1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 恋愛/結婚/離婚
  3. 「夫婦が幸せなのは最初だけ?」"予言おばさん"にならないために私たちが誓うこと

「夫婦が幸せなのは最初だけ?」"予言おばさん"にならないために私たちが誓うこと

それぞれパートナーと仲良く結婚生活を送っているものすごい愛さんとモンゴルナイフさん。しかしそんなふたりに「幸せなのは今だけだよ」と水を差す予言者が現れるようで? コロナ禍の過ごし方や家族の話を織り交ぜつつ、そんな"予言者"への考えや自分が"いらんこと"を言わないために大切にしていることをお聞きしました。

「夫婦が幸せなのは最初だけ?」"予言おばさん"にならないために私たちが誓うこと

ものすごい愛さん

女性からの悩みにポジティブでパワーあふれるアドバイスで応える恋愛相談をはじめ、さまざまなメディアにエッセイやコラムを寄稿するエッセイスト・ものすごい愛さん。Twitterでも約10万人のフォロワーに支持され、今年11月に著書『今日もふたり、スキップで~結婚って ‶なんかいい″』(大和書房)を出版。夫婦の仲良しエピソードから、義理の両親との関係、お金のつかい方、家事分担、夫婦円満生活の根底にある「考え方」まで。エッセイ、漫画の両方で ‶ものすごい愛″にまみれた世界が楽しめます。

モンゴルナイフさん

人気Webメディア『オモコロ』にてディレクター&ライターを務めるモンゴルナイフさん。底抜けの明るさで、振り切った企画の記事を世に送り出しています。(お写真は2020年1月ごろに撮影したもの)

■結婚しても、ひとりの自由は奪われたくない

――ものすごい愛さんの新刊『今日もふたり、スキップで』には、楽観的で、明るくて、強くて、やさしくて、誰よりも楽しそうに、好き勝手に生きている「クソババア」ことお母様が登場します。自分の家族と比べて、自分たちはこういうふう夫婦になりたい、またはなりたくないと考えることはありますか?

ものすごい愛:うちは弟も含めて4人家族なんですけど、全員干渉し合わないというか、独立してるんですよね。父親が飲みに行こうが、母親が韓国の推しアイドルに会いに行こうが「あっそう。家族と言えど別の人間だから各々楽しく暮らしましょう」みたいな。

モンゴルナイフ:めっちゃいい。

ものすごい愛:結婚すると「旦那が遅くまで帰ってこない」とか「結婚したのに遊びに行っていいのか」みたいな問題が突然浮上するじゃないですか。ひとりで遊びに行くことに対してのジャッジが入るというか。私はコロナになる前けっこうひとりで飲み歩いてたんですけど、ちょいちょい「え、旦那さんのごはんは?」ってきかれて。

モンゴルナイフ:わかる~、きかれる〜!

ものすごい愛:そのたびに「うちの夫は30過ぎた大人で、金もあるんだから自分でなんとかするだろ!」っていつも思ってたし、腹立つから実際にそのまま言ってました(笑)。

お互い別の人間なんだから、家族というコミュニティを形成するうえで最低限の協力をして、共有できる楽しさがあれば共有すればいいし、そうじゃないなら各々楽しみましょうというのは、親の関係性を見ていていいなと思った考え方ですね。

モンゴルナイフ:私にとってもその形は理想的ですね。うちの実家は逆にすごい心配性っていうか、過保護っていうんですかね。何をするにも親が「どこに行くの? 誰と会うの?」って訊いてくるのが普通でした。持ってる本も親がまず全部読むし。

ものすごい愛:えー! どぎついエロい本とかどうするんですか……?

