シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活
イラストレーターであるヤベミユキさんによる、『素敵なひとの素敵な生活』連載がスタートしました。街で見かけたおしゃれな雰囲気とファッションを纏う人の生活をすこしだけ想像してみます。
街を歩いていて目を惹くあの人。なぜその人にひかれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。
あの人ならきっと…そんな素敵な生活を妄想してみた。
先日、電車の中で見かけた素敵なひと。
シンプルな装いに髪の毛が見えないほどにぐるりと潔く巻かれたスカーフ。
それがなんとも彼女らしい色合いで、使い込んだその質感から、彼女が生活の中でこのスカーフを愛用していることが感じられる。
マイスタンダートである一枚の美しい布を、さまざまなシーンで使う。なんて素敵なことだろう。
そう、たとえば日差しが強い時に頭から被って日よけにしたり、逆に寒いときは大きく広げて肩から纏う。スカーフは小さく畳めるから、帽子や上着を持ち歩くよりスマートだ。
また、友人に手土産を持って行くときは、スカーフの端を結んでサブバッグにする。適当な紙袋に入れるくらいなら、この方がずっと素敵だし、帰りも空の紙袋を持ってガサガサしなくてもいい。
帰宅後は玄関のお気に入りスペースにさっとかけて見せる収納に。
纏うのに飽きたら、額に入れてアートとして楽しむのはどうだろう。職人さんがこだわって作った上質なスカーフは広げても一枚絵のように「見せる」力がある。
なんて妄想をしながら、未だ運命のスカーフに出会えていない自分に気づく。
まずはここからだ。
お気に入りのビンテージショップで出会いを待つしかないか。
それとも祖母の秘密の倉庫を物色させてもらおうか。
そんなことを考えながら年末の帰省の計画を立ててみた。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。