『横顔の女』バックナンバー
#1「窓」 #2「台所」 #3「お裁縫」 #4「お鮨屋さん」 #5「お化粧」 #6「スキー」#7「旅」
#8「コーヒー」
#9「和室」
#10「今を生きる今くん」
#11「叔母のワイン煮」
#12「文房具さん」
#13「物思いのススメ」
#14「京都通信2」
#15「ホームパーティーのすすめ」
毎年ハロウィンパーティーにお招きくださるご近所のモダンなご家庭がある。
今年は二年ぶりに開催されることに。そのご婦人は、四人姉妹で、私は前にお父さまが大切にされていた小ぶりな重箱をいただいていた。桜の木目の三段重。その姉妹の三人がいらっしゃるから、よっしゃ、何かお料理を作ってお持ちしようと、朝から気合い満タン!!
しかし、いざ、冷めても美味しく、お節とも違う、よそゆきのお洒落な料理が思い浮かばず。
む、むずい。
中華の蒸し鶏のイタリア風、すだちのスライスをちらして。こんにゃくとすき焼き肉の赤ワイン、醤油、砂糖で味を染み込ませたもの。甘くなったから、針生姜と、山椒の粉もかけて。
里芋をチンして、オリーブオイルで焼き付け、みりんと醤油で味付け。最後にパルミジャーノをふわっとかけて。隙間にはドライいちじく、オリーブ、ベーコン削ぎ切りして焼き、ピンクペッパーを散らした。ミントを添えて。
頑張ったでしょー?
この日は、私は三年ぶりの句会がありパーティーには途中参加だから、先に手伝いを任された娘達と重箱を先方に届けることに。
時間制限があり、台所で大奮闘! いつもよりおいしそうないい匂いにトイプードルの今君に何度も膝カックンされつつ、大急ぎで作った達成感たるや!
自分がいないときに皆さんに召し上がっていただく緊張感! 子供のお弁当とは訳が違う。
さて、句会で三位になりまずはホッとしつつ、途中からハロウィンパーティーに合流。
なんと、テーブルに出して下さった重箱は、ほぼ空になっていて、良かった!
そのあとのワインのおいしかったこと〜。
ホームパーティーは、我が家もよくする。
ポイントは、頑張り過ぎないこと。持ち寄りにすること。
そうしたら、家は、ピカピカ、子供は、ウキウキ、友達の得意料理も教えてもらえる、しばらくは冷蔵庫が豊かで数日ラクできる。酔っても家だから、安心。何より喜んでもらえて、幸福感が増す!
句会では、ご年配の先輩方が、三名いらっしゃれなくなっていた。三年の月日が身に染みて寂しかった。だからこそ、人とは密に付き合いたい。力になりたいし、優しい思いやりに心底触れたい。いつか会えなくなるのだから。
同じ時代に生まれた喜びに酔うには、ゆえにホームパーティーが、最高だと、私は思う次第である。
戸田菜穂