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ワインと仕事をこよなく愛す 癒やしと成長をくれる本棚【本棚百景#11】

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本棚の中身は、持ち主の脳内や心の中を映し出していることがあります。他人の本棚や読書スタイルというものは、意外に知らないものですが、読む本の変遷は時にその人の生き方さえも表しています。連載【本棚百景】11回目は、東京在住マリさん(仮名)の本棚をご紹介します。

ワインと仕事をこよなく愛す 癒やしと成長をくれる本棚【本棚百景#11】

思い思いのスタイルで過ごす読書の時間。本棚の中身は、そのときどきの持ち主の脳内や心の中を映し出していることさえあります。

だからこそ読書とは、もしかすると生きることそのものといえるのかもしれません。連載【本棚百景】11回目は、東京在住のマリさん(仮名)の本棚をご紹介します。

■本棚の持ち主 プロフィール

引っ越しに伴い、本はだいぶ整理した。

会社員(飲料販売)
マリさん(仮名)
東京都在住・女性・44歳・既婚・夫とふたり暮らし

3人兄妹の真ん中に生まれ、子どもの頃から4歳年下の妹の面倒を見るのが大好きだった。

『あさえと小さいいもうと』という姉妹を描いた絵本が好きで、妹と一緒によく読んだ。『となりのトトロ』のように、行方がわからなくなった妹を姉が必死に探すストーリー。登場人物に自分と妹を重ねて、いつも泣いてしまった。

小中学生の頃は、『ナルニア物語』『おちゃめなふたご』などのイギリス童話をよく読んだ。どちらもきょうだいや姉妹の話。自分にとって、兄と妹は大切な存在だったのだとつくづく感じる。

年子で仲良しの兄が中学受験をしたことがうらやましく、自身も中学受験を願い出た。大学までのエスカレーター校はおおらかな校風で、のびのびと過ごすことができた。

高校入学後、三浦綾子の『氷点』に出会い衝撃を受けたのを機に、『塩狩峠』『細川ガラシャ夫人』など、著書をたくさん読んだ。ここまで自分を厳しく律することは、とうてい無理だと思いつつ、このような生き方もあるのだと、自分の弱さを知るきっかけになった。

就職はワインの会社に決めて、30歳で結婚。夫はキャリアを尊重してくれる、共に戦う戦友のような人。その夫が仕事の都合で京都へ引っ越すことになった。昨年から京都と東京で、それぞれひとり暮らしをしている。正直寂しいなと感じつつも、互いに日々励まし合い、がんばることができる今の関係も、また、自分たちらしくていいのかもしれない。

■学生時代・大人になってから読んだ本

ちきりんの本はまさに愛読書。引っ越してからもずっと手元に置いている。

サスペンスは夢中になって読むことができる。

高校3年のときに母を病で亡くした。大学に進学してからは、母の代わりに家事の多くを引き受けると同時に、体育会系部活に所属して忙しく過ごしていたため、ほとんど本を読まなかった。

当時、妹が中学生だったので、なるべく待たせないように、部活が終わったら急いで自転車をこぎ、自宅に帰ったものだ。

社会人になってからは、自分の生活のバランスを取るように心がけた。仕事もがんばる一方、仕事だけにどっぷりとなりすぎないように、スポーツを始めた。

読書は、ビジネス系と娯楽系の主にふたつに傾倒していく。

ビジネス系はたくさん目を通したが、何度も読み返すのは夫に勧められた、ちきりんの本。切り口がシャープで、生粋のビジネス書よりもずっとためになるとさえ感じる。

娯楽系は、ほとんど図書館で借りてくるので所有はあまりしていない。刑事ものや、軽いサスペンスものを好んで読んでいる。

■仕事を通じて出会ったワインが成長させてくれた

決して器用ではないし、頭脳明晰ではないと自分をとらえている。だからこそ、スポーツも勉強でも、努力でカバーしていこうという思いで学生時代を過ごしてきた。会社に入ってからも、意識していろいろと勉強をしている。

大学で体育会系の部活に入ったことから、大勢で呑むお酒の楽しさを知ることになる。それがきっかけで、お酒の会社に入ろうと考えた。いわゆる大手ビール会社は、男性社会だから女性が活躍できなさそう。ならばとワインの会社に入社を決めた。

会社からは入社3年目に社費でロンドン留学、30代のときにはビジネススクールに通わせてもらったりと、節目ごとにステップアップの機会を得てきた。

幸せなことに、社風がとても合っている。新卒で入社以降、同じ会社に今でも勤め続けている。

仕事柄、もちろんワインの本は読み続けていて、毎日のワインも欠かせない。どんなに安くても、1杯のワインさえあれば、1日は幸せに終わる。

ワインの仕事のおかげで、人間的にも成長できた。心から感謝している。

■影響を受けた女性:マーグリット・モンダヴィ女史

生涯ワインに関わっていきたいと思わせてくれたワイナリー。

ワインの仕事で出会い、心から尊敬する女性。

ポートレートのモダンな女性は、マーグリット・モンダヴィ女史。

カリフォルニア州ナパ・ヴァレーにある、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーを創業した、ロバート・モンダヴィ氏の奥様だ。

このワイナリーがナパ・ヴァレーで大成功したのには、ホスピタリティ部門を任されていた彼女の功績が非常に大きかったといわれている。

ワイナリーでのコンサートやアートとのコラボレーション。偉大なシェフたちと協働したイベント等。ワインを気軽に楽しむための企画を次々に実行し、2016年に91歳で逝去した。

精力的に世界中を飛び回り、ワインとアートとフードのある、豊かな人生について語る人だった。

彼女は82歳のときに来日。まる1週間のときを一緒に過ごした。愛とエネルギーのオーラをまとった、実に素敵な女性だった。

「ワインというのは、決して専門家に閉じてはいけないのよ。ワインは、フードとアートと三位一体なの」

「あなたは醸造家ではないのだから、ワインをつくるプロである必要はないの。けれどもワインを楽しんでいただくためのプロでありなさい。そのためには、感性を磨くために、興味のあることは何でもやってみること。家族を大事にすることよ」

「女性としての感性は、ワインの仕事には大切。あなたの後に続く女性たちのためにも、新しい道を切り開いてね」

あれから10年が経つ。彼女に言われた言葉を心に、少しでも成長していきたい。

■読書とは成長と癒しをくれるもの

ブックカバーはお手製。気分によって変えている。

出張が多い毎日。お手製のブックカバーをかけた本を携えて。

体を動かすことが大好き。年間通して、ランニング、水泳、シンクロナイズドスイミング、冬はスノーボード、夏はサーフィンにいそしむ。

試合の緊張感も好きなので、フルマラソンや水泳・スノーボードの大会にも。終わった後、仲間といただくお酒は、このうえなく楽しい。

読書とは、自分を成長させ、癒しを与えてくれる存在。仕事のスキルを高め、メンタル・フィジカル面で成長をもたらしてくれると同時に、自分をだらっとゆるめてくれる存在でもある。

仕事が忙しく、月の半分ほどは出張の日々。本には手作りのブックカバーをかけて持ち歩く。本は自分にとって、海外・国内どこにいても、自分の居場所をつくってくれる、お守りのようなものなのかもしれない。

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ナカセコ エミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っています。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。 ...

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