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わたしは愛される実験をはじめた。第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」

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【読むだけでモテる恋愛小説19話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

わたしは愛される実験をはじめた。第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」

■第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」

 土曜日。合コン当日は、メイクもばっちりにした。前日の夜から考えた白のビジューつきトップス、シフォン素材のスカート、ヒールが高すぎないパンプスだった。清潔感ある王道で攻めきるという狙いだ。

 家をでると駅前のコンビニにいった。いつものイケメン眼鏡男子の店員がいた。われながらキモいけど、この服装をみせたかったのもある。レジに商品をおくと気づいたらしく——いつもピーチミントを買う女だと——レンズの奥の瞳が反応した。

「なんか、違う感じすね」

「あ、はい」と、その声をしぼりだすので精一杯だった。毎度ながら、その涼しげなSっぽい表情にどきっとする。まさか合コンですといえなかった。

 そこで「ふうん」と会話は終わった。その場を、週刊誌と低カロリーサラダを手にしたサラリーマンにゆずった。店をでると、レッドブルを一気飲みするより翼が生えた気分だった。なんとコスパのいいコンビニなのか。

 その翼の感覚でふわふわ京都駅にむかった。まずは合コン一時間前にスターバックスで、女性陣だけの顔あわせだった。けれどJRで人身事故があり、もう再開したけれど少しだけおくれるとLINEがあった。

 なんとなく私はヨドバシカメラのコーヒーメーカーの陳列棚にいった。

「あ、お姉さんまたきた」年下っぽい男子が紙コップを配っていた。

「やっぱりいた。学生なの?」

「そうですよ。就活も終わってひたすらヒマな大学生です」

 すかさず彼は紙コップをさしだした。私は、条件反射みたいにうけとった。その珈琲の香りにほっとする。

「今日はどういう用事なんですか? 電化製品? それか僕の珈琲を飲みに?」

「いえ、合コン」私はあっさりいった。なぜか話しやすかった。

「へえ、いいなあ。彼氏募集中なんですか」

「そうそう」と、また私は二杯目の紙コップを受けとった。なんだかペースにのせるのが上手な子だった。「温泉旅行中に、東京いくからって彼氏にふられたの」

「もったいない。お姉さん、いろいろ知ってそうなのに」

「いろいろ?」私はおどろいた。「私がなにを知ってるの?」

「そういわれるとこまるけど——人生とか? なんか大人って感じしますよ」

「そんなこといわれてもコーヒーメーカーは買わないけど」

「いえいえ。僕はこうして」と、そこでまた笑顔で紙コップをさしだした。受けとる私も私だった。「お姉さんに宣伝してるふりをして、あそこの眼鏡のおっさんにアピールできたらいいだけですから」

 私はオーブンレンジコーナーをみた。「あの数学教師みたいな人ね」

「そうそう」彼は笑った。これが子犬系男子なのかなと思った。「お姉さん、なんか話しやすいですね」

 そこでスタバに到着したとLINEがあった。居心地よかったけど、珈琲のお礼をいってひきかえすことにした。ドリンクサーバー感覚でまたどうぞといったあと、彼は、最後に「合コンがんばってください」と声をあげた。ケトルをみていた老人夫婦がふりかえった。はずかしいから静かにして。

 スタバに入った。ドリンクを手にのぞくと、奥の席に、スマホの時計を気にしている女子がいた。たぶん、あの子だ。なんとか紹介してもらった友人の後輩だった。

 でも幹事の私まで緊張してはいけない。恋愛認知学の〝はじめの一歩メソッド〟を使うことにした。とにかくモテる女のふるまいを真似る。待ち合わせは、さっと雑談から入り、一気に距離を縮めること。これはデートだけじゃなく女子のあつまりで、服のほめあいや、軽い自己紹介に時間をとられたくないときにも使える。私は、宇治抹茶ラテを手に「あと一人は、もうちょっと遅れるみたい」と席についた。

「あ、はじめまして」ヒカリちゃんは顔をあげた。ポケットに入れたいくらい可愛かった。佐々木希をちいさくした感じ。男幹事の希望をかなえるために探してもらったのだ。

 あと正直、自分と違うタイプの女子をそろえるようにしたのもある。すると男性側に外見を比較されない。むしろ「タイプの違う女子がそろってるなあ」とみてもらえるから。ルックス勝負じゃなくなるのだ。これは恋愛認知学の〝ふぞろいの女たちメソッド〟だった。

「このスタバの場所ってわかりやすかった?」私はいった。

「あ、はい」

「よかった。ヒカリちゃん雰囲気ですぐにわかった。LINEの文章とおんなじ印象かも」

「そうですか?」ヒカリちゃんは笑った。「どこがです?」

「なんだろ。スタンプとか——ひらがなの感じ?」

「なんですかそれ」

 私は紙コップを手にうなずいた。「今日はがんばろうね」

「ミホさんって、すごいんですね」私の顔をながめたあと唐突にヒカリちゃんはいった。

「え、なんで?」私はのどに宇治抹茶ラテがつかえそうになった。「なにが?」

「いい男ばかりそろえたって聞いてるから。あ、べつにハードルをあげてるとかじゃなくて。単純にすごいなって。私、ずっと女子校だったから、そんなに男性の知り合いないし」

