめた。第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」

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【読むだけでモテる恋愛小説24話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」

■第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」

 この私に身長をくれ。

 合コンにて本命のイケメン男子、テラサキさんに好みのタイプをきいた。その答えは「身長の高い子」だった。いままでの彼女が165センチ以上だったらしい。そして残念なことに——もう一度いうけどだれか身長をくれ——私はヒールをはいてやっとだった。

 枝豆を口にはこびながら目の前が真暗になった。視界に赤い血みたいな色でGAMEOVERの文字がおどった。さようならテラサキさん。私が好きになったイケメン。居酒屋の個室のすみで、もちゃもちゃ枝豆をかみながら愛想笑いをつくるので精一杯だった。 

「そうなんですかあ」となりの席の肉食女子ショウコは興奮してしゃべりまくっていた。こいつは身長があるからだ。「身長高い女子がタイプなんですね。カッコいいカップルになりそう。やっぱりテラサキさんも身長ありますもんね——何センチなんですか?」

 私の心は、よく高速道路に片方だけころがってる軍手くらいボロボロだった。もう合コンがおわればいいのに。いくら恋愛認知学をつかっても身長だけはのばせない。愛される女になるための実験はおわりだ。

 でも、同時に、心のどこかではベニコさんの教えがこんなものだとはおもえなかった。私が信じている恋愛認知学は——モテる技術は——もっと無敵のはずだった。

 枝豆のからを小皿にいれた。どうすればいいんだろう?

 合コンのテーブルをみまわした。すると、あれほど初参加におびえていた後輩のヒカリちゃんが男性陣と会話していた。バーベキューの話をしながら、がんばって、ノリのいい感じでこたえている。でも、テーブルの下で、その指がふるえているのがみえた——ぎゅっと、にぎりしめている。この子も、最近、彼氏にフラれたのを克服しようとしているのだ。

 私はいままでの愛される実験をおもいだした。本当に、いろんなことがあった。男性と話せるようになった。LINEも学んだ。デートプランも考えた。そして、なんと告白もされた。そうだ。この合コンだって主催したのは——私なんだ。

 いままでだって、ひとつずつ困難に挑戦してきた。そのたび、なにかを学んできた。大人に近づけた。そして少しずつ愛される女になっていく。今回も、きっとそのはずだ。

 どうすればいいんだろう——じゃなかった。そんな受け身なパンケーキ女の発想ではだめだ。大事なのは、どうしたいかだ。私は心から愛されたい。モテる女になりたい。あきらめたくない。私は愛される実験をしているのだから。まだ、まだ、まだ、おわれない。

 私は鞄からスマホをとりだした。「すいません」と、居酒屋の個室をでると、店員が、お酒をはこびまわる廊下をわたってトイレにかけこんだ。めちゃくちゃガマンしてた子みたいだけど気にしない。個室の鍵をしめると光速でLINEを打った。

『ベニコさんピンチです! テラサキさんに好みのタイプを聞いたんですけど。それが自分と、全然ちがうタイプだったんです。どうしたらいいですか!』

『テラサキってだれよ』と、すぐにベニコさんの返信がきた。

『イケメンです!』

 ベニコさんはその言葉を無視した。とにかく状況をのみこんでくれたようだった。

『好みのタイプなんて気にする必要なし。外見情報を、内面情報までほりさげるの』

『どういう意味ですか!』アホまるだしだった。

『だから、あんたはパンケーキ女なのよ』

『ミホです!』

 ベニコさんは再度その言葉を無視した。50秒くらいで長文が返ってきた。

『タイプを質問して〝やせてる〟〝鼻がたかい〟〝背がひくい〟〝ロングヘアー〟なんてルックスについての答えがかえったとする。その男に〝そのタイプは、どんな感じがするから好きなんですか?〟と質問なさい。外見情報→内面情報にほりさげるわけ。いい? 相手が好きなのは〝その外見の女〟ではない。そんな異性といるときの〝感じ〟が好きなのよ。たとえば〝背がひくい子がタイプ〟といった男は〝守ってあげたくなる感じが好き〟というかもしれない。ならば〝その感じ〟さえ演出すればいい。実際に〝背がひくい〟必要はないの』

『なるほど。なんとなくわかりましたとおもいます!』

『パンケーキちゃん。日本語がおかしいわ』

『気にしません! テラサキさんは〝身長のたかい女子がタイプ〟っていってました。それってどういうことですか?』

『なるほど』

『教えてください!』

『おそらくだけど』

『はい』

『あ、クリストフがきた』

『え? ベニコさん? ベニコさん? ていうかクリストフってだれです?』

 それきり返信はなかった。うざいLINEを何通もおくったけど既読もつかなかった。命からがら無人島で漂流生活をしていて、ようやく無線機の電波がつながったのに、肝心の居場所をつたえる寸前にとぎれたみたいだった。もう助けはこない。

