『横顔の女』バックナンバー
#1「窓」 #2「台所」 #3「お裁縫」 #4「お鮨屋さん」 #5「お化粧」 #6「スキー」#7「旅」
17歳でデビューしてから、いろいろな場所へ旅したものだ。仕事でも個人旅行でも。
初の主演ドラマ林真理子さん原作『葡萄が目にしみる』では、山梨の勝沼へ。私の高3の夏の全てを注いだ大切な作品だ。
今も勝沼や石和や笛吹川を通ると、鼻の奥がツーンとする。
右も左もわからない新人で、リハーサル室では、助監督さんに「学芸会じゃないんだぞ!」と、喝を入れられ、「何くそー」と思うけど、それをはね返す経験も技術力も何もなく、もどかしかった。そんなとき、共演の女優さんから「私も初めは何もできなかったよ。みんな最初は、そうだよ。大丈夫!」と、優しく声をかけてもらい、泣きそうだった。っていうか、すみっこで泣いた。今はなき、河田町のフジテレビの真っ白なリハーサル室での青春。ああ懐しい。
それから、札幌ロケのドラマ、次にNHK朝の連続テレビ小説『ええにょぼ』では、丹後半島伊根町、舞鶴、神戸に長期のロケでうかがった。
あれから三十年。考えてみたら、日本全国47都道府県、全部行ったなあと。行かせてもらったといった方がいい。ありがたいことだ。
そんなこんなで、少しは旅慣れてきた。
今回は、エヘン。おすすめの旅グッズを書いてみようと思う。
まず厚紙に「これで安心旅リスト」(保存版)を作る。これが実に便利。
トランクに入れるものと、手荷物のリストを紙の左右に分けて書く。
この自分専用旅リストは本当におすすめ。充電器などうっかり忘れたら悲しくなるから忘れ物チェックに役立つ。
まず国内ならトランクは先にホテルに送る。1泊くらいなら持参する。仕事用のビジネスホテルに持っていくのは、使い捨てスリッパと香港風のクラシカルなふた付き、茶こし付きの陶磁器のカップ。これがちょっと優雅でしかも丈夫で気に入っている。ちなみに横浜中華街でも売っていたのを見たことがある。それからアロマオイル、フランキンセンスがこの頃は好きだ。コットンにたらしてもいいし、お風呂に入れてもいい。あとはおいしいお茶やコーヒーのドリップパック。レッグウォーマー、毛糸のくつ下、目覚まし時計のカチカチいわない小さいもの、タオル、パック等々。一泊でも落ち着く空間にしたい。
海外はプチプチの梱包材と紐を何本か切ってそれに巻いておく。割れものを買ったときに便利。梅干し、あられ、みそ汁、わかめスープもフランスなどに行くととても食べたくなる。
服は現地でも買うから、たくさんは持っていかない。ストール、イヤリング、ブレスレットでかなり雰囲気は変えられる。洋服やショールは薄い大判風呂敷に包むと皺になりにくい。海外は小さいハサミ、せんぬきもあるといい。
こんな風に書きながらも、私のパスポートは期限が切れている。更新しなきゃと思いつつ日が経った。しばらくは空想の旅に出掛けるとしよう。
戸田菜穂