「ちょっとちがうかも」

「はい?」ヒカリちゃんはまばたきした。森でドングリを食べていそうだった。

「たくさんの男性と知り合う必要はないの」私はひとさし指をたてた。そのポーズはだれかの真似のような気もしたが気にしないことにした。「たくさんの男性を知ってる一人とだけつながれば同じことだから」

 ヒカリちゃんは感心しきった顔だった。「はあ——すごい考えがあるんですね」

 これ以上しゃべるとボロがでそうなので、すました顔で宇治抹茶ラテを飲むことにした。すると慣れないことをしたから気管に入ってゴホゴホむせた。それをみて横のマセた小学生が爆笑したのをキッとにらんだ。

「じゃあ」ヒカリちゃんはいった。「こうやって集まるのも考えがあるんですか?」

「現地集合もいいけど——」むせながら私は紙ナプキンに口をあてた。「みんな初対面だから、おたがい顔をあわせた方が空気をつかめると思って。ほら、居酒屋でいきなり集合したら、なんの情報もないままでしょう? いつまで彼氏がいたとか。タイプとか。気をつかったままだと飲み会の空気もかたくなると思って」

「すごい」ますますヒカリちゃんの目が輝いた。「ミホさん超尊敬です」

「女子ってそういうとこあるもんね。謎の牽制みたいな」

「ほかに合コンのコツとかってあるんですか?」ヒカリちゃんは前のめりになった。

「え、コツ?」

「実は、合コンって初めてなんです」ヒカリちゃんは髪をさわった。「半年前に、四年間つきあってた彼氏とわかれて——急にフラれたみたいな——それから全然出会いもなくて。落ちこんでたんですけど。こういう場所に顔をださないとダメだなって。それで声をかけてもらって参加した感じなんです」

「そっか」おもわず自分と重ねあわせた。私だって温泉旅行中にふられた女だった。「失恋っていきなりくるよね」

「そうなんです。だから、合コンのコツを知りたいんです」

「コツっていうほどでもないけど」だからと恋愛認知学だともいえなかった。私は眉をよせた。「うん、自己紹介と雑談をあらかじめ考えておくとか?

「なんか就活みたいですね」

「あ、近いかも」私はうなずいた。「なんでも言葉にしないと伝わらないし。だまってるだけでも、男性側が、自分のことをわかってくれるっていうのは期待しすぎじゃないかな。やっぱり伝えるべきことは伝えるべきだと思う。私たちは、もう大人で、ただ楽しむためじゃなく恋人を探すために参加するんだから——お金まではらって

「どんなふうに考えるんですか?」

 私はテーブルをふく緑エプロンの店員をみた。「仕事も、私の場合は、たんに〝美術品販売会社で働いてます〟ってだけじゃなくて〝学生時代から日本史が好きでした。とくに鎌倉時代はテンションがあがります。いまは京都の会社で、日本のアートを海外に広める手伝いをしてます。国宝級の絵画とかをみられたときは幸せです〟みたいな?」

「さすがですね」ヒカリちゃんは息をもらした。「くっきりイメージできる感じ」

「そうそう」私はいった。「人間ってストーリーで理解するから」

「ミホさん、すごすぎです」

あとはキーワードを決めておくことかな。この場合は〝日本の美術〟みたいに。自分らしいのが三つくらいあればいいかも。例えば〝ラーメン〟が好きで、よく一乗寺をめぐるけど、女子一人は、けっこう恥ずかしいとか——それぞれ人間味を感じる話をつける。この三つをなげると、どこでも使えるかも」

「私、そんなふうに自己紹介できない気がするなあ」

「私も得意なわけじゃないよ。たぶんいまの百分の一もしゃべれないと思う。だから考えてみただけ。合コンはチームプレーだし——がんばろ?」

 私は三秒後、あれ、と首をかしげた。ヒカリちゃんは尊敬のまなざしで、こちらをみている。今日はなんでこんな立場になってるんだろう。謎だった。

「もう一つの雑談っていうのも気になるんですけど」ヒカリちゃんは髪を耳にかけた。ホワイトモカを飲んだ。「芸人さんみたいに、すべらない話を用意するんですか?」

「まさか」私は笑った。「いくつか〝最近なにかあった?〟ってきかれたときに、ぱっといえることがあるといいなって。同窓会に初恋の人がいたとか。はじめてトマト鍋を食べて微妙だったとか。それこそ駅で変な人をみかけたとか。話の種って感じ」

「初対面って、案外、話題にこまりますよね」

「あらかじめ用意すれば、なんとかなりそうじゃない? もちろん用意したからって絶対使う必要もないしね」

「そっか」ヒカリちゃんはいった。「使わなくていいのか」

「これは〝ストック〟というメソッド」私はキメ顔でいった。完全にベニコさんの受け売りだった。「まさに弾をこめたピストル。いつでも撃てるようにだけしておく」

「ピストル?」ヒカリちゃんは不思議そうな顔をした。「なんです?」

「いや、なんでもない」私はあわてて首をふった。すごいはずかしかった。

 そこに「おくれてごめんなさい」と、最後の一人が登場した。同僚に紹介してもらったショウコだった。ちょっとだけ高めの身長に、コンサバっぽいベージュのタイトワンピ。でも実際は、その裏に計算をはりめぐらせて完璧に男ウケを狙っているのがわかった。

