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人生とは「自分を楽しませること」。世間の幸せ指標を基準にしない【植村絵里】

他人の評価を過度に意識したり、他人に自分の価値観を強制したりするのではなく、自分が今この瞬間を楽しく生きることを通じて、そのエネルギーを周囲にシェアしていこう。人生とは、自分を楽しませること。そして、好き勝手に人生を楽しんでいる自分の姿を見て、人々の希望になれたら最高ではないかと思うのです。

人生とは「自分を楽しませること」。世間の幸せ指標を基準にしない【植村絵里】

■写真を撮ることを忘れる素敵な出逢い

この1カ月間でふたりの素敵な方に出逢いました。ひとりは、「DRESS」の編集長が「おふたりを引き合わせたら面白い対談になるに違いない」とセッティングしてくださった、対談相手の竹中功さん。

※対談1本目は以下で公開されています。
モテる女は「ボケを拾うスキル」を持っている【植村絵里×竹中功】

もうひとりは、前々回のDRESSのコラムで私を知り、帰国したときにぜひお会いしたいと連絡をくださった、パリ在住歴17年になるライフコーチのメレ安芸さん。

メレさんは偶然にも大学の先輩でした。そのおふたりにお逢いしたのは別々の日でしたが、共通して、「さようなら」とお別れをした後に、記念写真を一緒に撮るのをすっかり忘れていたことに気づきました。

同じ空間で、同じ空気を吸ってお話をしている時間があまりにも楽しく心地よく、「目の前のお相手」に集中していたら、あっという間に時間が過ぎていて、次のスケジュールへの移動の時間がきていました。

お逢いできたこと、時間を共有できたことに感謝を伝え、そのままお別れをすることがとても自然な流れで、そこに「写真を撮る」という意識が入る隙間もありませんでした。

しかし、写真は残っていなくとも、目を閉じれば鮮明に、おふたりと過ごした時間、優しい瞳の奥に輝く人生への希望や好奇心、人間への愛情に満ちた温かいお人柄を思い出すことができます。

きっと、写真は便利ですが、写真は危険なものなのです。

なぜなら、写真を見返すことは、その場面を他の思い出より色濃く鮮明に脳裏に焼きつけ、写真に写らなかったものを記憶から消していくからです。写真に頼らないからこそ、一生懸命記憶しておこうと無意識に働くものが、人間にはあるように思えるのです。

■映画『LIFE!』の忘れられない言葉

ベン・スティラーが主演・監督した2013年公開の映画『LIFE!』をちょうど思い出しました。

写真家のショーン・オコンネルが幻の雪豹の姿を撮るために何日間も雪山にこもり、いよいよ待ち望んでいた雪豹が姿を現したときのこと。今シャッターを切れば世界初人類にとって貴重な一枚が撮れるタイミングで、シャッターを切らずにこう言いました。

「If I like a moment, for me, personally, I don’t like to have the distraction of the camera. I just want to stay in it.」

(その瞬間が自分にとって重要なら、カメラに邪魔されたくないんだ。ただ今の瞬間を楽しむんだよ。)

その一枚のために寒い雪山に何日間もとどまり、その一枚できっと何カ月分もの報酬と世間からの賞賛を得るカメラマンが、お金でも仕事でもなく、目の前のその瞬間を全身全霊で味わおうとする姿に、これが人生で大切なことだと教えられ、心から感動したのを覚えています。

人間は心からその瞬間に満足しているとき、それが現実に起きたことを誰に証明する必要もなく、誰からの評価も必要としないものです。自分の中に感じた絶対的な価値、ただそれだけでかけがえのない宝物だから。

■世間の価値観を基準にしていて幸せになれる?

多くの人がSNSとつながっている今、目の前のものを十分に味わったり、感じることよりも、「写真を撮ってシェアすること」を目的にあらゆる行動が選択され、自分がどう感じたかよりも、その写真につく「いいね!」やコメントの数で、体験を価値づけしているように思います。

それは自分の感覚を信じず、自分の価値観に注目せず、他者や世間の価値観の中に自分を丸投げしているようなものです。

「夢は人に語った方が叶いやすい」と聞いたことがあると思いますが、ある本でまったく逆の説を読んだことがあります。本には「夢は誰にも言わないこと。夢を人に語り始めた途端に、人間は第三者から納得してもらいたい、賛同してもらいたいと思い始めます。そうすると純粋な夢は、人々が納得する現実可能なプランへと変わってしまうからです」という趣旨のことが書いてありました。

