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“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ

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イラストレーター・ヤベミユキさんが街で見かけた素敵なひとを紹介する、『素敵なひとの素敵な生活』。今回は、透明感と強さを併せ持つ袴姿の少女から、「そのときだけの美しさ」を大切にする生き方を考えます。

“今”の美しさに気づき、その瞬間を生きるということ

街を歩いていて目を引くあの人。なぜその人に惹かれるのか、そこに感じられるのは背後にあるライフスタイル。その人からイメージをふくらませて、素敵な生活を想像してみた。

■少女と女性の狭間にいる、凛とした袴姿の彼女

先日、夕飯の買い物をしている時に見かけた、横顔と艶やかな黒髪が印象的な袴姿の少女。
小学校の卒業式だろうか、手には黒い筒に入った卒業証書が握られている。

決して華美ではない古典的な着物とニュアンスのあるブラウンの袴が、彼女の凜とした一重まぶたを引き立てる。
シンプルに束ねたロングヘアは、まだ手を加えていないのだろう。艶やかでとても美しい。
それに対比して、おでこのふわふわとした産毛がなんとも愛らしい。

なんという透明感と強さ。
少女と女性の狭間である彼女だからこそ放つ空気感なのだろう。

女性はいつだって、そのときだけの美しさが宿っている。
今だけの美しさに気付き、楽しめたらどんなにいいだろう。

■死があるから人生は美しい

そう、たとえば。
桜を一枝買ってきて、開花から散りゆく様子まで楽しんでみる。
散りゆく花びらは美しく、決して咲いている花だけが全てはないことに気づく。
そんな様はどことなく人生のようでもある。

その時々の美しさは、感情にも宿っている。
今一度、自分の喜怒哀楽を大切にしてはどうだろう。
悪い感情も含め、どんな感情も自分の大切なものであるのだから、都合よく切り離してはいけない。
今その瞬間の自分の感情を慈しみ、受け止めたい。

最近切実に思うこと。
歳を重ねる変化を、ファッションとして楽しめる女性でありたい。
どうも日本の女性は若くいることがもてはやされていて納得いかない。
海外のスナップなんかを見ていると、白髪やシワを引き立てるファッションを楽しむマダムを目にする。彼女たちは本当に美しく、心からリスペクトしている。


ところで、自分の誕生日はちゃんと祝っているだろうか。

「自分はもう歳だし、いいんです」という日本人の謙虚さのせいだろうか。
大人になると、だんだんと祝わなくなっていく人が多く、私もそうだった。

でも、自分が新しい年になったことは大ニュースなのだ。

ホールのケーキを買ってきて、大好きなフルーツと花を飾り、いくつになっても盛大に祝ってほしい。
一緒に祝う人がいなくても、自分で自分に心からおめでとうを言ってほしい。
この世に生まれてきたことは奇跡なのだから。

なんて考えていると、
ねえ、ママ、なんで人は死ぬの? 私、死にたくないんだけど
と長女がつぶやくように問いかける。
近頃、生と死に興味津々の年頃。死を考えると眠れなくなるらしい。

どう答えるのが正解なんだろうと迷いながら、
「生き物は進化するために生まれて死ぬんだよ」
と浅いうんちくを並べて話すのだか、
「ふうん、(そんなこと言われてもね)でも、死にたくないし、人生が一生続けばいいのに」
と納得できないようだ。

私だって、死は怖いし、できるものなら家族とずっといたい。
でも、終わりのない映画はつまらないように、死があるから人生は美しいのだろう。
そのことに気付けたのは、ふたりの娘という大切な存在ができたからだ。

ああしまった、そのことを伝えればよかった、と大いに後悔する。

娘たちが起きたら一番に伝えよう。
あなたがいるから、私の人生は今日も素晴らしいのだと。

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ヤベ ミユキ

イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。

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