「差別」が当たり前になる世の中を、子どもに残したくない【わたしの選挙#3】
10月22日に投開票される衆議院議員総選挙。今回の選挙は、さまざまな争点が絡み合い、非常にややこしいことになっています。そんな選挙に対して『文春オンライン』などでライターとして活躍する大山くまおさんは、候補者を「ヘイト」か「反ヘイト」で判断してはどうか、と話してくれました。
衆院総選挙の投票日が迫ってきました。
今回の選挙は、安倍晋三首相率いる自民党に対して、野党の民進党が小池百合子代表率いる希望の党と、枝野幸男代表率いる立憲民主党に分裂してしまい、その上、野党のはずの希望の党の主張が自民党そっくりだったり、希望の党の中にも小池代表の主張に対して造反する候補者が出てきたり(もう!)と、争点が非常にややこしいことになっています。
憲法改正、北朝鮮の脅威、消費税増税、原発再稼働、雇用の安定、数々の疑惑の解明……さまざまな争点がありますが、どの党の誰がどんな主張をしているのか、把握するのも一苦労です。どの党に投票するか、どの候補者に投票するか、決めあぐねている方も少なくないでしょう。
そこでひとつ、提案があります。争点をググッと絞って、候補者を「ヘイト」か「反ヘイト」かで判断してみるのです。
「ヘイト」とは「ヘイトスピーチ」のこと。ウィキペディアの「ヘイトスピーチ」の項を見ると、「人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、障害など、自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づいて、個人または集団を攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動のこと」と説明されています。
この「ヘイト」を人々の代表である政治家が公然と行うなんて、まさか、と思う人もいるかもしれません。でも、実はかなりの数がいます。普段からヘイト的な発言をしている候補者もいますし、ヘイト的な思想を隠そうとしない候補者もいます。自らの主張、政策に堂々とヘイトを織り込んでいる候補者もいるのです。政治家によるヘイトスピーチはとても影響が大きいと言われています。
こちらにとても参考になるサイトがあります。
「2017衆院選 ヘイト政治家データベース」
このサイトは、反差別を掲げる学生団体(反レイシズム情報センター・ARIC)が10月3日にオープンしたものです。「ヘイト候補者一覧」というページを開くと、ヘイト発言を行っている政治家がこんなにいるのか! と驚くことと思います。右上の「DISTRICT(地区)」をクリックすると、どの選挙区にヘイト候補者がいるのかが一目でわかるようになっているので、とても便利です。
各候補者のヘイト発言は、1965年12月に採択され、日本は1995年に加入した人種差別撤廃条約第1条と2016年5月に成立したヘイトスピーチ対策法に依拠して集められたものです。誰がどんな発言をしているのか吟味してもいいですし、ヘイトとは何かをあらためて考えてみるのもいいと思います。
僕には今、5歳になる子どもがいるのですが、子どもにヘイトが当たり前に横行する世界を残したくありません。誰かを不当に蔑み、差別し、脅迫することで利益が得られるような世界を残したくありません。ヘイトを堂々と主張したり、カジュアルに差別発言を行ったりするような政治家にこの国を任せたいとは思いません。
女性だからこそ、子を持つ親だからこそ、政治家たちの「ヘイト」に対するセンサーを持ち続けて、今回、あるいはその次の投票につなげていってほしいと思っています。