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「着たい服」と「似合う服」の差は永遠の悩み。自分スタイルの見つけ方

自分に似合う服と着たい服が違う……それは女性にとって尽きない悩みかもしれない。自分スタイルの服はこれだ! と思っても、年齢や時代の流れと共に、似合う服もいいなと思う服も刻々と変わっていく。そして服選びに迷子になるとき、自分のファッションのスタイルをどうやって見つけるか。私が日々考えていることをご紹介。

「着たい服」と「似合う服」の差は永遠の悩み。自分スタイルの見つけ方

■自分スタイルの服って、どうやって見つければいいのだろう?

自分で服を選び、買い始めてから30年以上の月日が経った。
その間、ひたすら流行を追いかけた時代もあったし、服どころじゃない時代もあった。

告白すると、若さにしがみついてギャル服を着て、見事にイタいおばさんだった時期もあった。

仕事に没頭するあまり、通勤・ビジネス用の服ばかり増えて、気づくと休日に着る服がパジャマとトレーナーしかない……という時代もあった。

そんな数々の失敗と残念なファッションのやらかしを経て、ようやく最近になって「これって、自分らしいかも……?」と思えるファッションを自覚できるようになった。

それでも日々、何を着たらいいのか迷いながら服を選び、服を買っている。

■似合う服を見つける方法

「自分に似合う服が何なのかがわからない」「何を着たらいいのか、自分ではよくわからない」という類の話をよく聞く。

そんな方のために、ひとつご提案したい手法がある。

イメージスケールというものをご存知だろうか? もとは色と感性を結び付けた色彩学のシステム、手法だが、ファッションにも応用できる。

縦軸、横軸に正反対の形容詞を取り、その2次元の座標に、さまざまなイメージを評価して置いていく、という手法。このスケールを使うと、いろいろなものが整理されて見えてくる。

1.服の座標軸を作る

普段身につけているファッションを、この座標軸に冷静にかつ客観的に置いてみる。

縦軸と横軸に何を指標として指定するかはいろいろあるけれど、ここでは私が一番やりやすかった指標でやってみることにする。

服の座標軸の例

横軸:「甘い」↔「辛い」
縦軸:「定番品が多い」↔「トレンド系が多い」、「保守的」↔「前衛的」

この作業を行ううちに、無意識のうちにできていた自分の服のスタイルの偏りを発見できる。

私は自分としては比較的、いろいろなバリエーションの色や形の服を着ているつもりでいた。

モノトーンも着るしカラフルな服も着る。スーツも着るしふんわりワンピースも着るし、マニッシュな恰好もするし、カジュアルな恰好もする。

けれど、この座標軸、イメージスケールに普段のコーデを乗せていくと、驚くほど座標の下半分に偏ったのである。

いかに自分が、定番のコンサバ寄りのファッションを好んでしているかに気づく。

イメージスケールを作成することで流行りものに慎重で冒険できない、凝ったものや変わったもの、前衛的なものを買おうとしない自分に初めて気づいたのだ。

2.自分自身を座標軸に置いてみる

次に、「自分という女性」のイメージが、この座標上のどこに位置するか考えてみる。これがとても難しい。

自分自身ではスイートな女性だと思っていても(笑)、「男みたいにサバサバしているよね」、またはその正反対のケースなど、実は他人からはまったく逆のイメージを持たれていることが多々あるからだ。


ここは勇気を持って、周囲に聞いてみることをおすすめする。

家族や周りの友人、会社の同僚(できれば男女混ぜて)に聞いてみる。きっと驚く反応が返ってくると思う。

「そ、そうだったのか……私!」

こうして1と2を比較することにより、「自分という女性」が持つイメージと、普段着ている服のイメージのズレを視覚で確認できる。

1と2がぴったり合う服。それが自分に似合うテイストの服である可能性は高い。

手持ちの服が甘い、辛いの両側に散らばっていても、どちらかに統一する必要はない。
レース袖の甘いニットと黒の革の辛いスカート。パールのアクセサリー、ヒョウ柄ハラコのハイヒール。甘い服と辛い服は混ぜることで、ファッションに奥行きが出る。

■着たい服と似合う服、ぴったり合っていますか?

