人生の選択~ビューティー・メイクが私のライフワークになるまで
「ビューティー・メイク」が私のライフワークですが、ここに至るまで様々なターニングポイントがありました。自分の心に正直に、一つひとつ丁寧に選択していくことが今の自分につながっています。そして、これからも……。まだまだ探求すべき道は続きます。
こんにちは、MOTOKOです。
私は、小さい頃から、祖母や母がメイクをして綺麗になっていく過程を見るのが大好きでした。綺麗な色のアイシャドウやリップなどの化粧品も大好きで、大人になってからは、いろいろ買い揃え、持っているだけで嬉しい気持ちになったものです。
実は、自分自身のメイクにはあまり興味はなく、周りの人たちにメイクをしてあげて、綺麗になった姿と喜ぶ笑顔を見るのが本当に幸せだったのです。当時の気持ちが今でも仕事の原動力になっていますが、プロになって23年、メイクの奥深さをますます実感する今日この頃です。
まずは、私が現在のメイク・スタイルを確立するまでに、プロのメイクアップアーティストとして経験してきた様々なメイクについてご紹介します。
■プロのメイクアップアーティストとして経験してきた様々なメイク
ファッション・ランウェイメイク
ニューヨークやパリ、ミラノなどのデザイナーズ・コレクションや、ファッション誌のページを飾るモデルのメイクです。
デザイナーやカメラマンの意図する世界観を表現することが求められるため、クリエイティブで個性的なメイクや、反対に、ほとんどメイクをしないくらいのナチュラルメイクもあります。創造性の豊かさが求められ、どこかに必ずアクセントを作るのが特徴です。
役作りメイク
映画やテレビに登場する役柄を表現するメイクです。本人の個性や年齢と関係なく、役に合った顔や雰囲気を作り出す面白さがあります。
綺麗にすることだけが目的ではなく、生活感を出したり、役に自然にフィットすることが大切です。また、魔女や妖精役などのメイクに見られるように、クリエイティブな要素が必要になることもあります。
特殊メイク
1998年、俳優の永瀬正敏さんに、Yohji Yamamotoブランド「AAR」のロゴが入った布に弾丸が貫通し、流血した状態をメイクで作りました。
Photo credit:Christopher Doyle
火傷や傷、ヒゲなどを作りだしたり、特殊な外見を表現することが求められ、創造性、経験、そして細かいこだわりの技術が必要なメイクです。
今は老け顔やエイリアン、ゾンビ系などは、特殊メイク専門のチームが担当することが多いですが、私がメイクを始めたころは、映画やテレビ業界のメイクアップアーティストは特殊メイクができてあたりまえという時代でした。
私も傷を作ったり、流血しているようにメイクをしたりしましたが、その最中に自分の体が、さも怪我をしたように疼いてきてしまい、苦手でしたね(笑)。
ビューティーメイク
FOXのトークショー「THE REAL」のPR撮影で、私がメイクを担当する司会者のタマラとセルフィー。
その人の持つ美しさを引き出し、最大限に綺麗にするメイクです。ハリウッドではレッドカーペット、雑誌撮影、映画やテレビのプレスのメイクがこれにあたります。
綺麗にするためには、肌質・顔形・パーツの位置や形によって異なるメイク方法・プロセスを知っていることが大切です。さらに、パーソナリティー・TPO・本人の希望によって的確なメイクの選択ができることが重要です。ビューティメイクは他に比べ易しいようで、実はけっこう奥深いのです。
■ひとつひとつの決断が今につながる
様々なメイクを経験する中で、役作りや特殊メイクは自分に合わないという感覚がありましたし、「自分が一番やりたい、一番ハッピーになれるのはビューティーメイクだ」と、確信にも近い思いに至ったのです。
また、ロサンゼルスはハリウッドの仕事が多く、ファッション・ランウェイメイクはニューヨークが本場です。ニューヨークも魅力的でしたが、気候や仕事の仕方がより自分に合っていたロサンゼルスを拠点に活動することを選択しました。
こうして、人を綺麗にすることが何より楽しかった私は、女優たちを綺麗にするビューティーメイクのスペシャリストになろうと決めたわけですが、これが私の人生にとっては大正解でした!
そして、ビューティーメイクといえども、女優やモデルのメイクと、一般の方のメイクでは、コンセプトが違います。
次回はこの違いに関してお伝えしようと思います。