不妊治療って実際のところどうなんだろう? そう思うアラフォー女性の方も多いかもしれません。今回は、不妊治療の内容や費用の詳細について、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生にお話しをお伺いしました。
高齢出産、流産の確率は?
どの年代で妊娠しても「流産」は珍しいものではありませんが、高齢出産の場合に流産の確率は高まります。今回は、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に、高齢出産時における流産の「確率」や「原因」についてお聞きしました。
前回は不妊治療について書きました。「不妊治療とは。内容や費用はどんなもの?」
人によっては辛く長い道のりである「妊活」ですが、妊娠はゴールではありません。無事に出産するまでにはいくつかのハードルがあります。(出産もゴールではなくスタートなのですけど)
■流産の確率
どの年代で妊娠しても流産は珍しいものではありませんが、高齢出産では流産の確率が高まります。
35歳で約2割、40歳で約4割、42歳で約半分が流産に至ります。
妊娠初期の流産のほとんどは、染色体異常があるなど受精卵の時点で運命が定められているものです。
■原因は「卵子の老化」
これは不妊同様、卵子の老化が原因なのです。
卵子の老化で染色体異常が増えるため、不妊、流産の増加以外にダウン症候群をはじめとした染色体異常の子どもが産まれる確率が高くなります。高くなると言っても、35歳で約200分の1、40歳で約80分の1、42歳で約25分の1で、流産のリスクに比べると桁違いに少なくなります。
もしかしたら読者の中には「高齢出産はダウン症のリスクが高いから怖い」と思っている方も多いかも知れませんが、高齢出産の最大のハードルは不妊、次は流産なのです。
うまく妊娠が継続した後は、
・胎盤から糖の代謝が悪くなるホルモンが出るために起こる妊娠糖尿病
・妊娠高血圧症候群(昔でいう妊娠中毒症)
・前置胎盤など胎盤の異常
・胎盤が剥がれて母子ともに命の危険が伴う常位胎盤早期剥離
・難産による帝王切開
などが年齢とともに増えます。
しかし、実際に臨床をしていると、ほとんどの高齢妊婦さんは淡々と妊娠生活を送り、淡々と産んでいくので、あまり高齢出産のリスクばかりを喧伝する風潮はいかがなものかと個人的には思っています。
■妊娠はゴールではなく「はじまり」
また、産んだところで高齢だと子育てが大変という声も聞きますが、かなり個人差が大きいのではないでしょうか。何歳で産んでも体力がいることには違いありません。高齢妊娠の方が、経済的精神的余裕が増すのも事実です。
妊娠はゴールではなくはじまりでしかないのですが、こうやってリスクを書き出してみると、「女に産まれたから出産してみたい」というような漠然とした理由で産むのはおすすめできませんね。でも、家族が欲しいと願う人の背中は押したいと思います。
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