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八木奈々さんが、春の訪れとともに読みたくなる、心温まる物語を紹介します。人生の転機、運命の出会いなど、多彩なテーマで綴られた3冊の本を通じて、季節の移ろいと心の揺れを味わえる特集です。
三寒四温を超えて、春の気配がそっと顔を出す今日この頃。
そんな季節の移ろいのように、私たちの心を揺らす物語が世の中にはたくさんあります。
今回は、そんな今だからこそ読みたい、“春”の季節にぴったりな小説をご用意しました。
そう、たとえるなら季節と物語のマリアージュ。
温かな希望と冷たい現実が交差する“文字”の世界は、今春もきっとあなたの胸を打つはずです。
↓ 春の花粉対策に ↓
人生後半戦、40代ってもっと大人だと思っていた……。
勤務先から肩たたきにあったアラフォー独身女性が亡き父のアパートを相続し大家となったことで、個性あふれる入居者と交流し世界を広げていく本作。
悲しげなウクレレ弾きやら騒がしいシングルファーザーの一家やら幽霊(?)、とにかく一筋縄ではいかない訳アリの住人たち。いそうでいない。でも確かにいる。……そんなふわっとしていながらもどこか現実的な不思議な世界観にいつしか惹かれていきます。
作中で発揮される主人公の独特のセンスとどこか客観的に描かれる登場人物たちの機微が読書心をくすぐる一冊でした。
中島京子さんの物語を読むと、日本語の面白さを改めて再確認します。ほっこり温かい物語の中に、とても、とても大事なことが詰まったこの物語。
いい意味で頭を使いすぎないので、疲れたときに何も考えずに楽しく読めるのも魅力的です。
いつか40代になった私がこの物語を通して何を感じるのか……今から楽しみで仕方ありません。
正反対とも言える、ふたりの“ハル”の視点で交互に進んでいく本作品。年齢も出身も違うふたりが出会う奇跡を描いた三十年余りの歳月の物語です。
……いい、とてもいい。そう零さずにはいられない温かいにもほどがある読後感でした。
ふたりがそれぞれどのように過ごしていたのか、どんな心境の変化や成長があったのか。それらをすべて文字で語るのではなく私たち読者に委ねてくれます……。その隙間がとにかく心地よく美しいのです。さすが宮下さん。
そして最終章で明かされる全く別の人生を歩んできたふたりを結んだ“しるし”。
「時には遠回りしてもいい」
そんな言葉をそっと投げかけてくれているような気がしました。本作を恋愛小説と捉えるか否かによって、その最終章の印象もガラリと変わります。もちろん、どう読むかはみなさま次第。
日々の生活から逃げ出したくなってしまったとき、あなたの両手の中にも誰かがくれた“しるし”が輝いているかもしれません。
……いつかのあなたが、そして私が、そう思えていたら……いいですよね。
“一冊の小説”がコンセプトの四作の独立した中編小説からなるこの作品。
ひとり一晩のみ貸すことが許された幻の稀覯書をめぐるどこか不気味で謎めいた物語。読み始めたら最後、気づいた頃には頭ではなく体ごと支配されていました……。
語り合う。探し求める。命を落とす。
書き継がれ読み継がれるたったひとつの物語が無限に連なり、広がっていく綻び。これを“読書体験”と呼ばずして何というのでしょうか。物語のための物語としての秀作。
ひとつ話を読めば興味は深まり、またひとつ読めば謎が更に深まります。よくある叙述トリックでがありません。
「週末の夜の東京駅は、ほのかなセピア色をしている」……この一文と夜行列車の場面が私は特に印象的でした。恩田さんに町と旅について書かせたら右に出る者は居ないのかもしれません。
正直、頭も心もフル回転で使いますが、本が好きな方には絶対に読んでいただきたい。
そう、“本”が好きな方には……。
冬の寒さから解放され始めるこの季節。
春の訪れに心を躍らせる反面、新しい環境に身を置くための準備や、仕事にプライベートに考えることも多くなりがちな春だからこそ、深呼吸をして、柔らかい春風を全身で感じながら心を整える読書を楽しんでみませんか?
また、来年の春に会いたくなる一冊と出会えるかもしれません。
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