帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます
イラストレーター・ヤベミユキさんが街で見かけた素敵なひとを紹介する、『素敵なひとの素敵な生活』。今回は、朱赤の帽子×ブラウンの配色でオシャレを楽しむひと。帽子のある生活で、眠っているおしゃれ心を呼び覚ましたい。
![帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます](https://p-dress.jp/uploads/article/image/8546/52598680_333323407526334_6455385426990465024_n.jpg?t=1721418047)
街を歩いていて目を引くあの人。なぜその人に惹かれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。その人からイメージをふくらませて、素敵な生活を想像してみた。
■朱赤の帽子を主役に、絶妙な配色を楽しむひと
![](https://p-dress.jp/uploads/content/image/134640/52605457_2240918776227608_8180995422714593280_n.jpg?t=1551063056)
先日、街で見かけた、帽子を主役にした配色が素敵なひと。
目の冴えるような朱赤のニット帽は、ヨーロッパ製だろうか、ウールの発色が美しい。
そこにキャメルがかったブラウンのアウターを合わせていて、朱赤×ブラウンの配色が目を引く。
インナーに着たシフォンのチェックシャツの裾からは、レギンス1枚の脚が伸びていて潔い。
彼女の帽子ありきの配色のチョイスから、日頃からいろいろな帽子を楽しんでいるのが感じられる。
私のように、外出前に帽子もあったほうがいいんじゃないかと悩み出し、気恥ずかしくなって出先で外す、なんてことはないのだろう。
彼女のように帽子を自然に楽しめたらどんなにいいだろう。
■自分に魔法をかけてくれる偏愛アイテム
![](https://p-dress.jp/uploads/content/image/134644/52952621_1500876786718585_6245876484204920832_n.jpg?t=1551091133)
そう、たとえば、
春夏になったらラフィア素材のつば広帽を楽しむ。
日よけのためだけではなく、顔まわりを美しく彩るため。
そのためには日差しが強ければ強いほどいい。
ラフィアの隙間から落ちる光と影が、あなたをアンニュイでドラマチックな雰囲気に引き上げてくれる。
クラシカルな洋服が増える秋冬は、仕立ての良いウールの帽子を楽しむのもいい。
ベレー帽はエレガントな、ハット系はジェンダーレスなムードを纏える。
パンツスーツにベレー帽、ロングドレスには中折れ帽と、真逆のイメージのかけ合わせるとお互いが引き立つ。
帽子を買うときに合わせて購入したいのが、専用の帽子箱。
帽子のシルエットを保ってくれるので、長いスパンで美しく使える。
何よりも、置いておくだけでインテリアを彩ってくれるビジュアルが嬉しい。
ところで。
帽子のおしゃれへの情熱を一番持っているのは、間違いなくマリーアントワネット時代の貴婦人たちだと思う。
このファションが好きかどうかはともかく、ここまで作り込める情熱に敬意を感じる。
おしゃれは楽しんだもの勝ちだと証明してくれている。
私はおしゃれを楽しんでいるのだろうか。
前職のアパレル時代で集めた洋服はクローゼットに眠っているし、 今日に至っては朝からメイクすらせずに原稿を描いている。
昔は私こそ帽子を偏愛していて、買い集めるだけでは物足りず自作すらしていたのに、その情熱はどこへやら。
忙しさを理由にしているが、本当は自信がないのだ。
そんな自分を大いに反省する。
思い切ってクローゼットを開けてみる。
チュールのついたRADAのベレー帽、 これが好きだった。
かぶるだけで理想の自分に近づける気がして、勝負の日には必ず身につけていた。
偏愛アイテムはいつだって自分に魔法をかけてくれる。
気づくと冬も終わろうとしている。
絵を描いて満足していてはいけないのだ。
来週は春の偏愛アイテムを探しに行こう。
いつか着たいと思っているmameの服を、「いつか」ではなく今年こそ買おうと誓った。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。