凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会
秋の深まり、冬の足音――。季節の移ろいとともに、街で見かけた素敵なひとを紹介する『素敵なひとの素敵な生活』。今回見つけたのは、凛とした”冬質”の空気を纏うひと。スカイブルーのハイゲージニットにダークブルーのコーデュロイパンツ。ブルーのワントーンが素敵なそのひとの生活を想像の世界からすこしだけ覗いてみます。
街を歩いていて目を惹くあの人。
なぜその人にひかれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。
その人から感じられる素敵な生活を妄想してみた。
■先日、街で見かけたのは、凛とした”冬質”の空気をまとうひと
先日、街で見かけた凛とした“冬質”の空気を纏うひと。
スカイブルーのハイゲージニットにダークブルーのコーデュロイパンツ。ブルーのワントーンが素敵。
そこにさした白いシャツとシルバーの小物が効いている。
艶やかな巻き髪ベリーショートにローズピンクの儚げなメイクがマッチして、彼女が通ったところに凛とした空気が残る。
そう、無駄のない凛とした美しさ、まさに“冬質”だ。
秋のスタートダッシュに遅れをとり、慌てて秋服でも探そうかと思っていた私は、彼女を見て、ああ、秋の次には冬が来るんだな、と当たり前のことを考えた。
外見も内面も重ねて「深まる」ことを楽しむ秋。
色づいた葉の華やかさも好きだが、それらが落ちた後の枝は、生物の本質をあらわしているようでもっと好きだ。
秋を楽しんだ後は、済んだ冬の空気のような、静かなムードを楽しみたいものだ。
■年に二回の衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会
そう、たとえば、おろしたてのモヘアのニットにパウダリーな血色メイクを重ねてみる。
ファーやモヘア、カシミヤなど、冬素材は間違えるとリッチになりすぎるから、メイクは引き算を心がける。
丁寧に保湿をして、肌に潤いを閉じ込めたら、粉雪のようなフェースパウダーをのせる。色は血色だけ、ローズピンクを目元と唇にオン。ハイライトにラベンダーを重ねてもいい。アンニュイで幸福感もある“冬質”なメイクが出来上がるだろう。
“冬質”を手っ取り早く楽しむなら枯れ木を花瓶に飾るのもいい。
自然の作る造形美は美しいし、枝物はインテリアがモダンに仕上がる。
冬本番になったら、ここに蚤の市で集めたお気に入りのオーナメントを飾る楽しみもある。
凛とした“冬質“な空気を纏うためにはデトッックスも大切だ。
むくみも、疲れも、不安も、嫉妬も、溜め込んではいけない。
湯けむりの中、何も考えずにただひたすら時を過ごす。体が軽くなったら心も軽くなっているだろう。
年に二回の衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会だ。
去年の冬、何かしら「こうなりたい」と思って着ていた服。
今着てみて、どうだろう、今の「こうなりたい」とマッチしているだろうか。
その服が持つイメージが、今の自分に必要がないなら潔く手放そう。
なんて妄想をしながら、ちらりとクローゼットに目をやる。
ズボラな私でも、クローゼットの整理だけは定期的に行って来たのに、今年はまだ手付かずだ。
アパレル業界からイラストレーターになり、環境が大きく変わった二年目の冬。実はおしゃれの迷子を拗らせている。
それは生きる上で前に進むために、何を選び、何を手放すべきか迷っているのだ。
そろそろ決めなければ、そう思いながら夜明け前の窓を開けた。
しんとした静かな空気が入って来た。凛とした冬が足音を立てずに近づいて来ているのを感じた。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。