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「卵子老化」って言うな!

医療技術の発達により、卵子凍結によって卵子の時間を止めることができる世の中です。しかし出産というの年齢だけではありません。最近はメディアで「卵子老化」がキャッチーな単語として語られるようになっています。注目を集めるために必要以上に煽るのはメディアの悪い癖です。高齢出産について宋美玄先生にお話しを伺いました。

「卵子老化」って言うな!

トンデモ斬りコーナーとなっていたからだ問題担当大臣のブログですが、ちょっとここらでDRESS本誌と連動してみたいと思います。11月号と現在発売中の12月号で「卵子凍結」についての記事があって、結構濃い内容なんでぜひチェックしてください。

子どもを持ちたいという人が子どもを持てるにはどうしたらいいかという事について考える中で、その一つの技術として卵子凍結があるということです。もちろん、卵子凍結は子どもを持てる「保証」じゃないんですが、過去に散々書いた通り年齢とともに妊娠率が下がり、流産率が上がり、染色体の分配間違いが起こりやすくなる(つまり染色体異常児が少し増える)のは事実なので、時間を止めることができるというのは福音です。(そんなにあっさり出来るものではないようなのは本誌に書かれている通りです)

NHKが昨年2月に放映された「卵子老化の衝撃」という衝撃的なタイトルの番組を受けて、「知らなかった!」という声が続々と聞かれました。その後もメディアで「卵子老化」がキャッチーな単語として語られるようになり、「卵子が若返る」というインチキサプリまで出る始末。そして、「妊娠しづらくなる」と言われるより、女性としての価値そのものを否定されたように感じる人も多いのではないでしょうか。そして高齢出産で生まれた健康な子どもにも、なんとなくケチをつけられたような気持ちになります。(少なくとも私は)年齢だけじゃないんですけどね……

何事も啓発は大事ですが、注目を集めるために必要以上に煽るのはメディアの悪い癖で、傷つけなくてもいい人を傷つけるし、焦らなくていい人を焦らせるということは忘れてはいけませんね。そして、女性側の不妊の要因ばかりが取りざたされる現状となっていますが、不妊の原因の半分は男性側にあります。男性が不妊治療に非協力的であったがために時間が過ぎ、女性も高齢不妊となり、「ぼんやりしてた」的なことを言われる例は多いので、情報の伝えられ方が偏り過ぎだなあと思っています。「私だけのせいにしないで!」って思っている女性も多いのではないでしょうか。

不安を煽って女性に害を及ぼすだけじゃなくて、どうすれば子どもを持ちたい人が産めるうちに産めるようになるか、ここでも考えて行きたいです。(DRESS本誌も要チェックです!)

次回は男性側の要因について掘り下げたいと思います。
 

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宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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