私たちは世間の評価というのが気になる生き物です。でも、世間の幸せや成功の指標を基準にしている限り、自分の人生を生きることはできません。

例えば、結婚して子供を持つことが幸せ、いい会社に入ることが幸せ、これが本当に自分の本心から出てくる幸せの基準なのか、もう一度自問自答することです。

■自分の感覚を取り戻すためのふたつのリハビリ

自分の感覚を取り戻すためのリハビリとして、私がおすすめしたいふたつのことがあります。

ひとつは、直感的にきれいだと思うモノ、一緒にいる時間が一瞬のように感じるほど心を奪われる人に出逢ったら写真を撮らないこと。

もうひとつは、沈黙の習慣を持つこと。感情的になって咄嗟に口走りそうになる言葉を「飲み込む沈黙」、目の前に起きた現象に意味づけや評価をせず起きたままを「感じる沈黙」、外の刺激に反応する自分の感情を「見つめる沈黙」、この3つの沈黙を意識的に習慣化することです。

このふたつのリハビリを1カ月続けてみてください。今までどれだけ他者の評価を気にして物事を選択し、他者の評価に怯えて自由に感じる心を締め出し、生き苦しさを感じる心の違和感を無視していたかに気づくはずです。

■「心が洗浄される涙」がある

悲しいとき、悔しいときに流す涙ではなく、「心が洗浄される涙」というものがあります。

それは、「私はただ癒されたかったんだな」という自分の本当の心の声を自分自身の奥深いところで受け止めた瞬間に、とめどもなく溢れ出る涙。この涙を流せたときに、人は自分自身を幸せにする生き方にようやく目覚めます。

自分の中に、他人の目から開放された心の空間を確保できたら、世の中に溢れている多くの情報は、発信者にとって最も大切なことではなく、2番目以降の情報なのではないか? もしかして、他者にその情報を伝えることで、誰かが得をする思惑が働いているのではないか?

例えば、こんな風に、今まで当たり前に受け入れていたものに対して、自分なりの指標や評価軸を持つことができるようになるかもしれません。先述のカメラマンのように、その人にとっての本当に大切なことは他者の評価を求めてシェアする必要がないことがわかるはずです。

食べログの点数に関係なく美味しいと感じ、Yahoo!映画の評価に関係なく好きな映画を決め、Facebookの「いいね!」の数に関係なく幸せを感じる、当たり前のことですが、幸せの基準はすべて自分で決めていいのです。

楽しそうに生きていれば、仲間は勝手に増えていくものです。自分が選んだものを堂々と身につけて、自分が選んだ道で堂々と幸せになることを肯定しよう。

他人の評価に隠れたり、他人に自分の価値観を強制するのではなく、自分が今この瞬間を楽しく生きることを通じて、そのエネルギーを周囲に伝染させていこう。

人生とは、自分を楽しませること。そして、好き勝手に人生を楽しんでいる自分の姿を見て、人々の希望になれたら最高ではないか。

私はそう考えています。

■LIFE誌の社訓

To see the world,
世界を見よう
things dangerous to come to,
危険なことにも果敢にチャレンジしよう
to see behind walls,
物事の背景や真理を見よう

LIFE!

to draw closer,
もっと興味を持って近づこう
to find each other,
お互いを尊重し認め合って
and to feel.
心で感じよう
That is the purpose of life.
それが人生の目的だから

■植村絵里の情報発信

ポッドキャスト:植村絵里の恋愛相談「男はみんな5歳児である」
http://apple.co/2erZ4RX

最新電子書籍:「革命力−仕事と愛と運に恵まれる女性が考えている18のこと」
http://amzn.to/2tLxxAT

ブログ:「Beautiful Wisdom」
http://beautifulwisdom.jp

メルマガ:「会うたびに美しく」
http://beautifulwisdom.jp/about/1/

Facebook:植村絵里
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Instagram:eripeco
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植村 絵里

1980年東京生まれ、聖心女子大学卒。クイックエステBeautiQ(ビュティック)創業者。 自己実現と出産育児を自由に選択でき、内面も外見も美しい女性があふれる社会作りをモットーに、28歳で起業し、日本初の女子大生ベビーシ...

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