「仕事を心から好きだと思えず、楽しめない自分が嫌だ」と悩む人に伝えたいこと
毎日懸命に仕事をして、ふと「自分は、何のために働くのだろう」と我に返る。人の役に立つためには、自分を抑えなくては駄目だと、苦しんでいませんか。自らの自己分析と心の学びを経て、巫女であり「心の相談屋さん」としても活動中の紺野うみが、一人ひとりのより善い生き方を、皆さんとともに考える連載【紺野うみの生き方ノート】#2です。
働くことの意味ってなんだろう。
誰もが人生で一度は考えたことがある、深い命題ではないでしょうか。
今回は「仕事」に向き合うときの、心構えに関するお悩みに、私なりの答えをお伝えできたらと思います。
仕事とは、そもそも誰のためにしているのでしょう。社会のため、人のため、家族のため、自分のため。
さまざまな意見があるかもしれませんが、もしあなたの心の中で「働くこと」への苦しみが勝っているなら……。
その心の在り方について、一緒に考えてみませんか?
■仕事は「自分」を抑えないと、上手くいかない?
以前、熱意のままに行動した挙げ句、集団がバラバラになり、自分も立ち直れなくなってしまったことがありました。
再起不能になってしまえば何も残らないし、それどころか無責任と叩かれる……。
それが怖いので、今はやるべきことだけを遂行し、熱くならないようにしないといけないと自分を抑えています。
少なくともそうすることで、周りも自分も崩れるのを防ぎたいと、そんな風に考えてしまうのです。
仕事ではよく「人の役に立つことが大事」と言われていますし、お給料をいただく以上は、その論理も理解しているつもりです。
私自身も、誰かの役に立たなければ生きていけないと思い、今の会社を選びました。
そして円滑に仕事をする上で、周りの人に配慮することが大事だということもわかります。
しかし、周りに気を遣って努力していた人が壊れていき、離れていく様子も、幾度となく目の当たりにしてきました。
仕事をする上で「好き」「嬉しい」「楽しい」という気持ちを感じるよう言われると、それが上手くできない自分に胸が苦しくなります。
心のどこかに、仕事をする上では自分の「好き」や「熱意」のような気持ちは、最小限にしなければ上手くいかないのではと考えてしまう自分がいます。
今は仲間にも恵まれて、助けてもらいながら仕事をしていて、周りの方には感謝しています。
でもその気持ちだけで、職場で働くのは違うと思ってしまいます。
最近は、周りのことをもっと知ろう、もっと役に立とうと積極的になりたがる自分を抑えるのと、彼らに迷惑をかけてしまうのではという恐怖心を抑えるのがつらくなっています。
お金を稼がなければ生きていけないので、仕事を辞める気はありません。
しかし、自分のためにがんばり、自分を守ることにもっと一生懸命になれないものかと悩んでいます。
今、自分のためにも人のためにもがんばりきれない、中途半端な自分がつらいです」(こんにゃくメンタルさん)
■自分にとっての仕事とは、人生を彩る「手段」
まずは、根本的なことについて考えてみましょう。
「あなたにとっての仕事とは、何か?」ということです。
日本の現代社会では、仕事というものは「お金を稼ぐために、自分を犠牲にしてでもがんばるべきもの」という認識が、根強いように感じます。
大変なことを我慢して乗り越えて、そして結果を出すものだと、多くの方が信じています。もちろん、その考え方で「仕事」が上手くいっているし、何の問題もないという方もいるでしょう。
しかし、いつしか自分自身の心も体も追い込まれ、続けていくことが苦しみばかりになっている方もいるのではないでしょうか?
毎日、大変な思いをして満員電車で通勤したり、会社でも人間関係がつらかったり、仕事もなぜか上手くいかないことが多かったり。1日の大半をストレスが多い時間に追われていると、「一体何のために……」という思いが芽生えてくることもあるでしょう。
それは見ないふりをしても、どこまでも影のように付きまとい、心を苦しめるのです。
かくいう私も、かつては自分の本心を抑えつけながら「我慢するのが当たり前だよね!」と仕事を続けた結果、疲弊してしまったことがありました。そして今、自分の心に嘘をつかずに仕事ができるようになってから、大事なことに気づいたのです。
それは、「仕事」はそれ自体が「目的」ではなく、自分の人生を自分らしく輝かせるためのひとつの「手段」である、ということ。
主役はあくまでも「自分の人生」であり、誰もが「仕事をするため」に生きているわけではない、ということでした。
最初にそれを知っておくと、「自分をボロボロにして働く」ことが、かなり本末転倒であると気づけるのではないでしょうか。
もちろん、仕事は「お金を稼ぐため」とか「家族を養うため」に避けては通れないものだ、と考えている方もいるでしょう。お金がなくては生活が成り立たないので、それも確かにおっしゃる通りです。
しかし、その先には必ず「稼いだお金で自分や家族の人生を、明るく楽しく豊かにする」という、最終目標があってのもの。それが見えなくなると、私たちは働くことに対して「虚無感」を感じたり、前向きな気持ちが失われたりするのだと思います。
■社会にとっての仕事とは、「助け合い」の仕組み
ご相談者さんは過去の経験がトラウマとなり、「自分を抑えなくてはならない」「人を崩さないようにしなければならない」と強く感じるようになったのですね。しかし、自分を抑えることがつらく、でも周囲を乱してしまうことも怖い。
自分のためにも人のためにも「がんばりきれない」というのは、言わば自分で自分を「板挟み」にしている状況なのだと思います。
ここまで私は、「自分の心や体を犠牲」にして行う仕事はどんどん苦しくなってしまう、とお伝えしてきました。犠牲というのは、「酷使」するというだけでなく「抑えつける」ということも同じです。
それはいわゆる、自分の中の熱意や興味といった、ポジティブな感情を殺していることにもなるのですから……。まずはできるだけ、その「抑えつけ」をなくしていきましょう。
でも、そこで恐らくネックになるのは、過去のトラウマにもなっている経験。「自分の熱意のまま動いた結果、周りまで崩してしまった」ということです。
これについては、どのように考えていけばよいのでしょうか?
