「走りながら軌道修正」直感で突き進む藤原美智子は“今”を選ぶ
ビューティ・ライフスタイルデザイナー・藤原美智子さんが「走りながら考えればいい」ということに気がついたのは20代のこと。計画より先に動く、直感で生きる。42年間続けたヘアメイクの仕事に区切りをつけた今も、「いつか」ではなく「今」を選び続ける藤原さんの生き方とは。
「もっとちゃんと計画を立てて堅実に行動しなくては」——年齢を重ねるとそんな気持ちが強くなってくることがあります。そのほうが失敗しないような気がして、慎重に考えて、準備が整ってから動く。でも考えているうちに、気づいたら何も変わっていなかった、なんてこと、ありませんか?
これまでの経験や肩書きを手放して、これからどう生きていくかを考えるタイミングで、そんなとき、ロールモデルになる存在がなかなかいない、そう感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、42年間続けたヘアメイクアーティストの仕事に区切りをつけ、68歳の今も自分らしい生き方を更新し続けるビューティ・ライフスタイルデザイナー・藤原美智子さんに話を聞きました。全4回にわたる連載でお届けします。
藤原さんは、秋田県出身、1958年生まれ。ライフスタイルブランド「MICHIKO.LIFE(ミチコドットライフ)」のBrand Directorも務めます。MICHIKO.LIFEは「一生使える技術」をコンセプトに、メイクアップ・スキンケア・ライフスタイルグッズを展開するブランドです。食・健康・装い・暮らしなど、美しく生きるためのヒントを幅広く発信しています。
そんな藤原さんに「どうしてそんなに思い切りよく動けるんですか?」と聞いたら、こんな答えが返ってきました。
■「走りながら考える」のが私のやり方
ーー藤原さんって、どうしてそんなに思い切りよく動けるんですか?
藤原さん(以下、藤原): 子どもの頃から“直感人間”だったの。「これやろう!」 と思ったら、やらないと気が済まない性格なの。
かつては「それじゃダメだ……!」と思い、ちゃんと考えて、計画を立ててから動こうとした時期もあったといいます。でも、実際にやってみても、うまくいきませんでした。
藤原: 考えているうちに動くタイミングを逃してしまうことがわかったの。そして、そうしているうちに「まあ、いつかでいいか」って思うようになるということも。
動こうとするほど頭の中でぐるぐると考えが巡り、まだ準備が整っていないと不安になる。そしていつの間にか、動けなくなっていきます。
ーーじゃあ、どうやってそこから抜け出せたんですか?
藤原: 20代のころ、腹をくくったの。考えるのは、走り出してからでいいや、って。そして、走りながら考えればいい。とりあえず動いて、動きながらいろんなことを修正していけばいい。それが私らしいやり方だって。もちろん人それぞれ合うやり方は違うけれど、私の場合は走りながら考えて行動する方が性に合ってる。ただ、それだけのことなの。
計画を立ててから動く方が合っている人もいます。どちらが正解ということではなく、自分がどちらのタイプかを知っていること。それが出発点でした。
「ちゃんとしなきゃ」という気持ちは、真面目さや誠実さと結びつきやすいもの。直感で動くことを「雑だ」「いい加減だ」と感じてしまうことも多いでしょう。でも、自分の性質を否定してうまくいかないより、認めて活かした方がいい。それが藤原さんの出した答えでした。
藤原: 今、振り返ると、腹をくくったのが自分の人生の始まりだったかなって思います。
そうして腹をくくってみたら、「いつかでいいか」と思うことが自然となくなっていったといいます。周到に準備してから動いているのになんだかうまくいかないというときは、まず走り出してみるのもいいかもしれません。
■「いつか」ではなく、「今」を選ぶ
ーー「いつかでいいか」と後回しにしてしまうことって、よくありますよね。
藤原: 「いつかいつか」と思っていても、いつかは決してやってこないってことがよく分かったんですよね。
やりたいことはある。でも今じゃなくてもいいかな、と思っているうちに、何年も経ってしまう。そんな経験が、藤原さんにもあったといいます。
ーー具体的に、どんなことがありましたか?
藤原: 子どもの頃、バレエを習いたかったんですけどできなかったので、今になって子どもの頃の夢を叶えています(笑)。
あれもこれもとすぐ習いたがっては、始めてすぐやめる。そんな繰り返しを見ていた親に、「もうダメ」と言われてしまったのだといいます。それが60代になった今、ようやく叶っています。
バレエに限った話ではありません。ふと興味が湧いたら、英語でも栄養学でも、とにかく始めてみる。毎朝5時にパソコンを開き、ブログを書いて、勉強して、朝風呂に入り、ストレッチをする。そのルーティンも、「やろうと思ったからやっている」だけだといいます。
「いつか始めよう」ではなく、今日から始める。トリガーになっているのは「やろうと思った」こと、シンプルにたったそれだけ。それが藤原さんの流儀です。
■腹をくくってみたら、人生が動き出した
ーー走りながら考える、と決めてから、実際に何か変わりましたか?
藤原: それまでは、なんかいつの間にか動けなくなっちゃうということもありました。でも腹をくくってからは、とりあえず動く。動いてからどうするかを考える。だから、止まらなくなったの。
準備が整っていなくても、走り出してしまう。それから軌道修正したり、補完したりする。その繰り返しが、気がつくと40年以上ものあいだ第一線を走り続けるという金字塔を築きあげていました。
――ヘアメイクの仕事に区切りをつけたときも、未練はなかったんですか。
藤原: 全然ないの。よく「もったいない」って言われるんだけど、自分ではヘアメイクの仕事は充分にやり尽くしたと思っているので未練がないのかも。
やりたいと思ったら始める。やりきったと思ったら手放す。計画より先に動く。入念な準備をするよりまず先に決める。そういう動きができるのは、やはり自分の性質を知り尽くしているからこそ。そして、腹をくくっているからこそといえるでしょう。
バレエも、英語も、移住も、藤原さんを突き動かすものの根っこは全部同じです。
まわりの声より、自分の直感を選ぶ。言葉にすると簡単ですが、それを42年間、貫き通した人の言葉は、やはり響きが違いました。インタビューを通じて、その軽やかさの奥に、選んだ結果への覚悟が伝わってきました。
(取材:小林、撮影:白井絢香)
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