高齢で出産する人の割合がいま増えています。高齢出産増加の背景や理由、男女の意識の違いについて、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生にお話をお伺いしました。高齢出産になる理由の1つに、キャリア形成期と出産適齢期がモロにかぶっていることが挙げられます。
「女性手帳」の真相
世間での高齢出産の風当たりは強いです。それに追い討ちをかけるように報道されたのが、あの「女性手帳」。 ところが、その手帳を発案した内閣府に話を聞くと「啓蒙は重要だけど女性にだけ配るという意図はなく、むしろ男性を啓蒙しなければ」というきちんとした考えがありました。
前々回の「高齢出産になる理由」は結構反響の大きな記事でした。世間での高齢出産の風当たりは強いです。高齢不妊に悩む女性には「ぼんやりしているからだ」と石を投げ、高齢出産する女性には「ハイリスク妊娠が産科医療に負担をかけている」「ダウン症の子どもが産まれても自己責任」と石を投げる。それが全部女性のせいだなんておかしいですよね?
しかし、それに追い討ちをかけるように報道されたのが、あの「女性手帳」です。女性だけに「子どもが欲しいなら早く結婚して早く産みましょう」などと手帳を配ると報道され、ネットで大騒動に。私もそれに乗っかった一人です。
ところが、それを発案した内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」に招かれオブザーバーとして出席したところ(そう、ついに女の内閣が本物の内閣府とコラボ(!?)です!)、啓蒙は重要だけど女性にだけ配るという意図はなく、むしろ男性を啓蒙しなければということがずっと話されていたそうです。なんだ、分かってるんじゃん、と言うと偉そうですが、とてもホッとしました。
そして、結婚した夫婦が産む子どもの数は変わっていないが結婚が少子化対策のハードルになっているという事実が示され、新婚家庭に家賃補助を出すなど結婚を支援していくという案が出されていました。
やっぱりそこですよねえ。昔みたいに若いうちにお見合いで結婚していた時代と違って、今は選択肢が多すぎる。DRESS7月号でも米倉涼子さんが「同居しててももっといい人がいるかもと思ったら結婚しない」というような主旨のことを話されていて、そう、目移りするくらい異性が周りにいると「決定打」って難しいよなあと思いました。
やっぱり結婚の支援だけじゃなく、フランスみたいに「法的に結婚してなくても子ども産んだらいいじゃん」「相手選びに失敗したと思っても、離婚歴や子持ちであることが恋愛のハードルにならないような社会になればいいじゃん」という方がこれからの時代なんでしょうか……
そういう文化が日本になじむかどうかはわかりませんが、できちゃった婚も今や主流ですしねえ。少なくとも若いうちに運命の人と出会って結婚して子どもを産めという選択肢しかなく、失敗は許されぬ、という社会通念のままなら、少子化の歯止めは止まらないでしょうね。
前回の記事↓
関連記事↓
どの年代で妊娠しても「流産」は珍しいものではありませんが、高齢出産の場合に流産の確率は高まります。今回は、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に、高齢出産時における流産の「確率」や「原因」についてお聞きしました。
女性の高齢出産。何歳まで妊娠できるのか? 不妊治療は何歳までに行えばいいのか、ぶっちゃけた話、女性が自然妊娠できる年齢はいつまでなのか。今回は、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生にお話をお伺いしました。