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「恋愛、結婚こそ女の幸せ」からなかなか逃れられないあなたへ

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「結婚すれば幸せになれる」。そんな考え方を植え付けられてきた人も多いかもしれません。でも、それって本当? “コンプレックス解消家”としても活動する、ライター・講演家 朝倉真弓さんのコラム連載、最終回。

「恋愛、結婚こそ女の幸せ」からなかなか逃れられないあなたへ

樹木希林さんがお元気でいらっしゃったとき、独身のリリー・フランキーさんに伝えたというアドバイスがある。

「結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから」

希林さんは、若くして結婚したひとり娘の内田也哉子さんにも、「学校(大学)はいつでも行けるけれど、結婚は分別がつかないうちにしたほうがいい」とアドバイスをしたという。

このアドバイス、自分を振り返ってみると、確かに真理だと感じ入る。年齢の若さはともかくとしても、周囲をものともしない勢いがなければ、結婚などできやしない。

私の場合、20代のうちは結婚したいと願いつつも、全く縁がなかった。そもそも本気で結婚したかったのかどうかさえ、今考えてもよくわからない。

20代のころはいつでも人恋しくて、誰かがそばにいないと寂しい、そばにいて自分の存在を認めてほしいとばかり思っていた。
そのどうしようもないほどの人恋しさと、どこか頭のすみにこびりついていた「結婚こそ女の幸せ」という古い価値観とが交わって、「とにかく結婚したい! しなければ!」と焦っていただけだったように感じる。

その証拠に、ずっと一緒にいたいなと思う人はいても、ひとりの人と何十年も生活を共にすることについて具体的なイメージを描くことができなかった。「健やかなるとき」ならまだいいけれど、「病めるときも」一緒にいる覚悟など持てなかった。

一方で、「人恋しさを結婚というシステムで埋めようとするのは間違いなのでは?」と、妙に冷静に分析している自分もいた。20代の私は、かなりの“こじらせ女子”だったように思う。

■結婚に至るには、どちらかが結婚という道を示し続ける必要がある

そんな私が結婚をしたのは、32歳のとき。出会った翌月には結婚を決め、その翌月には互いの親に挨拶をして、婚姻届を出した。あまりのスピード婚だったせいか、仕事仲間に「授かり婚ですか?」と真顔で聞かれたりもした。

結婚に至った理由はただひとつ。夫が結婚に向けてグイグイと引っ張ってくれたから。
出会った当初から結婚を考えていると言われ、その言葉に正直引いた私だったけれど、どちらかが熱く結婚という道を示していかないと、「物事の分別をつけてしまった」大人は結婚に至りづらい気がする。

もちろん、引っ張る役は男性に限らない。私の友人の女性は、
「私は○歳までに結婚し、○歳までに子どもを産むという人生設計を描いています。結婚までの交際期間および婚約期間を1年と見積もった場合、そろそろタイムリミットが近づいてきました。つきましては、このまま結婚をするか、結婚は考えられないということであれば早々に別れるか、どちらかを選択していただきたいのですが、いかがでしょう?」
と、相手にプレゼンをしたという。

タイムリミットを匂わせる女性は多いけれど、彼女は相手にタイムリミットを突き付けた。結果、その彼とは別れることに。しかし、ほどなくして別の男性と付き合い始め、彼女は人生設計から1年遅れで、結婚・出産においての希望を叶えることができた。

■結婚してもしなくても、その生き方を選ぶのは自分

結婚となると、親や兄弟はどんな人なのだろうとか、自分とは違う信仰を持っている家庭なのだろうかとか、将来的に義両親や自分の両親と同居をする必要があるのだろうかなど、考えれば考えるほどに面倒そうな波がザブンザブンと押し寄せてくるように見える。

これらの波をキャッキャと戯れながら越えてしまおうと思えるのは、ふたりの、あるいはどちらかの結婚への熱意があってこそ。最初は相手に引っ張られていただけとしても、どこかの時点でふたり手を携える決意を固めれば、案外簡単に波を越えていくことができる。

一方で大人同士の恋愛においては、「いい関係でいられるのであれば、結婚というカタチにこだわらなくても良いのでは?」という着地点に到達することもあるだろう。私はそれも、とても素敵な関係だと思う。

ふたりそのまま籍を入れずに別姓を名乗り、良いパートナーシップで結ばれているカップルもいる。そもそも恋愛に依存せず、ひとりの生活を楽しみ尽くす人生を選んだ友人もいる。

こうした生き方を選ぶのは、自分。そして、一度結んだ婚姻関係やパートナーシップを解消するのも、自分自身の選択だ。

■健全なパートナーシップは、自分の人生に自信を持つことから始まる

自分の恋愛を振り返ってみると、20代のころに強く感じていた人恋しさや、自分を認めてほしいという承認欲求、そして、相手にすべてをゆだねてしまうような依存体質が、長く穏やかな恋愛や結婚といった関係を遠ざけていたのではないかと感じる。

これまでの連載で、自分を必要以上に卑下してしまったり、相手に嫌われたくないあまり理不尽なことを言われても受け入れてしまったりという生き方のクセを見直してみようということを書いてきた。

そこそこ長く生きてきて、うっかり身に付けてしまった、自分自身を縛る「定規」。「こうでなければならない」という世間の常識を刻んだ定規の目盛からはみ出てしまった自分を認め、愛おしんでほしいというこれらのコラムは、すべて若い頃の自分が聞きたかった言葉だ。

「人生の『定規』を書き換えよう」をテーマに書いてきたこの連載は、自分を認め、自分の生き方に自信を持つためのノウハウ集ともいえる。一人ひとりが自分だけの価値基準を持つことができたら、必要以上の人恋しさや承認欲求といったむき出しの感情を誰かにぶつけることなく過ごせるんじゃないかなと思う。

そう、毎日自分をご機嫌にすることができるのは、彼や夫やパートナーと呼ばれる存在ではない。
自分自身なのだ。

こう考えると、樹木希林さんが言ったというアドバイスにも、少しだけ異論をはさみたくなる。

分別とは、物事の是非や道理をわきまえること。
ということは、誰かに人生をゆだねるのをやめて、自分の選択に自信を持てるようになるというのもまた、大人の分別と言えるのではないだろうか。

人恋しさや寂しさといった感情の起伏を味わいつくしたうえで、自分を癒し、自分の機嫌を良くすることができるようになった大人こそ、誰かと対等で健全なパートナーシップが結べるのではないかなと、私は考える。

樹木希林さん、どう思われますか?
もう、尋ねたくても尋ねることはできないけれど。

Photo/ぽんず(@yuriponzuu)、Model/れいちぇる(@rei92x

「人生の『定規』を書き換えよう」バックナンバーはこちら

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朝倉 真弓

ライター、講演家。「人生もうひと花咲かせる」をテーマに活動中。自著は『「グレイヘア」美マダムへの道』ほか8冊。ユニリーバ社DoveのCMに出演。

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