「仲良くなりたいけど、緊張して話せない」人が、“距離を縮める”方法 2/2
■コミュニケーションの得手不得手も「個性」
「コミュニケーションが上手な人」と聞いて、皆さんはどんな人を思い浮かべるでしょうか?
きっと、いつも笑顔を絶やさず、誰にでも臆することなく話しかけ、どこに行っても楽しそうに人と話をしている……そんな姿をイメージするのではないでしょうか。
もちろん、世の中にはいわゆる「人たらし」と呼ばれるような、いつも人の輪の中心にいて人間関係が円滑にいっているような人もいます(歴史上の人物では、豊臣秀吉とか坂本龍馬などが、そのように言われていますよね)。
そういう人を目の当たりにしてしまうと、どうしたって「あんな風にできたらなぁ」と思わずにはいられませんよね。コミュニケーションに苦手意識があれば、なおさらです。
しかし忘れてはならないのは、人間には「個性」というものがあり、それぞれに必ず「得手不得手」の両面があるということ。
人の良いところに憧れを抱くあまり、自分の良いところに目を向けることなく、苦手の部分にばかりフォーカスしてしまえば、誰だって心が苦しくなるものです。
そこに追い打ちをかけるように、「もっとこんな風にしないとダメだ」という憧れのイメージのまま、苦手なことを無理にやろうとしても……。そのコミュニケーションはあなたにとって、ますます辛いものになってしまうはず。
そうすると、余計に自分を追い詰めてしまって、萎縮した気持ちで周囲と接することになりかねません。それは、もちろん自分の心の健康にも良くないですし、相手にも「無理をしている」と伝わってしまう場合がありますから、避けたいことです。
つまり、「無理のないコミュニケーション」において本当に大切なことは、「自分に合った方法」を自分なりに見つけていくことではないでしょうか。
■距離の縮め方にも、いろいろな方法があっていい
私は「コミュニケーション上手」と言っても、さまざまなタイプの人がいていいと思っているんです。
もちろん、皆を盛り上げて、場の空気を華やかにするような人も素敵です。でも、集団の全員がそのタイプばかりだと、まとまりに欠けてしまうときだってあるはず。
たとえば、1対1で話をしたときにじっくり話を聞いてくれて、なんだか安心できる人もいますよね。それだって、とても大事なコミュニケーションだと思いませんか?
普段は話すことが苦手で寡黙だけど、ここぞというときの発言が「鶴の一声」になるような、頼もしいタイプの人だっています。こういう人も、「自分を活かしたコミュニケーション」をしていると言えますね。
ご相談者さんの場合、自分から話題を振ったり話を拡げたりすることが苦手なら、反対に「聞き上手」を極めることを目指してみてもいいかもしれません。
純粋に相手に対して興味を持ってみたり、自分のことをあれこれ喋らずとも、日常の中でささやかな疑問を投げかけてみてもいいと思います。
たとえば……周囲が仕事の先輩ばかりなら、「●●さんって、××がすごく得意そうですけど、それってなにかコツがあるんですか? 私、どうにも××が苦手なんですよね……」と、仕事について教えを乞うような話題もおすすめ。
相手だって頼られるのはうれしいですし、相手の得意の中から役立つノウハウや情報を得ることもできます。
■無理のない「自分らしい」人付き合いを
大勢とのコミュニケーションはハードルが高ければ、少しでも話しやすそうな人と、どんなに短くてもいいので、会話を楽しむ瞬間を積み重ねてみましょう。
コミュニケーションは、「信頼」の蓄積でもあると思うのです。相手も「この人は自分と話をしようとしてくれているんだな」と思えば、悪い気はしません。
それにもし、話をすることに少しでも慣れてきたら、会話の中で思い切って「いつも皆さんとお話ししたいなと思ってるんですけど、いざとなるとなんだか緊張してしまって……」と胸の内を伝えてしまうのもひとつ。
自分の弱みを素直にさらけ出すことは、恥ずかしいことではありませんし、人に安心感を与えることすらあるんです。人間心理として、「どう思っているかわからないな」と思う人には、なんとなく話しかけづらくなってしまうものですから。
あなたの気持ちがわかれば、相手も親しみやすさを感じて、向こうから話しかけやすくなるかもしれませんよ!
誰にでもある「得手不得手」の中で、それぞれの人なりに無理のない、個性を活かした交流ができること。それこそが、コミュニケーションの神髄であり、おもしろさであるはずなんです。
自分の中に「もっと仲良くしたい」という気持ちがあるのなら、それを「どんな形で表現できるか」について、ぜひ心に無理をさせない「自分らしいスタイル」を見つけてみてください。
焦ることはありません。
少しずつ、一人ひとりと信頼関係を結んでいくように、心の距離を近づけていくプロセスも、あなたなりに楽しんでみましょう。
コミュニケーションでは、「仲良くなりたい」という想いを大切に、心やわらかく肩の力を抜いて、相手のことを見つめてみてくださいね。