不妊症に悩む夫婦の割合が増えている?

不妊症に悩む夫婦の割合が増えている?

不妊症に悩み、不妊治療を受ける夫婦の割合が増えている昨今。6組に1組の夫婦が不妊治療をおこなっている、ともいわれています。なぜ不妊に悩む人が増えているのか、産婦人科専門医の山中智哉さんが解説します。


 はじめまして。産婦人科専門医の山中智哉と申します。

 DRESS読者さんの中には、これから妊娠を考えている方や、現在すでに不妊治療をしている方もいらっしゃるかもしれません。

 あるいは、妊娠はまだまだ先と考えている方の中にも、いくらかそのことを気に留めていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 この連載では、不妊治療にまつわるトピックスなどを取り上げながら、専門的な意見や考えをできるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

■不妊症に悩み、不妊治療を受ける夫婦の割合が増えている

 「不妊症」や「不妊治療」あるいは「妊活」という言葉を、最近ではテレビや雑誌などのメディアを通してよく耳にするようになりました。

 現在妊活中のご夫婦だけでなく、これから妊娠を考える女性にとっても、いくらか気になる話題になっているのではないでしょうか。

 実際に、10年ほど前までは「10組のご夫婦のうち1組が不妊治療を受けている」といわれていましたが、最近ではその10組が「6組に1組」とまでいわれるようになり、不妊治療を受けるご夫婦の割合が増えています。

 なぜ近年、不妊治療を受けるご夫婦が増えているのでしょうか。

 不妊症の原因についてインターネットなどで調べてみると、「女性の原因」や「男性の原因」など、たくさんの項目が出てくるかと思います。

 今回は、その中のひとつ「年齢の影響」についてお話ししたいと思います。

■不妊症の原因のひとつに加齢がある、と注目されるようになった背景

 2012年2月、あるテレビ番組で「卵子の老化」が取り上げられました。

 それまでも、「年齢とともに妊娠率が下がる」ということは、あたりまえに知られていましたが、「卵子自体が老化する」という表現は、一般の方々にとってもかなりのインパクトを与えたのではないでしょうか。

 こうして不妊症と加齢の関係に注目が集まるようになってきた背景のひとつに、晩婚化の影響があげられます。

 2015年の厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、男性の平均初婚年齢は31.1歳、女性の平均初婚年齢は29.4歳となっており、2001年と比較すると男性、女性ともに2歳ずつ上昇し、今後も上昇傾向にあることが予測されています。

 また、1971年から1974年までの第二次ベビーブームに生まれた方々が、現在43~46歳となり、40代で妊娠を考えられる方が増えていることも、ここ数年、不妊治療が取り上げられるようになった要因のひとつと考えられます。

■年齢を重ねると妊娠率が下がる理由は?

 ニュースなどで「50代で妊娠、出産された女性」の話題が取り上げられることがあります。

 著名人が妊娠したということで報道されているケースもありますが、50代での出産というのはニュースになるほど極めてまれなことでもあります。日本産科婦人科学会のデータでも、45歳以上の体外受精の妊娠率は1%程度と報告されています。

 卵子はひとつの細胞で、細胞の中にはミトコンドリアという「細胞が活動するためのエネルギーを産生する細胞器官」があります。

 そのミトコンドリアの働きが加齢とともに悪くなり、卵子が受精卵となりその後成長していく力が失われていくことが、卵子の老化が妊娠に与える影響のメカニズムのひとつとして知られています。

 一説によると、女性が閉経する、つまり生理が止まってしまう年齢の10年ほど前から妊娠する力が落ちてきているという話があります。一般的に閉経の年齢は45~55歳で、ほとんどの方が50歳前後で閉経となります。

 それを照らし合わせると、35歳以降から徐々に妊娠率が下がり始め、45歳には妊娠率が極めて低くなるという実際の妊娠率のデータとも一致しています。

 逆に考えると、月経が何歳くらいまで順調にきそうなのか、あるいは若くして急に閉経してしまう可能性はないか、ということがわかれば、ある程度、それに沿った対策を考えることができます。

 次回は、そういった視点から不妊治療についてさらに掘り下げていきたいと思います。

この記事のライター

医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医 現在、東京都内のクリニックにて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっています。 不妊治療は「ご夫婦の妊娠をサポートする」ことがその課題となりますが、...

