卵子の数は年齢を重ねるにつれ減っていく。妊娠を望むなら早めに卵巣年齢検査を

卵子の数は年齢を重ねるにつれ減っていく。妊娠を望むなら早めに卵巣年齢検査を

卵子の数は年齢を重ねるにつれ減っていきます。卵子の数が最も多い時期は、胎内にいるとき。月経が始まる頃には最多時の1/3ほどに減っていて、すべての卵子が失われる閉経へと向かっていきます。つまり、妊娠を考えるなら「卵巣の機能や残されている卵子の数」を、しっかり意識する必要があるともいえるのです。


■卵子の数が一番多い年齢は0歳(胎児期)


「卵子は月に1回卵巣から排卵される」ということや、「卵子の数には限りがある」ということは多くの方がご存じかと思います。それでは、その卵子はいつどのように作られるのでしょう。

頭の中で以下のお話を想像してみてください。

ご自身がまだ生まれる前、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの時期よりも、そのもっともっと前のひとつの「卵子」とひとつの「精子」が出会うところからお話は始まります。

卵子と精子が出会い受精卵になると、その後、受精卵は分裂を繰り返しながら徐々に「胎児」と呼ばれる状態に成長していきます。その分裂を繰り返している最中に、さまざまなホルモンや遺伝情報の働きによって、身体のいろいろな臓器が作られていきます。

顔には目や鼻など、身体には心臓や肺など、そして女性の遺伝子を持っている場合には卵巣ができ、卵巣の中には卵子の細胞が作られ、その卵子の細胞もまた分裂をしてきます。

そうやって、どんどん作られていった卵子は、胎生6ヶ月くらい、ちょうどお母さんが赤ちゃんの胎動を感じられるくらいにまで大きく育ったときにピークを迎え、その数は約600万~700万個ほどと考えられています。

それ以後、卵子が作られることはありません。そのときが卵子の数のピークで、あとは減少していくだけなのです。

■卵子の数は年齢を重ねるにつれ少なくなる

一度作られた卵子は減り続け、妊娠10ヶ月、おぎゃーと生まれたときには約200万個にまで減少しています。

その後も卵子は減り続け、月経が始まる10~15歳の思春期の頃、「卵巣から卵子が排卵されて、もう妊娠できますよ」と、ようやく身体の準備が整った頃には、卵子の数は約30万個となっています。

そこから、およそひと月に1個の卵子が排卵されていきますが、その過程で、1個の卵子が排卵されるまでに、他に約1000個の卵子が消えてしまいます。

これは、たくさんの卵子の中から、ひとつの成熟した卵子を排卵させるためのホルモン働きで、同じ哺乳動物でもネズミなどのような多胎の動物とは異なるヒト独自の仕組みともいえます。

こうして多くの卵子が消失していき、およそ45~55歳になるとすべての卵子が失われ、閉経となります。

こうして見ていくと、人間にとって45~55歳というのはまだまだ人生の半ばですが、卵子の数から見るとそれはもう「卵子の在庫がなくなる時期」なのです。

つまり、妊娠を考えるときには、自分の一生というライフプラン軸だけで考えるのではなく、「卵巣の機能や残されている卵子の数」ということにも十分な配慮が必要ともいえます。

■卵子の数と卵巣機能を調べる「卵巣年齢検査」

卵子の数には個人差があります。

先にお話ししましたように、卵子数は胎生6ヶ月頃にピークを迎えますが、一人ひとりの遺伝情報や、胎内環境などの影響を受け、出生時にはすでに卵子の数に個人差があると考えられます。

また、その後の成長過程の中でも、喫煙などの生活習慣や卵巣腫瘍等の罹患など、外的あるいは後天的な要因が卵子数に影響を与えることがわかっています。

このように、卵巣機能あるいは卵子数は人によって異なり、10代や20代では表面上その差はあまり目立ちませんが、30歳を過ぎる頃から徐々に個人差が目立つようになってきます。

体の中には種々のホルモンが存在しますが、その中で、「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」というホルモンの数値が、女性の卵巣に残されている「卵子の数」を反映することで知られています。

年齢とともに減少していく卵子の数とともに、抗ミュラー管ホルモンの数値も低下していきます。その抗ミュラー管ホルモンの値を調べることを「卵巣年齢検査」と呼ぶこともあります。

抗ミュラー管ホルモンの数値から、「何歳で閉経するのか」といった細かなことまではわかりませんが、同時に他の女性ホルモンなども測定することで、卵巣機能がどの程度保たれているのかを把握することができます。

不妊治療の現場では、最近はほぼどこの施設でもこの数値を測定するようになりました。また、まだ妊娠を考えていない方でも、たとえば、この数値が年齢平均より大幅に数値が下回る場合には早めの妊娠を検討するなど、ライフプランを考えるひとつの指標になるともいえます。

この記事のライター

医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医 現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっています。 不妊治療は「ご夫婦の妊娠をサポートする」ことがその課題となりますが、...

