暑い夏には熱い物語を。【TheBookNook #2】
じりじり暑い夏を快適に過ごすためには、熱い物語に没頭するのが一番……! 連載「TheBookNook」のVol.2は、本が大スキな著者が“夏こそ読みたい”作品を3つ厳選。この夏、一冊の本からはじまる“新しい物語”の世界に浸ってみませんか。
写真:後藤 祐樹
皆さん、最近、胸が熱くなるような想いをしましたか?
大人になると、子供の頃に比べ毎日の生活の中で心を動かされる機会が少なくなります。平凡な毎日の繰り返しでつまらないなと感じているなら、この夏だけは騙されたと思って、じっくりと本の世界と向き合ってみてください。読み終わる頃には、来年の夏が待ち遠しくなっているかもしれません。
※ 画像はイメージです。
来年の夏も待ち合わせしたくなるような“夏に読みたい/夏を感じる小説”を今回は紹介させていただききます。
1.道尾秀介(みちおしゅうすけ)『向日葵の咲かない夏』
生まれ変わりを信じる少年の“ある夏休み”を舞台にした物語です。登場人物それぞれがどこか怪しく、読み進めるにつれてだんだんとその違和感が私達読者を襲ってくる、いい意味で不快感MAXの物語です。
疑問を抱かせられる場面も多いのですが、最終的に「そうだったのか」と、腑に落ちると同時に、ブルっと全身寒気に襲われます。何度読み返しても飽きがこない道尾さんの技法がとにかく素晴らしく、思い出しただけでもぞわぞわする、なんともいえない読後感は唯一無二で、きっと来年の夏も、私は、この本を手に取ると思います。
私のもうひとつの夏休みを、皆さんも、ぜひ。
2.ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
言わずと知れたSFの金字塔(きんじとう)ともいえるこの作品。1956年出版にも関わらず、古さを感じさせず、今もなおさまざまな媒体で紹介され続け、年代問わず多くの人を魅了しています。
私がこの本と出会ったのは中学一年生のとき。人気のSF小説として書店で紹介されており手に取りました。はじめは冷凍睡眠、タイムトラベルといったSF要素に目がいき、当時は思い描いていた作品を読めたことに満足感を抱いていたのですが、大人になって読み直してみると、SFとして括ってしまうにはもったいない人間的な要素を多く感じ、表紙から受けるイメージさえも大きく超えた感動を与えてくれました。
60年以上経っても色あせない輝きを、ぜひ堪能していただきたいです。
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