モンゴルナイフ:一度、通販カタログのエッチなページを切り抜いたものを鞄にこっそり入れてたらなくなってて。「見つかった!」と思って家の一階に降りていったら親が洗い物してて、後ろ向きのまま「アレ捨てたから」って言われました。その衝撃で、和室にウワーーーーー!っとめちゃめちゃエッチな絵を描きまくって……。

ものすごい愛:(爆笑)

モンゴルナイフ:描いたあと、「あれ?私ちょっと絵上手いじゃん?」って気づいたんですけどね。

そういうことがあったから、自分の自由を奪われたくないっていう気持ちは強いかも。私もものすごい愛さんみたいに飲み歩いたりするのが好きなんです。だから結婚したのはうれしかったけど、そういうのはもうできなくなっちゃうのかなって思い込んでいたから寂しさもあって。でも夫が「なんかずっと家にいるね。遊びにいかないの?」って言ってくれるような人だったから、今はガンガン飲みに行ってます。

ものすごい愛:結婚したらひとりで外に遊びに出ちゃダメなんだと、思い込まされてしまう人もいらっしゃいますよね。

――「コロナ離婚」なんて言葉が生まれたように、コロナ禍でお互いの嫌な面が見えてきてしまうケースもあると思うんです。そういうなかでもふたりが仲良く夫婦生活を送っているのは、ひとりで自由に過ごす時間を大切にしているからなのかなと感じます。

モンゴルナイフ:たしかにひとりの時間、めっちゃあります。夫とは趣味が全く合わないんですよ。向こうは数学の解説動画をずっと見てるんですが、私はほんと理解できない。線形代数がどうたらとか、「面白いねこのベクトル」とか言われても「ぼえ?」って。

ものすごい愛:(笑)

モンゴルナイフ:一緒にベランダで酒飲んでるときに「コロナでずっと一緒にいるからしゃべることなくなっちゃったな、好きなもん好きに見るか」って話になって、ごはん食べるときも各々でiPad見てるんです。そしたら逆に仲良くなった。

好きなことを好きにやって、好きなときにしゃべるみたいな。こういった関係性を外から見たときに「家のなかで別居してる」と思う人もいるかもしれませんが、私は仲良いなって感じるんです。

■「幸せなのは今だけ」って言われても

モンゴルナイフ:でもこうやって仲良くいられるのも、子どもがいないからかもしれないですけど。とある友人からも「子どもが産まれたら生活が変わっちゃった」とか「夫のことがすごい嫌になった」みたいなことを聞くことがあります。そこから発展して「あなたのところも、子どもができたら悪くなるよ」みたいな話になるとしんどくて「助けてくれーーー!」って思ってます。

ものすごい愛:たしかにSNSを見ててもそういう意見は目にします。ご自身の体験をほかの人にも重ねてしまうことってあると思うんですけど、その言葉が言われた側にとっての呪いになることもあるので自分も気を付けなきゃなって。予言というか「(幸せなのは)今だけだよ~」みたいの、たまにどこからか聞こえてきますよね……。

モンゴルナイフ:そう! いるんですよ! よくない予言してくる人が!

ものすごい愛:結婚生活や夫婦関係に限った話じゃないですけど、「よそはよそ、うちはうち」っていう考え方が希薄になっている感じもしますよね。そもそも夫婦関係なんて人と比べられるものでもないのに。「子どもができてからのこと」とか「今の生活がどんな風に変化していくのか」とか。その都度夫婦で考えるし、お互いの考えを擦り合わせる話し合いができるだけの関係性も築けているので……心配はご無用だー!という。向き合うべきは好き勝手に言ってくる外野ではなく、目の前の夫だということは心に留めておこうと思ってます

モンゴルナイフ:最近少しよく考えるのが、「(あなたたち夫婦も)これから大変だよ」って言ってくる人たちは、自分が今大変だから「大変だね」って言ってほしいのかなって。「あなたは今大変なんですね」って話に切り替えると、わりと丸く収まるっていうか。その人の言葉や態度から棘がなくなっていく感じがしているんですよね。

ものすごい愛:処世術だ! 私はリアルよりSNSでそういうリプライがくることが多いですね。夫婦関係の中で幸せに感じたエピソードを投稿していてたまに言われるのが、「本当は不幸だからそういう風に幸せアピールしてるんでしょ」みたいなやつ。

モンゴルナイフ:なんの根拠があってそんなことを……。

ものすごい愛:ね。この人めっちゃ想像力豊かだな~その才能を別のものにつかえばいいのにな~って。

■私たちが「予言おばさん」にならないために

――ふたりが誰かにとっての「予言者」になってしまわないように、またふと出てしまった言葉が相手にとって呪いにならないように、気を付けていることはありますか?