関連するキーワード


卵子 不妊治療 妊娠

関連する投稿


着床前診断からわかることと問題点

着床前診断からわかることと問題点

意義のある検査ながら問題点も議論される着床前診断。PGD(着床前遺伝子診断)と現在は禁止されているPGS(着床前遺伝子スクリーニング)の2種類があります。それぞれの診断内容や問題点、課題について、山中智哉医師が解説します。


新型出生前診断とは? メリットや問題点、他の診断との違いを知ろう

新型出生前診断とは? メリットや問題点、他の診断との違いを知ろう

新型出生前診断(NIPT)を通じてわかること、検査の方法、メリット、リスク、他の診断方法(羊水染色体検査や絨毛染色体検査など)との違いなどを山中智哉医師が解説します。


リスクもある高齢出産。でも、デメリットばかりじゃない

リスクもある高齢出産。でも、デメリットばかりじゃない

35歳以上で初めて出産することを高齢出産といいます。今では高齢出産は珍しくなくなりましたが、リスクがあることには変わりありません。二児の母で内科医の筆者からみた高齢出産のメリットと、心にとどめておきたいリスク(デメリット)を解説します。


妊娠しやすい体作りをしたいなら「標準体重」を目指そう【百木ゆう子 連載#6】

妊娠しやすい体作りをしたいなら「標準体重」を目指そう【百木ゆう子 連載#6】

妊娠しやすさと女性の体型・体重には密接な関係があります。妊娠しやすい体作りを目指すなら、太りすぎでも痩せすぎでもない、標準体型かつ標準体重。妊娠しやすい体作りの基本をまとめました。


超音波検査より詳しい「羊水染色体検査」でわかることは?検査方法、メリット、リスクも知って

超音波検査より詳しい「羊水染色体検査」でわかることは?検査方法、メリット、リスクも知って

羊水染色体検査を通じてわかること、検査の方法、メリット、リスクなどを山中智哉医師が解説します。さらに、1990年代以降行われるようになった、母体血清マーカーテストについても後半で説明します。


最新の投稿


華やかな空間は人の想いや気持ちをつなげる【高田賢三】

華やかな空間は人の想いや気持ちをつなげる【高田賢三】

パリ在住の世界的ファッションデザイナー、高田賢三さんによる連載。「華やか×◯◯」をテーマに毎月1本コラムをお届けします。第8回は「華やか×空間」でその思いを綴っていただきました。高田賢三さんが考える、華やかな空間とは――。


突然の結婚宣言。「AKB選抜総選挙」から株式投資を考える

突然の結婚宣言。「AKB選抜総選挙」から株式投資を考える

「私、私、結婚します」と宣言し、一躍話題になったNMB48の須藤凛々花さん。これからの進退に注目が集まっています。筆者はこの宣言を聞いた瞬間、「これは、デフォルトじゃないか⁉(投資用語で、債務不履行とか破綻の意味)」と思いました。「AKB選抜総選挙」には、投資の世界に似た要素があるんだなと感じたのです。


ラジオ体操は運動不足な大人にぴったりの美容体操

ラジオ体操は運動不足な大人にぴったりの美容体操

大人になった今「ラジオ体操」を朝の習慣にしています。子供の頃はその効果に疑問を感じていたラジオ体操ですが、運動不足の大人に成り下がった今、これが案外すごい体操だったということを身をもって知りました。あえてラジオ体操をチョイスするメリット、それには3つの理由があるんです。


おしゃれに悩んだら素の自分を活かす - 『おしゃれの幸福論』から得たヒント

おしゃれに悩んだら素の自分を活かす - 『おしゃれの幸福論』から得たヒント

『おしゃれの幸福論』(著:光野桃)を取り上げます。ワンツーコーデが流行っている今、人とはかぶらないけれど、浮くわけでもない、自分らしいワンツーコーデがしたい。そう思った桜井真砂美さんが手に取ったのは『おしゃれの幸福論』。本書から得たヒントを紹介してくれました。


有名税ってありますか?

有名税ってありますか?

「有名税ってどんなもの?」「有名になるメリットとデメリットってなんですか?」などとよく尋ねられる。本気で取り組めば、多少の有名税を支払うことになったとしても、新たなチャンスを得て、世界を広げていけることの方が多い。