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不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する

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街を歩いていて目を引くあの人。なぜその人に惹かれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。その人からイメージをふくらませて、素敵な生活を想像します。イラストレーター・ヤベミユキさんの連載エッセイ。

不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する

■無駄を削ぎ落とした、マダム特有の美しさ

先日、街で見かけた、黒い服と白髪のコントラストが美しいひと。

70代くらいだろうか、体のラインが出るぴったりとしたカットソーからは、しっとりとした白い腕がのびていて、胸の位置が下がったボディラインも、パンと張った若い人のそれとは違うが、美しい。

バレリーナのようにひらひらと舞うスカートは透け感があり、そこから覗くセンタープレスの入ったパンツとのレイヤードがモードでいい。

シンプルで無駄を削ぎ落としたスタイリングに、成熟した雰囲気。改めてマダム特有の身体の美しさを目の当たりにした。
華やかなおしゃれを楽しむマダムも好きだが、彼女のシックなスタイリングもぐっとくる。

彼女のように余計なものを手放して、身ひとつで魅せることができたらどんなにいいだろう

■「老いていくこと」は、今日までしっかり生きてきた証

そう、たとえば。

まず、心の中を書き出してみる。
したいこと、したくないこと、どちらでもないことを書く。
書いてみると、不必要なものを抱えすぎて、大切なものに手を伸ばせない自分に気づく。


次に向かうはクローゼット。
自分のワードローブをすべてひっくり返してみる。
何度着てもしっくりこない洋服は、流行っていたからとか、他の誰かになりたかったとか、
他人目線で選んだものだ。服を着るのは自分自身なのだから、そういった洋服は真っ先に手放したい。


なんとなく飲んでいるサプリ
なんとなく塗っているファンデーション。
なんとなくずっと使い続けているもの。

自分自身は常に変化していくのだから、不必要になったら手放していきたい。
それは本当に必要なのだろうか。と常に自分に問うことが大切だろう。


なんとなくもやもやするときは、家中が不必要なもので溢れていることが多い。
そんなときは、家中の写真を撮影してみる。

私も写真を撮ってみて驚いた。
壊れた何かの部品や使っていない昔の携帯、謎の薬。「なぜこれがここにあるか」というものが、都合よく見て見ぬ振りをしていただけで、数カ月間もそこにいたのだから。


しかし、なぜこんなにも不必要なものに囲まれていたのか。
昔から自己肯定感の低さに悩んできた私は、何でもできるそつのない人に憧れた。
自分の足りないところばかりが気になり、その度に代わりのもので埋めていったのだ。

今それらを手放せばいいのだが、かといって、今この瞬間身ひとつになったら、私は胸を張って歩けるだろうか。


骨盤ケアを怠り出産後に大きくなったお尻、うっすらと入った眉間のシワ、
年々大好きな洋服が似合わなくなっていく理想と違う自分。

だけどそこを否定してしまうと、また不必要な別の何かを抱えてしまうのだろう。


大きくなったお尻は私なりに懸命に子どもを産み育てた証だし、眉間にしわを寄せながらたくさん悩んで人生を選択をしてきたし、「老いていくということ」は、今日までしっかり生きてきた証なのだ

家族が寝静まっている早朝4時、下着姿で鏡の前に立ってみる。
思い描いている自分ではないが愛しい自分。大切な自分に必要なものをひとつずつ足していこう。

そう思いながら、今日の服を選んだ。

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ヤベ ミユキ

イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。

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