『DRESS』2月特集は「生きてくための伝え方」。伝え方が心地よい人にはまた会いたくなるし、仲良くなりたくなるもの。学校では教わらなかった、表情や声のトーン、出し方などの話し方、人との接し方など、相手に対し効果的にものを伝えるヒントをご紹介します。伝え上手になって、人とのコミュニケーションをより良いものにしていこう!
声は変えられる。理想の声に近づく簡単トレーニング
「話し方」は「見た目」と同じくらい、その人の印象を決めてしまう重要な要素。話し方に自信がなくてもトレーニングすれば変えられます。ここでは話し方のなかでも「声」に焦点を当て、現役アナウンサーが講師を務める話し方教室「KEE’S」代表の野村絵理奈さんに教えていただきました。
自分の話し方や表情、声などを客観的に見たことはありますか? 気恥ずかしさは封印して、一度動画で撮影し、その様子を冷静に見てみると、「これが私……」と言葉を失う人が多いかもしれません。でも、それが真実です。
現役アナウンサーが講師を務める話し方教室「KEE’S」が「シティリビング」(2008年4月25日号)を元に作成した、「初めて会った人のどこを見て判断するか」というアンケートによると、1位の「顔つき・ルックス」(21%)に続き、2位は「口調」(19%)であることがわかっています。
つまり、話し方で第一印象の良し悪しが決まってしまうということ。とはいえ、何十年も自分なりの話し方を続けてきて、今さら変えられるのか――。「話し方や話しているときの表情、声はトレーニングによって鍛えられます」と話すのはKEE’S代表の野村絵理奈さん。
「なんか落ちついていますね」とは言われるものの、「元気ですね」とか「明るいですね」などは言われたことがなく、「話し方に元気さが足りない」と自覚している筆者が、野村さんに直接レクチャーしていただきました。そのなかから自宅で実践できるトレーニングをいくつかご紹介します。
■今の自分の声質を正しく知ろう
トレーニングを始める前に、現在の自分の声の印象(声のイメージ)を認識します。これは何をどう変えると理想に近づけるのか知るための大事なプロセス。声のボリュームが小さめ・声のトーンが低めな筆者は「落ちついている」ゾーンに位置しています。
『世界のエリートが実践! 革命的話し方メソッド』(著:野村絵理奈)P20の図を参考に『DRESS』で作成。
「落ちついている」ゾーンから、「明るい・フレッシュ」ゾーンに持っていきたい、と野村さんに伝えました。そのためにはもう少し声のボリュームを大きく・声のトーンを高くするトレーニングが必要になります。現実と理想の間にあるギャップを知ることが、トレーニングを始める前に欠かせない準備になるのです。
■自分の自己紹介動画を撮影してみよう
声質がわかったところで、話し方スキルのチェックをするために、自己紹介動画を撮影します。オンオフ問わず、新しい出会いのある場で、避けては通れないのが自己紹介。ただ、苦手意識がある人もけっこう多いもの。
「シチュエーションによって自己紹介の内容は変わってきますが、あらかじめテンプレートを作っておくと、落ち着いて対応できます。基本的には、(1)所属、(2)フルネーム、(3)その場にふさわしい話題、(4)締めの言葉の4つのステップを踏むと良いでしょう」(野村さん)
筆者の自己紹介はこちら。「株式会社DRESS、『DRESS』編集部所属の池田園子と申します。大人の女性に向けたWebメディアを運営しています。仕事柄取材をすることが多く、取材相手に話しやすいと感じてもらったり、心を開いてもらったりできるよう、明るい話し方を学べたらなと思っています」。
この自己紹介動画を初めて見たとき、「こんな覇気のない表情でボソボソと話しているなんて……」と顔から火が出る思いでした(笑)。「声がこもっている」「口の開き方が小さい」「声が明るくない」など、改めて「改善したい部分」がたくさん出てきました。
■ボリュームのある声を出すトレーニング #息のみで行う発声練習
まず、ボリュームのある声を出すためのトレーニングから始めます。よく通る声を出すのに必要なのは腹式呼吸。
日常生活で声を出すときに、腹式呼吸をしよう! と意識することはないと思いますが、「声は空気の振動。声を出すときに腹式呼吸を使い、できるだけたくさんの息を出して、空気を振動させることで、ボリュームのある魅力的な声を出すことができます」と野村さん。
腹式呼吸を使って、声を出さずに行うトレーニング方法を伺いました。
1)肩の力を抜き、正しい姿勢(足は肩幅、背筋はまっすぐ、お腹は引っ込める)で立ち、体の中の息を口からすべて吐き切る
2)鼻から息を吸い、おへその下に溜め込む
3)お腹が息でいっぱいになったら、胸に溜め込む。これ以上息が入らないと思っても、もう少し入れるくらいまで溜め込む
4)声を出さずに、口から静かに「すーっ」と細く息を吐き出していく
5)これ以上吐く息がないと思っても、さらにお腹がぺたんこにへこむくらいまで吐き切る
(1)〜(5)を実践していると、息を吸うときに肩が上がったり、力が入ったりしがちですが、意識して「脱力」を。
■ボリュームのある声を出すトレーニング #声を乗せる発声練習
息だけで発声するトレーニングの応用版が、声を乗せるトレーニングです。息だけで発声するトレーニングを2セットした後、(4)の息を吐き出すところで、「すーっ」ではなく「あー」と声を乗せてみます。
3〜4メートルほど離れた位置にいる相手に息が届くくらいのイメージで、息をしっかり吐き出しながら声を乗せるのがポイントです。1〜2回繰り返しただけで、普段出さない声のボリュームで、かつお腹を使っているため、体の内側からポカポカしてきて、額に汗がにじむまでになった筆者。体を使って声を出している実感がありました。
「あー」は大人の女性であれば15秒前後続くのが平均(目安)だそう。声を乗せるトレーニングは4セット行います。
(明るい声をつくる方法【素敵な人と思われる話し方#2】へつづく)
※こちらの記事でご紹介した内容はKEE’Sの「コミュニケーション美女講座」で学ぶことができます
http://www.kees-net.com/
Text/池田園子
2018年2月2日公開
2019年7月1日更新
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