もう限界! 私が結婚式プロデュース会社に怒った瞬間【NEO花嫁の結婚式奮闘記#9】
結婚式プロデュース会社への不信感は募るばかり。度重なるモヤモヤに堪忍袋の緒が切れ、ついに信頼貯金がゼロに……。理想とする結婚式の叶え方を模索する連載「NEO花嫁の結婚式奮闘記」#9をお届けします。
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■堪忍袋の尾が切れた瞬間
結婚式場下見予定日の2日前。
一向にプランナーから詳細連絡が来なくて、痺れを切らした私は、
「明後日の式場の下見の件、進捗いかがでしょうか?」
とメッセージを送った。
なぜ私がプランナーのリマインドをしないといけないのだろう、と疑問がむくむくと膨らんでいくばかりだ。
しばらくして以下の返信が来た。
「ちょうど今ご連絡しようと思っていたところでした! 12時から下見できることになりましたので、どうぞよろしくお願いします」
なんということだろう。連絡が遅くなったのに謝罪がないうえに、「ちょうど今~しようと思っていた」という子供じみた一言までついている。私の心の導火線がジリジリと燃えて短くなっていく。
しかも、メッセージには下見する結婚式会場の最寄駅しか記載されておらず、どこに集合するのかといった詳細はもちろん、URLも住所も書いていない。
しかも、しかも、しかもだ。この最寄り駅が間違っている! あろうことか、本来の駅から電車で30分はかかるだろう駅が記載されている。
私は震えながら「A駅と書いてありますが、B駅の間違いではないでしょうか? そして当日はどちらに集合すればいいのでしょうか? プランナーの方は同席されますか?」と送った。
すると「すみません、B駅でしたね……。当日はおふたりで下見していただきます。ぜひ会場の雰囲気を楽しんでください!」と返ってきた。
私の導火線はあえなく燃え尽き、爆発した。もちろん叫んだり暴れたりはしないが、たちまち心臓がバクバク鳴りだし、指先からはみるみる血の気が引いていった。おそらく体中の血液が頭に上っていったのだと思う。
冷たくなった指先でタイピングし、メッセージを送った。要約すると以下のような内容だ。
・スタッフ間の情報共有ができていない(他スタッフに伝えたことを担当者が把握していない)
・情報共有システムを導入しているのに、面談前に顧客の情報を確認していない
・連絡が雑、対応も雑、なのにフレンドリーで距離感だけが近い
・高価格なのに総じてサービスの質が低い
もちろんもっと言葉を選んで書いたが、それなりにはっきりと伝えた。
一生に一度の結婚式で後悔したり泣き寝入りしたりしたくなかった。私だけではなく、私と彼の門出でもあるのだ。みすみす悔やまれるスタートにしたくない。
■私がこれだけ怒るワケ
人によっては「怒りすぎだろう」と思うかもしれない。しかし、これには理由がある。
私は学生時代に化粧品ブランドで美容部員のアルバイトをし、新卒時代に営業職に就き、化粧品メーカーでカスタマーサポート業務を担当した経験を持つ。そのため、あらゆる職場で「顧客対応」を叩き込まれてきた。
特に化粧品ブランドではホスピタリティとは何かを徹底的に教わり、店舗を訪れたお客様に頭を下げて挨拶し、立ち去るお客様にも頭を下げて見送っていた。カスタマーサポートでは悩み相談やクレームを何度も受け、真摯な受け答えを学んだ。
だからこそ、もう、こんな適当な対応は許せないのである。
「社会で一体何を教えられてきたのか? 適当な対応をするのであれば研修からやり直してほしい」
という言葉が喉元まで出かかっていた。さすがに言えなかったが。
メッセージは夜遅くに送ったが、すぐ返信がきた。
謝罪の言葉が並んでいたがテンプレートっぽく感じてしまい、どうにも心が柔らかくならなかった。先方に対して、私の心が固く閉ざされてしまったことを実感した。自分のことながら「信頼って一度壊れるとなかなか回復しないものだな」と思った。
とはいえ、もう契約金は入金済み。本当はこの会社に素敵な結婚式をプロデュースしてほしい。でも、どうしても信頼できない。相反する気持ちが私の中でぐるぐるしていた。
そこで「担当者を変えてもらう」という妥協策を考えた。もう、これで折り合いをつけるしかない。ああ気が重い、とため息をつきながら問い合わせ番号に電話をかけた。
電話には女性が出た。まず私は自分の主張に説得力を持たせるために、今までの問題点を述べた。
「実は~~といったことがあり、担当者の方を変えていただきたいのですが……」
「わかりました。担当者に確認しますので、折り返しさせていただく形でよろしいでしょうか」
「………」
また指先が急激に冷えていった。
いわば私の電話はクレームである。クレーム電話に対して開口一番出てきたのは「わかりました」という言葉。もしかして電話口に出ているのはロボット? むしろそうであってほしい……が、そんなわけはない。
このとき、担当者のみならず、この会社に対する信頼がゼロになった。
「こんなに結婚式への熱意があるのに、最初からここまで準備に苦戦するとは」と、黙って遠くを見つめた。
(第10話につづく)