モンゴルナイフ:あー、そう言われるとブーメランかもなぁって思います……。たとえば若い人に飲み屋で何か自慢したり苦労を語りだすとおしまいだから絶対やめようと思ってる。

ものすごい愛:そう、めっちゃ気を付けてる!「え、知らないの? アンダーグラフのツバサ」とか言わないように。

モンゴルナイフ:「知らないです」って言われたときに強烈な気持ちよさがあるんですよねえ。

ものすごい愛:わかります……!たまにテンションが上がって「待って待って2000年生まれー? 生まれて間もないじゃーん!」とか言っちゃってるんで……もうほんとに気を付けよう。

モンゴルナイフ:「175Rって何ですか?」って言われると、気持ちよさでつい語っちゃうんですよね……。でもやっぱり振り返ってみるとあまり褒められたことでもないのかなって。これがたぶん予言者の入り口な気がするんですよ。「これ知らないの?」じゃなくて、「何流行ってるの? 教えておばあ」になろうと思ってます。

ものすごい愛:たしかに。新刊の中で「白秋のたしなみ」というエッセイを書いたんですけど、そこに登場する私のバイト先の雇い主の考え方がすごく素敵なんです。

その方は60歳を超えているんですけど、自分の経験値や立場の違いにかこつけて「これ知らないの?」とか絶対言わないし、自分の知識は惜しみなくわたしに教えてくれるんです。それどころか「NiziUって何? わからないからあなたが感じた魅力を教えて」とか訊いてきてくれるし、「今どき同性婚を認めないとかほんとダサい」「結婚はしたい人がすればいいんだから周囲が押し付けるのは間違ってる」という価値観も持っている。柔軟にアップデートされてきたのだろうなと感じます。私も予言おばさんにならないために、その時代に生まれた新しい価値観にアップデートできる余白を持ちたいなって。

モンゴルナイフ:アップデートという話でいうと、私、ヒラギノ游ゴ君の「少しでもいいおじさんになるための準備(※記事末尾にURL記載)」という記事が大好きなんですよ。TRFで一定の成功を収めたであろうDJ KOOがファミラジ(ファミリーマートの店内放送)の最終回で、最後に感謝を伝えた相手が「常に刺激を与え続けてくれた後輩たち」だったという……。

ものすごい愛:うんうん。

モンゴルナイフ:私は年上も年下も全人類みんな師匠だと思っていて、後輩だから学ぶポイントがないなんてことは絶対ないじゃないですか。今気付いたんだけど、私が夫と仲良くやれているのは私が「わかんない」て言ったことを馬鹿にしないでちゃんと教えてくれるからかもしれない。逆に私が専門的な話をしても「そういうものもあるんだ」って好奇心と敬意を持って聞いてくれる。

ものすごい愛:そういう些細な会話の中でも「この人素敵だな」「思いやりがあるな」って思いますよね。

モンゴルナイフ:ああ~ん、唐突なノロケで終わっちゃった。ごめんなさい! マウンティングしてる!? って思わせちゃいましたか⁉

ものすごい愛:大丈夫!グッときたから(笑)。

取材・Text/いつか床子

ものすごい愛さん新刊のお知らせ

本書は、大和書房HPで好評だった連載12本を加筆修正し、新規で15本の書き下ろし原稿を収録。さらにエッセイをもとに描きおろした、ここでしか読めない漫画5本が幸せな夫婦生活に華を添えます。

夫婦の仲良しエピソードから、義理の両親との関係、お金のつかい方、家事分担、夫婦円満生活の根底にある「考え方」まで。毎日のささやかなエピソードから放出されるラブパワーを、エッセイと漫画の両方で楽しめます。毎日流れてくる有名人の不倫スキャンダル、「結婚は墓場」説、コロナ禍での不穏な家族関係…そんなすべてを吹き飛ばす「結婚って、なんかいい」をお届けします!

※:ものすごい愛さん、モンゴルナイフさんの過去の対談はこちら
https://p-dress.jp/articles/10609

※:ヒラギノ游ゴさんのコラム「少しでもいいおじさんになるための準備」はこちら
https://p-dress.jp/articles/11743

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

関連するキーワード

関連記事

Latest Article