空気を読んで投票する、なんてことはしたくない【わたしの選挙#2】
10月22日に投開票される第48回衆議院議員総選挙。コンサルタントとして毎日慌ただしく働くユキ・クリヤマさんは、情報収集する時間はあまりないけど、周りの空気を読んで投票することはしたくない、と話してくれました。そんなクリヤマさんが考える【わたしの選挙】とは――?
いきなりですが、今回の選挙ポスターのモデルは川栄李奈さんですね。
「選挙の主役は私たち」といった内容が書いてあり、右横には期日前投票についても簡潔にアナウンスされています。
川栄ちゃんを起用することで、少なくとも彼女のファンのアイキャッチはできるし、川栄ちゃんだと知らないとしても、可愛い若い女の子がポスターにいれば人口の半分の男性たちも注目するのかな。
総務省さんもいろいろ考えてるのね、と思いましたよ。
そんなこんなで、突然降って湧いたように始まった衆議院議員選挙ですが、みなさんはどう感じていますか?
■わたしが選挙に対して、思うこと
そもそも、投票にいくの、めんどくさい
日曜日、近所の学校の体育館に行くのは面倒くさい。
日曜日っていろいろやることがあったりそもそも家から出たくない。
おそらく、私は日本国民の中で有数の怠惰な人間ではなく、ごく平均的な人間。
投票率をあげるための打ち手としては2点で、政党の公約が見える化して、投票先意思決定にかかる時間・手間を減らしてあげること。そして、並行して投票手段が紙ベースなのはいけてないですよね。アプリとか電子化しましょうよ。
……と思わず職業病的に言いたくなる!
投票は、投票先を決めておくだけでなく、「投票するために近隣におでかけする」という意思も必要なんだと思う。だからこそ、疲れた現代人にはハードルが高すぎやしないか、と。
選挙、選挙というけど「公約もろくに報道されていないじゃん」と思っちゃう
思えば、子どものころにテレビでやっていたような、政策論争はとんとテレビで見なくなりました。
テレビでは党首・党員のスキャンダルや言葉尻をとらえてのディス、世論調査と称して街にいる人のごく限られたコメントを円グラフと一緒にワイドショーで報道しています。
「こんなもので判断しようがないじゃん。そして、私、忙しいから、調べる暇もないし」
投票権を持つ壮年期の90%くらいの人はそう思ってるのでは? 少なくとも私は思っています。
「要はこういうこと」を自分で考えてから投票しなさい、というのが選挙
私たちは、「どうやって投票先を判断するか」を教育されないまま、選挙権を与えられてきました。
投票する候補者をどう選べばいいかのガイドラインはとくにない。
選挙の一連の情報は極めてわかりづらい上に、ソース多すぎる……。
各政党が公約を公開したり、街頭演説したり、マスコミに登場したりしているけれど、バラバラ聞いて情報収集するだけの時間を世の人たちは持ち合わせていない。
「要はこういうこと」を自分で考えてから投票しなさい、というのが選挙。
■周りの空気を読んだ投票はしたくない
個人的に、限られた情報(例えば夜遅く帰ってきてテレビをつけたら党首の悪口だけ聞こえてきたとか、世論調査としてコメントする該当の人たちの様子を見ただとか)で判断し、消去法的選択をするのは避けたいな、と思っています。
「ここのA政党はだめ、B政党もだめ、ってことはC政党かなあ」とかね。
いつだったか、民主党が勝った時に「自民は嫌!」と言って「まぁ、民主党?」と民主党に投票した人たち。そして、「自民党が嫌で民主党を支持したけど、結局民主党だめだったじゃん」と半年後くらいに言い始める人たちがいましたよね。最近だと「労働時間短くしてくれよ」と共産党に票が流れたのも同じ。
だから「選挙のことなんて、よくわからないから空気を読んで投票しよう」なんてことは、したくないなと思います。
「落ち着いた男性だと思って付き合ったけど、全然Aさんマチュアじゃない!」
「Bさんのほうが落ち着いてるかも……」
「だめじゃん、あ、横にいるCさん素敵」。