ここで、先ほどは「自分」にとっての仕事を考えましたが、今度は「社会にとっての仕事とは、何か?」を見つめてみましょう。
世の中になぜ「仕事」があるのかといえば、人が「自分にはできないこと」を、誰かの力を借りて「助け合うため」です。
自分ひとりの力では、できることに限りがあります。しかし、私たちは「仕事」という形で他者の力を借りることで、お互いの生活を支え合い、皆でこの世の中を「快適に過ごせる」ように協力しているのです。
簡単に言えば、自分の「得意」を持ち寄って助け合うという仕組みだと、私は考えています。
……つまりは、会社という小規模な社会の中でも、同じことが言えるのではないでしょうか?
一人ひとりが、自分の中にある「得意」「興味」「好き」「情熱」を存分に発揮しながら、生き生きと、かつ人の役にも立てることを行うことこそが、自分と周囲を明るくする「仕事」なのだと。
■周りとの「和」を大切にするのは、自分を活かしきるため
ご相談者さんは、過去に「熱意」のままに行動して集団をバラバラにしてしまった、とのことでした。
これが起こり得るのは、集団で仕事をする際に無視できない「気持ちの温度差」や「チームワーク」が上手く揃わなかった場合だと考えられます。
自分が一生懸命やっていても、周りとの連携が上手くいかないと、協力して行う仕事はなかなかうまくいかないもの。自分の良さを活かしきるためにも、周りとの「和」を大切にしなくてはならないのです。
「自分にできること」と「周りが求めること」のバランスを考えながら、職場を「誰もが心地よく働ける場所にする」という工夫を怠らないようにしてみてください。
誰かがストレスを感じていたり、負担を強いられている環境は、永くは持ちません。どこかに歪みや綻びが生じてしまうものです。
「人間関係」の生まれる場所なら、どんなことにも同じことが言えますが、最終的には「思いやり」なのだと思います。
ただし、他人を思いやるのに不可欠なのは、自分の心や体にも十分な「余裕」があること。まずは自分のことを大事に扱うようにすると、自然に自分が満たされて、人の気持ちについてもよく気づけるようになるはずです。
まずは、自分の本心をしっかり見つめることから、始めてみてくださいね。
■自分の心や体を「殺さない」働き方を
がむしゃらに仕事をしている方が陥りがちなのは、仕事をすることで得られる対価を「お金」だけだと捉えることです。もっと仕事を、自分の幸せな人生の「理由」になるようにしてみましょう!
身を削って仕事をしている方が陥りがちなのは、仕事をする目的を「人の役に立つため」だけに設定することです。もっと仕事で、自分がわくわくできるような「情熱」を見つけましょう!
そしてその前向きな力を、どうやって「仕事」という他者も関わる枠の中で発揮できるか……? それが、あなたに試されている人生の課題のようなものなのです。
まずは、自分ができるだけ「ご機嫌」に「心地よく」働けるように、小さな革命を起こしてみませんか?
これは、ただ「楽をしろ」ということではありません。
自分の心が前向きにがんばりたいと思うことや、自分の良さや得意分野を活かして、生き生きと仕事ができるように、自分の心や環境を整えていくのが大切だということです。
仕事の環境でストレスの元凶をすぐになんとかできないときは、別のところで自分の心が求める「息抜き」をするなどして、心や体をほぐしましょう。
そして、自分自身が満たされた状態で、仲間も心地よく働けることを目指しましょう。ちょっとした心配りや笑顔の声かけなど、周囲とのコミュニケーションは、ささやかな思いやりの積み重ねです。
仲間との間に笑顔が増えれば、それはそのまま自分の心も幸せにして、人生が明るく彩られていくことにもなります。
どうか、あなたの「仕事」という場所に、他者を巻き込むくらいの「善い循環」が生まれますように。
「楽しく・心地よく・生き生きと」働いていきましょう!
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