物語の中に取り残されたい夜に【TheBookNook #58】
怖いのに、どうしても読んでしまう。ミステリーのそんな魅力を、装丁の印象すら覆す3冊で紹介します。夕木春央『方舟』、ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』、山口未桜『禁忌の子』。読み終えたあと表紙を見返すと、あらためて気づく仕掛けも楽しめます。
文 :八木 奈々
写真:後藤 祐樹
写真:後藤 祐樹
気づけばまたミステリーのページをめくっている……。
真相に近づくにつれてざわつく胸も、裏切られるたびに揺れる感情も、すべてが心地よく、怖いのにやめられない、苦しいのに知りたくなる、そんな不思議な魅力がミステリー作品には詰まっています。
先の展開が読める物語や、疲れた心を優しく包み込んでくれるあたたかい物語も良いけれど、全てを疑いながら読む物語はやっぱり格別。
信じていた人物に裏切られ、守られていると思っていた真実があっさり崩れる。この不安と高揚と裏切りと、小さな救いの全てが入り混じる読書を私はやめられません。
※写真はイメージです。
今回はそんな最後の一行まで信じられない装丁にすら裏切られるミステリーを三作品紹介させていただきます。
答えが出ているのに気持ちだけが物語の中に取り残されてしまうそんな読後をぜひ味わってみてください。
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