秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵
イラストレーター・ヤベミユキさんによる、連載『素敵なひとの素敵な生活』では、街で見かけた素敵な雰囲気を纏う人の生活を想像していきます。今回見つけたのは、深まっていく秋のように繊細で美しい色をまとう綺麗なひと。季節の移ろいや深まりを楽しんでいるかのようなその女性の生活を、想像の世界からすこしだけ覗いてみます。
街を歩いていて目を惹くあの人。
なぜその人にひかれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。
その人から感じられる素敵な生活を妄想してみた。
先日、公園で見かけた繊細な色の重ね方が綺麗なひと。
色落ちしたデニムに薄紫のスウェット、首元にはボルドーのスカーフが巻かれていて、グラデーションが素敵。
マスタードイエローのマウンテンシューズがコーディネートに変化を与えている。
美しい配色は静かに深まっていく秋のようで、彼女が季節の移ろいを楽しんでいるのが感じられる。
■秋が深まるこの時期に、おしゃれも暮らしも深めていきたい
季節の中で唯一『深まる』という表現をする秋、美しく色付いていく木々の葉を表しているのだろうか。それとも熟していく果実だろうか。
どちらにせよ自然が作り出すものは美しい。
秋が深まるこの時期、おしゃれも暮らしを見つめ直して、深めていていけたらどんなに良いだろう。
■忙しいからと後回しにしていることを、丁寧に見つめ直してみませんか?
そう、たとえば、この時期ならではのレイヤードを楽しんでみる。
暑さ寒さもなく、上からアウターを重ねる必要がないこの時期は、トップスのレイヤードがとことん楽しめる。
総レースのボリューミーなブラウスにざっくりとしたモヘアニットを重ねるのはどうだろう。相反する素材感がドラマティックで、着ている自分が酔いしれるだろう。
また、いつものメイクに秋色を重ねるのも楽しい。
洋服の素材感が重厚になってくるから、メイクも色味を重ねて深みを出すと、着こなし全体に奥行きが出る。混ぜることで生み出された色味が、意外にも自分の肌にマッチして新しい運命の色になるかもしれない。
読書の秋、お気に入りのブランケットを片手にジンジャーティを入れて、
日が暮れるまで読書をするのもいい。
その日は何もせずに、インプットだけ。
忙しいと後回しになってしまう自分の気持ちと、とことん対話する時間も必要だ。
芸術の秋、美しく色づいた落ち葉を集めたら、並べて壁に貼る。それだけで自宅がアートギャラリーに。
美術館に足を運ぶのもいいけれど、美しいものは身近にもある。
自然が作るアートには、ひとつとして同じものがないから、ぐっとくる。
なんて妄想をしながら、我が家の庭が目に入る。
また今度と言い訳しながら伸びきった木々。
これだけ自然美を語ったのだから、やるしかない。週末は手入れをしよう。
彼女の姿を忘れないうちに秋の深まりを楽しむのだ。そのあとは庭で読書をしよう。妄想が現実となるように。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。