「いい男ばっかりくるんでしょう?」ショウコは到着するなりいった。「あ、あらかじめ宣言しとくけど、私、狙ったイケメンはゲットするタイプだから。合コンは個人プレイだし初対面だからって文句ないでしょ? よろしくね」

 あ、この合コンあれるかもと思った。

■今日の恋愛認知学メモ

・合コンを開くために、たくさんの男性と知り合う必要はない。たくさんの男性を知っている一人とつながればいい。

・合コンの前にあつまると情報を共有しやすい。空気もほぐれる。

・【ふぞろいの女たちメソッド】自分と違うタイプのメンバーをそろえるメソッド。男性側にルックスの差でなく、タイプの違いとして受けとってもらえる。

・【ストック】自己紹介や雑談をあらかじめを用意しておくこと。

・さっそく不安なんだけど。この合コンどうなっちゃうの?

わたしは愛される実験をはじめた。第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」

https://p-dress.jp/articles/7020

【読むだけでモテる恋愛小説20話】30代で彼氏にふられ、合コンの男にLINEは無視されて……そんな主人公が“愛される女”をめざす奮闘記。「あんたはモテないのを出会いがないと言い訳してるだけよ」と、ベニコさんが、あまえた“パンケーキ女”に渇を入れまくります。恋愛認知学という禁断のモテテクを学べます。

【エピソード】

第1話「黙って座りなさい、モテる女にしてあげるから」
第2話「モテたくない? だからあんたはパンケーキ女なのよ」
第3話「みつめるだけで男を口説き落とす方法」
第4話「この不公平な世界で女がモテるには?」
第5話「魔法のように男を釣りあげるLINEテクニック」
第6話「なぜモテる女は既読スルーを使いこなすのか?」
第7話「男に愛想をつかされないデートプランの作り方」
第8話「デートは5分遅刻する女が愛される?」
第9話「モテたいなら男と恋バナをすること」
第10話「ボディタッチを重ねても男は口説けない」
第11話「愛される女はさよならを知っている」
第12話「パンケーキ女、ひさしぶりの合コンで撃沈」
第13話「合コンでサラダをとりわける女子がモテない理由」
第14話「合コンに100回いっても愛されない女とは」
第15話「合コンのあとに男心を釣りあげるLINE術」
第16話「合コンにイケメンを呼びよせるLINE誘導術」
第17話「合コンには彼女持ちがまぎれているので要注意」
第18話「モテる女はグラスを近づけて男の本能をゆさぶる」
第19話「モテる女は自己紹介からデザインする」
第20話「顔をあわせて5秒で脈アリかをさぐる方法」
第21話「なぜ空気を読める女はモテないのか?」
第22話「ひとみしりを克服する方法」
第23話「友人がフラれた話をして恋愛観をさぐりだせ」
第24話「相手の好みのタイプになれなくても逆転するには?」
第25話「モテる女はさらりと男から共感をひきだせる」
第26話「場の空気にすら愛される女はここがちがう」
第27話「愛されたいなら二次会にいってはいけない」
第28話「合コンの夜にLINEを送るとモテない?」
第29話「私たちはモテそうな男ばかり好きになってしまう」
第30話「まだ男は浮気しないと信じてるの?」
第31話「モテる男に挑戦する? モテない男を捕獲する?」
第32話「恋愛の失敗は、自分がなにをしているか理解してないときにやってくる」
第33話「優秀で私だけを愛してくれるオスはどこにいる?」
第34話「私たちは想いを言葉にすることで愛される女になる」
第35話「モテない男を捕まえるためにメイクより大切なこと」
第36話「なぜあの女はハイスペック男子に選ばれたのか?」
第37話「男との会話を笑顔で逃げる女がモテない理由」
第38話「男の機嫌をとるためだけに笑ってない?」
第39話「恋愛対象外の男子に失礼にふるまってない?」
第40話「まだフラれてることに気づいてないの?」
第41話「モテる女はLINE1通目から男心を罠にかける」
第42話「暴走しがちな恋愛感情をおさえるマインドフルネス?」
第43話「いい男はよってこない、いいよってくる男はつまんない?」
第44話「LINEで絵文字を使うほどモテなくなる?」
第45話「LINEは疑問符をつければ返事がくると思ってない?」
第46話「男に未読スルーされないLINEを作ろう上級編」
第47話「男の誘いLINEに即答でのっかる女はモテない」
第48話「イケメンのLINEを既読スルーできる?」
第49話「愛される女は自分ばかりを愛さない」
第50話「モテる女のスリリングなLINEの作りかた」

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浅田 悠介

マジシャン。ツイッターで恋愛について語りまくってます。アイコンをおすと飛べるよ。

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