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「男は仕事、女は仕事と家事」?

「男は仕事、女は仕事と家事」?

男は仕事だけ、女は仕事も家事も?

「夫が南米に単身赴任になり、2か月ごとに通っては20日分のおかずを作って冷凍庫に入れるような生活を送っていたのですが、夫の理解を得て仕事に全力を割くことにしました」

「当初は管理職とか興味なかったんです。大変そうだし、夫より上のポジションに就いちゃっても困るなと思って。でも、今はやりたいことを実現するにはポストが必要なんだと思うようになりました」

これは、日本の中でも優秀で意欲に溢れる女性が多いと考えられる企業で、選抜された女性メンバーたちが自らのビジョンを考え直すプログラムの中での発言です。いずれもDRESS世代の方々で、既婚者、お子さんはいらっしゃいません。

また、最近では女性の転勤が増え、母子で地方や海外に赴任するケースも珍しくないにもかかわらず、子育て中の女性からはこんな声を聞いたこともあります。

「夫の赴任先がたまたま夫の実家とそこまで遠くない場所だったので、姑さんに『私は子供と仕事の両立で手一杯で、掃除や洗濯に行けませんから、どうぞお好きに出入りしてください』って手紙を書いて宣言しました」

彼女たちは最終的にはそこから抜け出していくものの、どうして最初の段階でこんなに「夫の世話」に縛られているのでしょうか。子どもや要介護の高齢者ならまだ分かりますが、単身赴任している夫は自分で家事をすればいいし、それができない夫だとしても妻が責任を感じたり姑に頼んだりする必要はないし、夫よりも妻のほうが社会的地位が高くなって何が悪いのでしょう。

日本には、まだまだいわゆる「男が仕事、妻は家事」の性別役割分業が根強いと感じます。「新・性別役割分業」と言われるものがあって「男は仕事、女は仕事と家事」という分担のことです。20代ではだいぶ変わってきている印象もありますが、DRESS世代は女性の社会進出が進んでも男性の家庭進出は極めて限定的で、この「新・性別役割分業」が強いのかもしれません。

また、そもそも男性正社員の働き方が「専業主婦によってケアされること」を前提とした仕組みで、それが変わらないままに共働きが増加しているという社会構造も背景にあるでしょう。“専業主婦の妻が出張で持っていくものをスーツに詰め、夫は家のどこに何が入っているかも知らずにそれを持っていくだけ……” というイメージを伴う「サラリーマン」。共働き世帯が専業主婦世帯を数で上回り、家庭の状況が変化した今も、その働き方は大きくは変わっていません。

出張や転勤が頻繁にあり、日々長時間で、家庭に帰ったときに誰かにケアをされてリカバリー(社会学ではこのための家事労働などを「再生産労働」といいます)をしないと次の仕事に向かえないような働き方。

この世界に女性が総合職正社員として参入することになれば、その女性自身が本来誰かにケアされないといけないくらいの状態なわけです。

ただ、冒頭の発言を見ると、実態はむしろ女性は引き続き夫のケアをしながら、自分も男並みに仕事をこなそうとしている。そんなの無理に決まっています。無理じゃない一部の人は2倍か3倍の努力をしてようやく今のポジションにいるのだと思います。

ワーキングマザーたちを取材していると「対等な育児」を目指しながら様々な壁にぶつかっている現実がありますが、子供を産む産まないにかかわらず、その前の時点から男女ともに「女が家事をする」という固定概念から抜け出さないともう成り立たない時代です。

ちなみに私は、家事が元から非常に苦手で、我が家では週末の料理やそれに伴う買い物、皿洗い、片付けなどはすべて夫担当ですが、第2子を妊娠してからは家事代行も月2回お願いしています。「家事なんて私がやる必要ない」などと思ったことは一瞬たりともなく、私にできないことをテキパキとこなすハウスキーパーさんにはプロとしての仕事に尊敬の念を持っています。

経済的、精神的に自立していると考えられるDRESS女性の皆さんは、ぜひ家庭内の分担、家庭外への外注を進めて色々なものから解き放たれてください。

中野 円佳

女性活用ジャーナリスト/研究者。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総...

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