夫に腹が立ちすぎて困る! その理由と対策とは【大人の上手な怒り術#3】
怒りと上手く付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事・戸田久実さんがお届けする連載【大人の上手な怒り術】第3回ではイラッとしたときの、怒りとの付き合い方をご紹介します。
■既婚女性のイライラの原因、堂々の第1位は“夫”
「あなたが一番イライラすることは何ですか?」
アンガーマネジメントの研修を行う際に受講者の皆さんに質問したり、女性誌の取材を受ける際にアンケートをとったりすると、既婚女性の回答の1位は、ダントツで“夫”にまつわること。
家事や子育てを手伝わない、脱いだ服を脱ぎっぱなしにする、テレビをつけっぱなしにしてリビングで寝る、休日に家でゴロゴロしている、などなど……イライラの原因は数えきれません。
読者の皆さんの中にも、同じように感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
■身近な相手であるほどイライラする
なぜ夫に対して、こんなにイライラするのでしょう。
怒りの性質の性質は様々ありますが、その中のひとつに「身近な対象ほど強くなる」というものがあります。
前回の記事「LINEの返信が遅い彼にイライラ……怒りを生み出しているのは自分かも」でもお伝えしましたが、たとえ夫婦でもお互いに「~するべき」という理想や願望、価値観が違いますし、何を優先したいのかも違うはずです。
付き合い始めた頃のラブラブな時期には、「違う価値観も素敵!」と思えたり、相手をわかろうと努力したりしていたもの。
しかし、夫婦になって長い時間が経過するうちに、知らず知らずのうちに「自分の思い通りに動いてくれるのでは」、「言わなくても察してくれるのでは」、という期待も高くなりがちです。
さらに、多少感情をぶつけても許されるだろう、という甘えも生じ、怒りが強くなる傾向があるのです。
そんなわけで、妻側の心の中には
「私は仕事で疲れているんだから、食事の片づけを手伝ってよ!」
「ゴミ捨てくらい言われなくてもしてよ!」
という思いがどんどん溜まっていき、あるとき「もう嫌だ!」と怒りが爆発。
そんな妻の側で、なんのことかわからずぼ~っと立ち尽くす夫……なんていう地獄絵図が生まれるのです。
■言わなきゃわからない! と割り切ろう
しかし、夫側に話を聞くと、「妻が何で怒っているかがわからないときがある。してほしいことがあれば、言ってくれればいいのに……」と言う人が実に多いのです。
よく言われることですが、男性は言葉にしてはっきり言ってもらえないとわからない、という傾向があるようです。
いきなり「少しは手伝ってよ!」と言われも、「少しはって、何をどうすればいいのかな……?」と戸惑ってしまいます。
ですから、まず女性側は、「言わないけれど察してほしい」という気持ちは捨てましょう。
そして、「少しは手伝って」といったあいまいな表現ではなく、
「食器を洗ってふきんで拭き、食器棚にしまってほしい」
「洗濯物をベランダから取り込んで、すべて畳んでクローゼットにしまってほしい」
など、“何をどうしてほしいのか”を“具体的”に伝えるようにしましょう。
「そんなことまで、いちいち言わなくてはいけないの!?」と思うかもしれませんが、そこは男女の違いだと思って割り切るしかありません。
■「ま、いいか」と許容範囲を広げてみる
そして、一緒に暮らすうえで、あまりにも「~あるべき」が多すぎたり、許容範囲が狭すぎるとイライラすることが多くなるので、自分の中にある「べき」の許容範囲を広げる努力も重要です。
「夕飯いらないんだったら、15時までには連絡するべきだと思っていたけれど、急な誘いもあるだろうから、作り始める18時頃までに連絡すればいいとしようかな」
「朝のゴミ捨ては言われなくてもやってほしいけど、うっかりすることもあるだろうから、一度声をかけてしてくれたらOKとしようかな」
というように、イラッとするけど、ここまでなら「ま、いいかな」にするというように、許容範囲を広げるよう心がけてみましょう。
■ケンカになったら「タイムアウト」
日々このように心がけていれば、イライラの種はかなり減ることでしょう。とはいえ、やはり日々の生活の中では、ついケンカになってしまうこともあるかもしれません。
そんなときには、激しいケンカに発展しないよう、「タイムアウト」をするのがおすすめです。
言い合いになって感情をコントロールできなくなり、エスカレートしそうになったら、その場をいったん離れるのです。こうすることで、感情をリセットし、その場の雰囲気が悪化することを防ぎます。
「ちょっとトイレに行ってくる」
「お水飲んでくるわ」
というように、スポーツの試合中、タイムをとった後にゲームが再開されるのと同じように、またその場に戻ってくることを伝えるのも忘れずに。
その場を離れた際には、深呼吸やストレッチなど、気持ちを落ち着かせるようなことをしてくださいね。決して、大声で叫んだり、モノに八つ当たりをするなど、感情が高ぶることはしないようにしましょう。
この「タイムアウト」は、アンガーマネジメントの取り組みのひとつですので、ぜひお試しください。
『いつも怒っている人も うまく怒れない人も 図解アンガーマネジメント』書籍情報
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