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心と身体は裏切り合うことがあるから

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精神と肉体は近い関係性にあるけれど、ときに裏切ることもあると知っておくことで、皆がもっと生きやすい世の中ができるのではないかと考えている。建前を大事にする、厳しい世の中にふれて思うこと。

心と身体は裏切り合うことがあるから

趣味のひとつがサウナだ。鶯谷にある都内有数の銭湯「萩の湯」は、サウナと水風呂の距離とバランスが好みで、多いときは月に数回行く。最近はメディアで取り上げられることが増えて混雑しているのが悩みのタネだけれども、それでも空いている時間を探して行ってしまう。中毒性のある銭湯だ。

36年も生きていると、その土地その土地に思い出があるもので、鶯谷にもいくつかの思い出がある。近い思い出もあれば、遠い思い出もあるのだけれど、どれも昨日のことのように思い出せることだけは共通している。

大学卒業直前の22歳。当時全盛のmixiで出会った同い年。学年で1個下の女性がいた。当時のmixiの勢いと衝撃は革命だったと思う。初めてのSNSで出会い系としての機能をふんだんに装備していたこともあって、キャンパスライフが何ひとつ充実していなかった僕は夢中になっていた。

格闘技好きな女の子で、五味隆典選手のファン。当時の格闘技バブルを象徴するライトな格闘技ファンだった。格闘技の知識は浅いし、僕よりも立場が上の選手を好きだということに、僕は嫉妬してイライラすることばかりだった。一方で、彼女とするセックスはそれを相殺するどころかおつりがくるようなもので、僕を夢中にさせた。

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■鶯谷のラブホテルの思い出

そんな彼女と初めて会って初めてセックスをしたのが鶯谷のラブホテルだった。確かその当時付き合っていた女性と旅行に行く前日だったと記憶している。今思い出しても、リアルな葛藤とドキドキが思い起こされてくる。別に反省したりはしないのだけれども。

食事をして、流れというお互いに言い訳でしかないような理由でラブホテルに入っていったように思う。互いにまだ「よそ行き」なモードの中で、快楽だけを求めようとする、真の快楽とはいくらか距離のあるセックスをしたのが記憶にある。

互いのことを知らないでするセックスは、警戒心が抜けないからよくならないのではないかというのが僕の考察だ。プロレスと一緒で相手のことを信頼していないと、相手に身体を預けることができないし、それは大技が出ないことにつながり、いい試合になるわけがないのと一緒だ。

どちらにもお付き合いしている人がいて、互いにそれを匂わせつつ、互いの領海に入らないことを確認するような作業を忘れないところは「ダメな男」なんだろうけれども、性分だから仕方がない。

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■精神と肉体は裏切り合う

僕は恋愛における倫理観が、多数派とずれている部分があると自覚している。精神的な恋愛や繋がりが上位概念だとされているけれども、それは建前であって、精神と肉体は近い関係性で互いを裏切るというか、そのふたつの方向が違って悩むことが多々あるのだと思っている。

格闘技の試合でだって、気持ちが折れるときは体力が続かなくなったときだし、気持ちだけで体力を持たせることなどできない。精神と肉体は互いに近いところで互いを裏切っているような関係性だと、格闘技をしていてよく感じる。どちらかを信用するのではなく、そんなもんだと思っておくことが生きていく上で大切なのではないか。自分を肯定する意味でもだ。

その女性とはその後も数年、ご飯を食べたり、互いの相談をしたり、セックスをしたりする腐れ縁のような存在になったのだけれども、互いの人生にいい影響を与えたと思うし、生き方を形成する要因のひとつになったと思っている。後悔はもちろんしていないし、感謝をしている。

世の中が厳しく、建前が大事になってきているのは感じる。ただ、人間はいい加減なものだし、精神と肉体は近い関係性にあるけれども、裏切ることもあると認識しておくことで、皆がもっと生きやすい世の中ができるのではないかと考えている。

少なくとも僕は、建前ベースで生きていく社会を生きづらく感じている。自分のことを聖人君子だと言える人の割合の方が少ないのではないだろうか。だからこそ、皆で押さえつけ合うのは無駄だからやめて、皆が自由に楽しく生きていこうよ。

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青木 真也

プロ格闘技選手。1983年静岡県生まれ。修斗ミドル級チャンピオン。DREAM、ONEライト級チャンピオン。格闘技選手としての活動だけでなく、執筆、プロレス、講演など活動中。格闘小作農として地道に活動しています。著書に『ストロ...

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