 しかし十分なヒントはもらったはずだ。あとは本人から答えをひきだすしかない。便座からたちあがると、鏡の前で、髪とメイクをチェックした。

「ちょっと」そのとき声がした。「あんたもテラサキさん狙ってるでしょ?」

 みると肉食女子のショウコだった。

「いや——」私はとっさに反応できなかった。

 ショウコは、つかつかとなりにきて唇にリップをぬった。「べつにいいけど。あんた身長ないんだから、もうアウトでしょ? おとなしくしといてよね」

「わざわざ、それをいいにきたんですか?」

「あんた自意識過剰なの?」ショウコはいった。「私はメイクをなおしにきただけだし」

 私はさらにいいかえせなかった。

「まあ合コンは個人戦だから好きにして。私も好きにするから」

 そして鏡の前で、肌や目もとをチェックすると、さっさとショウコはトイレからでていった。のこされた私が時計をみると九時をすぎていた。すでに合コンは後半戦。手をあらったあとに、ポケットのピーチミントをとりだした。一粒がりっと噛んだ。上等じゃない。ここから一気に攻めてやる——そろそろ切り札の出番かも。

「あの」席にもどると、私は、前の席の幹事ヒロトさんに声をかけた。

「ん?」ヒロトさんはビールをおいた。「ミホちゃん、どしたの?」

「そろそろ席がえとかどうでしょう?」

「あ、そうだね。みんな顔を合わせた方がいいもんね。やろやろ」

「ちなみになんですけど——」と、さらに声を小さくした。

「お、どしたの?」

「——さんの近くに座りたいなって」と、私は視線だけで、ちらっとテラサキさんをみた。

「なるほどね」ヒロトさんは笑った。「まかせて。俺、そういうの超得意だから」

 そこでヒロトさんは声をあげて席がえだといった。「ちょっとくらい混ざろうか——クリタ君こっち——あ、テラサキ君そこでいいよ——なんとなく——ひとりくらい女子もきなよ」と、さくさく指示された場所にうごくことになった。

 ヒロトさん有能すぎる。

 なんと私はテラサキさんの真横になった。しかもテラサキさんは入口側の席からうごかずに、私が真中の席だから——つまりオセロの角をおいつめるみたいにひとりじめだった。

 ちなみに入口側から、テラサキさん、私、クリタさん。反対側はヒロトさん、ヒカリちゃん、ショウコという順番だった。

 ちゃっかりヒロトさんも、めあてのヒカリちゃんの横になってるし——だからこそ席がえもできるとおもった。さらに感動したことに、ショウコがいちばんテラサキさんから遠い席になっていた。心のなかでヒロトさんに拍手をおくった。ビールをついであげると、ヒロトさんから、にやりと表情がかえってきた。あやうく、ほれそうだった。

 これぞ女幹事として、男幹事と共犯関係にあるからこそ使える裏技〝ゲームマスター・シャッフル〟だった。合コンの主催側にまわり、なにかと有利な立場をつくるという〝ゲームマスターメソッド〟の応用技になる。

 あっというまに島流しされて、抵抗もできず、おどろいた顔のショウコに心のなかでワルぶってみた。ごめんなさいね。いわれたとおり好きにしてみたわ。ていうか合コンは個人戦じゃなくて、いろんな意味でチーム戦なのよね。

 これでゲームのシナリオをひっくりかえすことができた。あと一時間もない。もはやのこり時間との勝負。合コンで、ねらった男性とふたりでトークができる絶好のチャンス。愛される女にとって——これを逃す手はない。

 それでは、愛される実験をはじめよう。

■今日の恋愛認知学メモ

・好みのタイプが自分とちがってもあわてる必要はない。

・「どんな感じがするから好きなんですか?」と質問する。その〝感じ〟さえ演出すればいい。相手が好きなのは〝その外見〟じゃない。そんな異性といるときの〝感じ〟だから。

【ゲームマスター・シャッフル】幹事の力で強引に席がえをすること。有利なように席をきめられる。

・さあ恋愛認知学の合コントークのはじまりだ。逆転してみせる!

わたしは愛される実験をはじめた。第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」

https://p-dress.jp/articles/7362

【読むだけでモテる恋愛小説25話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない?」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」
第48話「イケメンのLINEを既読スルーできる?」
第49話「愛される女は自分ばかりを愛さない」
第50話「モテる女のスリリングなLINEの作りかた」
第51話「彼と距離を縮めたいならLINEで〝悪口〟を共有する」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛について語りまくってます。アイコンをおすと飛べるよ。

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