セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと
イラストレーター・ヤベミユキさんによる、連載『素敵なひとの素敵な生活』では、街で見かけた素敵な雰囲気を纏う人の生活を想像していきます。今回見つけたのは、シンプルなツインニットのカーディガンを着こなす素敵なひと。彼女のように、生活を色やブランドで統一すれば、今よりもっと上品に暮らしを楽しむことができそう。
街を歩いていて目を惹くあの人。なぜその人に惹かれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。
その人から感じられる素敵な生活を妄想してみた。
■着崩さないツインニットのカーディガンで、品の良さを演出
先日、街で見かけたのは、ツインニットを素敵に着こなすひと。
50代くらいだろうか。ベリーショートに赤リップ、何より目尻に入った笑いジワがなんともチャーミング。
ツインニットのカーディガンは着崩さずにきちんと袖が通されていて、綺麗な直線を描く足さばきと同様に、品の良さが感じられる。
ミックスすることが主流の今、いろいろなものが溢れていて、あるとき、ふと加減がわからなくなる。
そんなときは、セットのものをシンプルに揃えて使う、そんな生活で自分のスタイルを整えたくなるものだ。
■きちんと統一する生活を選んでみる
そう、例えば、身につけるアクセサリーの色味を統一する。バッグやベルトなど、小物の金具部分も忘れてはならない。
「シルバーとゴールドをミックスすると、こなれ感が出る」なんて言われているけれど、統一することで、いつものTシャツとパンツのスタイルでも、知的で洗練された印象に仕上がる。
また、ランジェリーとお揃いの、繊細なレースのスリップを纏ってみる。
洋服を着てしまえば見えないところではあるが、そういった部分こそ自分を高めてくれる。帰宅して洋服を脱いだら、美しいランジェリー姿でひとりの時間を楽しんではどうだろう。
お気に入りの食器を見つけたら思い切ってセットで揃えるのもいい。
良い食器はまとめて買うのに勇気がいるけれど、毎日の食卓が美しいと間違いなく幸福度が上がる。
毎日使うタオルも、質の良いもので統一したい。
間違っても、商店街でもらった「〇〇商店」と書いてあるタオルを差し込んではいけない。そういったタオルは薄くて使い勝手がいいから、潔く雑巾にするといい。
――なんて妄想をしながら、我が家の食器棚が目に入る。
片方が割れてしまって、ひとつだけ残ったお茶碗、小鉢、スープ皿。揃える前にまずは捨てなければならない。いろいろなものが溢れているのは私の心の中だ。
今のままでは、あの女性のように美しくツインニットは着れないだろう。
ツインニットの持つ品の良さに気恥ずかしくなり、出先でそっと鞄にカーディガンをしまうのが関の山だ。
まずは断捨離をするのだ。ニットの時期が終わる前に。
『素敵なひとの素敵な生活』のバックナンバー
#1「シンプルなTシャツに、むら染美しいスカーフ。素敵なひとの素敵な生活」
#2「初秋の着こなしが素敵な人。アメリカンスリーブのニットに襟の抜いた大きなシャツの組み合わせ」
#3「セットものをシンプルに。ツインニットを素敵に着こなすひと」
#4「秋の深まりを楽しむ着こなし。繊細で綺麗な色使いが素敵」
#5「凛とした冬の足音が聞こえる季節。衣替えは、自分のイメージを更新する絶好の機会」
#6「食べることは、生きること。自分を慈しむ、王様のような朝食を」
#7「あなたは大切な人と過ごしている時、どんな顔をしていますか?」
#8「大人だからクリスマスには浮かれてはいけない、なんて誰が決めたのだろう」
#9「ざっくりニットでゆったりとした年の瀬を。除夜の鐘に耳を傾け、新しい年に想いを馳せる」
#10「新春。取り巻くすべてを楽しみながら、新しい自分を見つけてゆく」
#11「女の子は誰だって女優。さまざまな自分を演じる楽しみ」
#12「バレンタインだから楽しみたい、ドラマチックな女性性」
#13「帽子のある生活で、“おしゃれを楽しむ心”を呼び覚ます」
#14「出会いと別れの季節こそ、立ち止まってノスタルジーに浸りたい」
#15「“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ」
#16「不要なものを手放し、今まで懸命に生きてきた自分自身を愛する」
#17「『どうせ私なんか』をやめてみる。おしゃれを楽しむ少女が教えてくれたこと」
#18「忙しない毎日。ときにはだらだらと、心ゆくまで休んでもいい」
#19「小さな思考や選択の積み重ねが、素敵な自分をつくってくれる」
#20「動いて、食べて、眠る。その繰り返しが、未来の美しさの糧になる」
#21「ときには梅雨のアンニュイな空気に浸り、雨の美しさに目を向ける」
#22「今年の夏は一度きり。目で、耳で、肌で、儚い季節をめいっぱい楽しむ」
#23「朝顔のように自然体で、自由に腕を伸ばして生きればいい」
#24「潔くなくても、不器用でもいい。愛すべき『私のスタイル』はきっとある」
イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。