上記のイメージスケールで分析した結果、「自分のイメージに合う服と、普段買っている(持っている)服がまったく違う……」という結果になる場合もあるかもしれない。

すなわち、「似合う服と着たい服が一致しない……」という結果だ。

いや、むしろそうなるケースの方が多いかもしれない。
分析した結果、余計に「何を着たらいいかますますわからない」状態に。

でも私の考えでは、それっておそらく、全世界の女性に共通する、永遠に解決しない悩みではないかと思う。

もちろん「着たい服と似合う服がぴったり完璧に一致するわ」という人もいると思うが、少なくとも私は違う。

パンツにシャツという辛口な格好が似合うと言われる一方で、ふんわりスカートにレースのブラウスが大好きだったりする。

でも私はこの問題を解決しようと思っていない。

なぜなら、「好きな服・着たい服」は誰にも合わない休日や、地味にデスクワークに没頭する日に好きなだけ着て楽しめばいいし、保護者会や、仕事で目上の方に会うときなど、社会的役割を求められる場では、それに合う服をきちんと着ればいいし、

本当に「似合う服」、すなわち「褒められる服」は、パーティやデート、気の置けない仲間との食事会など、「自分を良く見せたい」と思う場で思う存分着ればいい。

人生は長い。洋服を着るチャンスはこれからも山ほどある。焦らずいこう。

■今似合っている服が永遠に似合うとは限らない

上記のようなイメージスケールによる分析をした結果、「自分に似合う服のテイストはこれだ!」と明快にわかったとする。

でも私の場合、「これが私のスタイルだ!」とは、あえて決めつけないようにしている

というのも、年齢と共に好みも自分の体型も髪の色も肌の質感も変わる。ライフスタイルも変わる。もちろん世の中の流れも変わる。

今似合っていたからといって、5年後にも似合っているとは限らないし、凝り固まらず、これからもいろいろな服を試していきたいと思うからだ。

そう考えるようになったきっかけは、30代~40代後半に起きた、「似合うファッション」の変化。

子育て中だった30代、黒いTシャツに黒いブラックスキニーデニム、といったシンプル&ミニマムな恰好が好きだったが、40代に入ってからは、恐ろしく似合わなくなった。

大げさに言うと「必死でがんばっている感」がにじみ出てしまう。余裕のない感じが化学変化を起こすかのように、一種の威圧感となって自分から発散されていることに気づき、黒い服の多くを処分した。

短めのフレアスカートは言うまでもなく似合わなくなった。似合わないどころか、まわりから「イタい」「それはひどい」と批判を浴びた(笑)。

あるとき、「あなたは、着ている服が若っぽいから若く見えるんですよ」と、辛口な男性からズバッと嫌味を言われ、我に返った。

服の若さで自分を若く見せようと、浅ましくあがくのはきっぱりやめようと。そのときから服の転換をはかることにしたのだ。

もうひとつ、決定的に似合わなくなったものがボーダーの服

20〜30代、似合うと信じてたくさん着ていたボーダー服だが、自分から女としての湿度を根こそぎ吸い取るものだと気づいて以来、一部を部屋着に格下げし、あとは処分した。

■「高見え」という軸を思い切って捨てると楽になる

毎日服を選び、着て、周りからの評価を謙虚に受け止める。逆に、「人からどう思われようと知ったこっちゃない!」と好きな服をまとって休日過ごす。

トライアンドエラー。ファッション修行はこれの繰り返し。

こうして今でも自分スタイルの服を絶賛模索中の私。その軸は今でも日々刻々と変わっている。

ただ、ずっと変わらないと思う軸は、「自分が着ていて着心地のいい服」を選ぶ、ということ。

仕立ての丁寧さや生地の肌触りの良さといった点はもちろん、何よりその服をデザインし、パターンを起こし、生地やボタンを選んだ人の”愛”を感じる服だと一番嬉しい

さらに、いわゆる最近はやりのプチプライスの服を選ぶ際の視点である「高見え」=人から見て「高そうな服に見える」というフィルターを、あるとき思い切って捨ててみた。
そうすると服選びは驚くほど楽になった。

「自分が着ていて着心地のいい服」

この視点を服選びの中心に据えると、服選びはとっても楽になりスムーズになる。なぜなら、ただシンプルに自分の気持ちと対話してジャッジするだけで良いからだ。

■自分スタイルの服探しは、終着駅のない旅のようなもの

自分に似合う服って何だろう? 自分はどんな服が好きなのだろう? どんな服を着れば幸せになれるのだろう?

女性はずっと悩んで模索して生きている。答えはなかなか見つからない。

でも私はそれで正解だと思っている。

20歳のときに着ていた服を今一枚も持っていないのと同じように、今着ている服を70歳になっても着ているとは思えないからだ。

人生の答えが見つからないまま人は年を重ねる。

ファッションの答えも同様なのだと思う。見つからないまま人は毎日服を着て、毎シーズン懲りずに(笑)服を買う。

その混沌とした毎日と、統一感のまるでないクローゼットも、またれっきとした自分の一部なのだ、自分のスタイルなのだ、と考えてみよう。

そうすれば、おしゃれはきっと、ますます楽しくなる!

霧香

都内在住の50代主婦。 「50代になっても洋服好き主婦のファッションブログ」を運営。 仕事着&プライベート服の着回し。毎日のコーディネートに真剣に楽しく頭を悩ませる日々。

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