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「男は繊細なんだ!」と開き直られますがね

不妊治療というと主に女性側と捉えられることも多いですが、不妊の原因の半分は男性側にあると言われています。治療しないと妊娠出来ないまま時間は無情に過ぎて行くのですが、どうも不妊治療に対して腰が引ける男性が多いよう。男性の不妊治療について宋美玄先生にお話しを伺いました。

「男は繊細なんだ!」と開き直られますがね

前回は「妊娠年齢には限りがあると言えばいいものを、卵子老化などと言って必要以上に不安を煽り人を傷つけるのはいかがなものか」ということを書きました。考えてみると、女性の方が妊娠の年齢限界は早いものの、男性の方が平均寿命は短いのであります。子どもが成人するまで現役で働いていようと思えば、そんなにのんびりできないのは男性だって同じですし、そもそも余程の社会的地位と富の持ち主ならまだしも、普通の「オッサン」の子どもを産んでくれる若い女性がそうそういるかっていう話ですよ。

卵子老化=高齢不妊が話題に上ることが多くなりましたが、「高齢」になるまで妊娠もしくは子作りをする機会がなかったのは女性側だけに原因があるわけではないというのは前回も書いた通りです。そもそも、高齢出産・高齢不妊のイメージとしてよく描かれる、「バリバリ仕事をしていたら(もしくは好きなことをしていた)、気づけばアラフォー」という女性ってそんなにいるのでしょうか。まあいないことはないでしょうけど、相手がいないもしくは相手がいても子作りする環境になかったためキャリアを追求する結果となった女性の方が圧倒的に多いと思うのです。

時間が経てば女性はみな高齢不妊になります。先日40代で人工授精で妊娠された方の話を詳しく聞いていたところ、夫がEDのため子作りができなかったのに夫が治療を嫌がり、ようやく重い腰を上げてくれたのは自分が40歳を数年すぎた時だったというのです。「いやあ、授かって良かったですね……」と心の底から言いました。

カップル10組のうち1組が不妊と言われ、その半分は男性側に原因があると言われています。精子が少ない、運動率が悪い、などの他、勃起や射精の機能に問題があるという例も結構あるんです。他の女性なら勃起するのに奥さんだと勃起しない、マスターベーションだと射精出来るのに、膣だと射精出来ない、などなど……。

治療しないと妊娠出来ないまま時間は無情に過ぎて行くのですが、どうも不妊治療に対して腰が引ける男性が多いよう。男性不妊が専門の先生に「男性は繊細なんです」と一言で言われてしまったんですが、しばしば妻側に原因があるのではという目でみられてしまう妻に、さらに夫に気を使えというのもなんだかなあって感じですよね。しかも世間は「卵子老化」キャンペーン中。啓発は結構ですが、現在は女性ばかりを追いつめるバランスの悪い状態です。

男性側の意見を聞くと、不妊まで行かずとも、月経が来て「ああ今月も授からなかった」奥さんがため息つくだけですごくプレッシャーだし、自分がだめだと言われている気がする、治療しないと子どもが出来ないという事実と向き合うのは辛すぎる、など確かに繊細なんだなあと感じます。でも、それは女性は繊細でない事は意味しないし、「繊細なんだもん」と先に進まない人は遺伝子を残すことは出来ないと言うのも事実です。

やはり子どもが欲しい人には授かって欲しいですよね。「イクメン」という言葉で男性をおだてて育児を分担させるよう誘導しているように、なんか「不妊治療をするのがトレンディ」みたいな雰囲気の呼び名をつくっておだてられませんかね~。「フニメン」とか?いかにも勃起しなさそうでだめか……。

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宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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