関連するキーワード


不妊

関連する投稿


妊娠発覚後にすべきことを、妊娠前から押さえておこう

妊娠発覚後にすべきことを、妊娠前から押さえておこう

妊娠できるか、そして妊娠発覚後の生活が不安な女性に手に取っていただきたい『はじめてママになる人の「妊娠・出産」読本』。著者のにしじまクリニック院長・西島重光医師が、妊娠に関する正しい情報や知識を全7回に渡って解説します。


出生前診断と着床前診断の違いや問題点は?診断技術の進化から考える

出生前診断と着床前診断の違いや問題点は?診断技術の進化から考える

「出生前診断」と「着床前診断」の違いについて、ご存知の方は多いかもしれません。今回のコラムでは、着床前診断の以前から行われていた出生前診断の歴史を紐解いていきます。倫理的な問題が絡んでいるともいえる技術だからこそ、技術ができるまでの背景を十分に理解してほしいと思うのです。


不妊治療にまつわるQ&Aをステップ別に解決

不妊治療にまつわるQ&Aをステップ別に解決

不妊治療に関するQ&Aをまとめた書籍『専門医が答える不妊治療Q&A』が登場。著者は、1999年に千葉市に不妊治療専門クリニックを開業後、18年間で累計1万3000例もの妊娠の実績を積み上げてきたベテラン産婦人科医・高橋敬一さん。不妊治療に関する正しい知識を学びましょう。


女医流「不妊治療中のストレス」との付き合い方

女医流「不妊治療中のストレス」との付き合い方

不妊治療中はストレスがたまる人も少なくありません。不妊治療が実を結ばないストレスや、不妊治療と仕事との両立によるストレスなど、不安やイライラが募ってしまうことも。今回は不妊治療を経験した女医が、ストレスを解消・発散する方法をお伝えします。


不妊に悩んだ女医の妊娠と出産

不妊に悩んだ女医の妊娠と出産

不妊に悩む人が珍しくない昨今。不妊の検査を受けたり、実際に不妊治療を始めたり、不妊治療の体験を綴る書籍やブログを読んだり……そんな方は少なくありません。今回は不妊に悩んだ時期を乗り越えて、二児の母となった医師・岡本彩さんの体験記をお届けします。


最新の投稿


【セルフネイル】マニキュア専用ブラシ「CURE BRUSH」

【セルフネイル】マニキュア専用ブラシ「CURE BRUSH」

世界初のマニキュア(ネイルポリッシュ)専用に作られたブラシ「CURE BRUSH(キュアブラシ)」が7月下旬より販売開始に。爪の大きな人向け、爪の小さな人向けそれぞれに対応したブラシをご用意。セルフネイル=マニキュアが塗りづらい、というお悩みから解放されそうです。


元鈴木さん式コルセットダイエットをスタートしてみた(個人的な体験談)

元鈴木さん式コルセットダイエットをスタートしてみた(個人的な体験談)

コルセットダイエットをご存知ですか? そもそもコルセットとは、肋骨の開きを引き締めてくびれを作ることで、骨格から変えていくアイテム。それを利用したコルセットダイエットという方法がネット上で話題になっています。私もコルセットを購入して始めてみました。始めたばかりですが、どうやって取り組むのか、具体的にご紹介します。


祖母から孫娘へ。時を超えて受け継がれるジュエリーの魅力

祖母から孫娘へ。時を超えて受け継がれるジュエリーの魅力

亡き祖母は、若かりし頃にジュエリーデザイナーをしていました。祖母の想いが込められたジュエリーは、宝飾品という概念を超え、かけがえのない宝物として、祖母から母へ、母から私へと受け継がれています。ジュエリーを用いたファッションやジュエリーのメンテナンス、収納方法などをお伝えします。


40代以上でも結婚したいと望まれる女たち

40代以上でも結婚したいと望まれる女たち

40歳を過ぎても「結婚したい」と望まれる女性の特徴とは一体なんなのか。結婚という決断を下さずに、女性との恋愛関係を続ける男性が多い中、40歳以上で結婚をした女性たちの何が男性の心を掴んだのでしょうか。40歳を過ぎてから結婚した、3人の大人女性にお話をお聞きしました。


【おしゃれびとスナップ #4】カラートップスを主役に同系色でまとめたやさしげコーデ

【おしゃれびとスナップ #4】カラートップスを主役に同系色でまとめたやさしげコーデ

街中で目を惹く、主張の強いカラー。そんなトップスを自然に着こなすには、トータルコーディネートがものをいいます。連載「おしゃれびとスナップ」2017年6月第5週は「印象的なカラートップスを着こなす人」をテーマにお届けします。