大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう
もうすぐやってくるクリスマスは、誰かにとっては特別な日かもしれないし、別の誰かにとっては、どうでもいい日なのかもしれない。けれど、その浮かれた時間はすべての人に平等にやってくる。今回、街で見かけたのは、そんな”特別”をただただ楽しんでるように見えた大人の女性。彼女の姿から、自分なりの理想のクリスマスを妄想してみる。
街を歩いていて目を惹くあの人。
なぜその人にひかれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。
その人から感じられる素敵な生活を妄想してみた。
■「大人だから浮かれてはいけない」なんて誰が決めたのだろう
気がつけば12月も半ばを過ぎた。
キラキラと輝くイルミネーションに照らされ、街が息を弾ませているように見える。
そんな街中で見かけた、華やかな装いが素敵なひと。
ソバージュのかかった黒髪ボブに80年代の香りがする大きなフェイクファーのコート。
ボトムに合わせた鮮やかなライトグリーンのサテンスカートが動くたび足のラインを映し出していて、なんともかっこいい。
自分より少し上の年代だろうか、耳元に輝くハートのゴールとピアスがチャーミングで大人の遊び心を感じる。
ゆっくりとウインドウショッピングをした後、カフェでひとりランチを楽しんでいた彼女。
誰かに会うための装いではなく、ホリデーシーズンの空気をただ楽しんでいるように感じられる。
大人だから浮かれてはいけないと、誰が決めたのだろう。大人だからクリスマスムードをとことん楽しむ、そんな彼女の生活を妄想してみた。
■大きな楽しみは、その日までの小さな楽しみでできている
そう、たとえば、いつもの黒いニットの顔まわりに、思い切り色味や輝きを散りばめてみる。
フューシャピンクのリップに、ラベンダーのアイシャドウ、下まぶたにはグリーンの大粒ラメをのせ、イエローのビンテージピアスを片耳にオン。
この時期ばかりは引き算なんてしなくていい。
好きなものを全部集めてみましたという感じこそが、可愛いのだ。
ホリデーシーズンに身に付けたいのがハッピーなモチーフ。
シアーな黒の生地に星が輝くソックスにゴールドのハイヒールはどうだろう。
こんな足元で街に出かけたら、足どりが軽くなるに違いない。
ツリーがなくてもクリスマスムードは楽しめる。枝ものを買ってきて、お気に入りのオーナメントをかけるだけで自分だけのツリーになる。
秋にたくさん拾ったドングリや松ぼっくりをキャンドルと一緒に並べるだけで、クリスマスムードのインテリアを楽しめる。
お気に入りの洋酒が入ったシュトーレンを見つけたら、少しずつ切り分けて、クリスマスを待つ日々を楽しむ。
案外待っている間のこうした時間が一番楽しかったりするのだ。
大きな楽しみは、その日までの小さな楽しみでできている。
■「サンタさんって本当はいないの?」娘の質問にしらばくれてみる
――なんて妄想をしながら子どもの頃の記憶を思い出す。
スノードームを眺めながら、ワクワクそわそわとクリスマスのその日を待ちわびる。
朝起きて、プレゼントが枕元にある高揚感。
9年前に娘が産まれてからは、自分がサンタとしてクリスマスの夜に仕事をしているわけだが、
娘も9歳。近頃はサンタの正体を気付きはじめているようだ。
「サンタさんって本当はいないの?」
娘の質問にしらばくれてみる。もう少しだけサンタでいたいのだ。
寝ている娘を確認したら、いそいそとプレゼントを仕込む楽しみ。
夢を与えているようで、夢見ているのは自分のほうだろう。
サンタの正体はまだ開かせないが、どうせなら今日からは堂々と浮かれよう。
そう思ってクローゼットを思い切り開けてみた。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。