簡単に言うと、こんな状態です。なんちゅう恋愛だ……。
最近だと、「希望の党はだめだし、うーんどこに投票しようか」って考えている人は一定数いるでしょう。そういう場合は、自分の迷いが、どこから来ているかの理由がわかっていない状態であることが多いかもしれません。
「小池氏、衆院選挙当日はパリ出張」
などと少なくとも希望の党をネガティブに感じるだろうニュースと
「立憲民主党は安全保障についてのスタンスを終始一貫している」
という立憲民主党をポジティブに感じるだろうニュースが抱き合わせになって流れていること。
でも、逆に言うと、どのようにマスコミの情報が限られた情報を限られた見え方で報道しているのかを認識すると、今回の選挙でどこを重点的に見るべきかがわかってきませんか。
そうすると、私たちは忙しく手に入れる情報が限られていても、「消極的」ではなく、意思をもって投票をすることができるのでは。
■今回の選挙で、忙しい私が考えたポイント「立憲主義」と「集団的自衛権」「教育無償化」
今回の政治に消極的な層は、希望の党に一時落ち着いていたと思いますが、この数日で間違いなく立憲法民進党や無所属の人たちに流れていくでしょう。
そこで、投票にあたり最優先して考えるべきポイントは、難しいテーマですが「立憲主義」と「集団的自衛権」かなと。そして、身近なテーマで考えやすいのは、「教育の無償化」あたり。
※以降は、誘導になりそうなので、私個人の意見は明言を避け、あくまで考えるためのガイドのみ書かせて頂きたいと思います
「立憲主義」と「集団的自衛権」について
1.立憲主義は、「憲法9条の維持」とは違うよ
立憲主義とは、「憲法9条を是が非とも手を付けず、温存する!」とする護憲主義とイコールではない。立憲主義とはあくまで、「憲法の理念を信じてそれに則って主権者も国民も行動しようね」というスタンス。
2.「憲法9条改正」=「戦争!」ではないよ
また、憲法9条改正をしたからと言って、イコール戦争が起こるとか、息子が戦地に送られるということではないです。なので、「戦争が怖い」という理由で、立憲主義を支持し、「アベ政治ダメじゃん」というのはちょっと違う。
3.「集団的自衛権」=「戦争!」ではない
護憲主義をよくご存じなく、2がよくわからない方は、「集団的自衛権」についてもスタンスをもっておくとよいかも。集団的自衛権もまた、戦争が起こるとか、息子が戦地に送られるということではない。他の国からの攻撃を受けたときに、日本はどんな手立てをとれるでしょうか、というところにポイントがあるかと。
「他の強い人たちから“タイムリーに・クイックに・確実に守ってもらえるか”はわからないけれど、その人たちに頼るの? それとも、自分たちでも対応できるようになりますか?」
という問いに対して、どのようなスタンスを国に求めるかを考えてみようと思います。
「教育の無償化」って結局なによ?
教育の無償化についても、下記観点から、どのようなスタンスを国に求めるかを考えています。
無償化される場合、国がどのようなコストを払うのか
教育の無償化を支持する場合、「私の子どもが将来教育コストかけず大学に行ける!」と喜ぶために支持するのではなく、ぜひ、「国にとって、大学や幼児教育を無償化し、教育を受ける人たちが増えてメリットはどこにあるか」というところも含めて考えみようと思います。
例えば、「大学進学する女性が増え、その女性たちの卒業後の稼ぎ出す将来年収は上がるかもしれない。ただ、将来年収アップを担保するための教育投資(国の出費)に見合うだけ、GDPが上がるかはまだまだわからない……」とか。
と、このように、いろいろと「わたしの選挙」について、書かせていただきましたが、有権者の一人ひとりが、なにを考えるのかはまったく違ってくると思います。
だからこそ、周りに流されず、空気を読まず、自分の意思を持って、未来へと投票することが大切なのだと……そう思いながら今日も慌ただしく会社で働いています。