母という理不尽な女 -「結婚が怖い」と言ってもいいですか #2

母という理不尽な女 -「結婚が怖い」と言ってもいいですか #2

母親の結婚観に影響を受けて、結婚に前向きになれず、「結婚が怖い」と、回避志向になる女性も少なくない。「母も一人の身勝手な女なんだな」と冷静に気づいたとき、母から受けた“結婚観”を、「自分の幸せ・人生に対して、結婚って必要? どんな結婚ならいいの?」と、ゼロから再構築することから、始めよう。


■結婚回避志向の要因(再掲)

結婚願望を持てず、機会があってもどうにか逃げようとしてしまう妙齢の女性もいる。私は、前回の寄稿「『結婚が怖い」と言ってもいいですか」で5要因を挙げた。

1. 「自分の自由がなくなる」と思って足が遠のく
2. キャリア・趣味などへの自分のエネルギーの割き方が、誰かと生活するには不向きだと悟りきっている、選択的未婚。
3. 身内や近い友達から、「結婚なんてするものじゃない」「子供なんて生むものじゃない」と洗脳されてきた
4. 身内や近い友達が不幸そうだったり苦労している(ように見える結婚をしていた/しているのを見てきた)
5. 世の中の「既婚」「未婚」両方に課されるバイアスが鬱陶しい


今回は、3と4を掘り下げて考えてみようと思う。

■「結婚が怖い」に到ったきっかけのひとつは、母からの言葉

母は、私が思春期になると、しばしば「ユキちゃんは勉強ができるんだから、自立できる。必ずしも結婚なんてしなくていい」と言うようになってきた。

そして、「子供がいなかったら、私はもっとキャリアを構築できたのに」「子供がいなかったら、私はもっと趣味に時間を割けたのに」。日々、こんなつぶやきを聞きながら、育てられてきた。

大人になり、やっとわかってきた。全部、母の盛大な「たられば」だったのだ。

当時母はアラサーの若い女だったのだ。「たられば」を持つことは無理もない。

そして、「あー、たらればね、はいはーい」と受け流せなかった、幼い頃の・思春期の・せいぜい20歳くらいの昔の私。これまた無理もないことだった。

■母親という「女」の理不尽さは、「たられば」から生まれる

所詮は母の勝手な「たられば」にすぎないのに、そのインプットにより、私の結婚回避志向の根っこが構築されている。

これは母からの娘の私にインストールされた思考体系で、いわば洗脳状態にあって、娘の私個人の頭と心でフラットに考えた結果、結婚回避志向になっているのではない。

要因5が根強い場合、必ず人生のどこかの段階で、ゼロベースで結婚の要不要を考え直すという思考の大工事が必要になるのだ。

■なぜ「母」という女は、理不尽な女になっていくのか

過去の寄稿「カマキリ女になってはいけない」に近いかもしれない。

パートナーの男性を搾取する女のことを私は、「カマキリ女」と称した。彼女たちは、「この男は私から逃げていかない・食べてよい」と自信がある女だと。

娘に対して好き勝手、自分のたらればを講釈垂れるようになるのは、おそらく母親は、「娘は私から逃げていかない」と思い込んでいるからだ。

これは、出産という最大のライブイベントを経たからこそ、理屈抜きで本能的にすべての母親という女が持つ感覚なのかも知れない。

もちろん、どこかの娘さんの母親であっても、どこかで娘と自分の境界線を明確に持っている方もいるとは思う。ただ、それはおそらく常に客観的に関係性を見ながら距離を調整できる方に限られるのだろう。

私の母は、いつだかこう言った。

「ユキちゃんと私は別の人間。でも、分身だと思ってる!」

私はひどく困惑したし、未だに母の思いをくみ取りきれていない。

母は私のことを本当に全く別個の個人として切り離したのか、それとも分身として自分の延長線上の存在として捉えているのだろうか。

■母親という「女」から、娘が自立するとき

母親という「女」から、娘が自立するとき――それは、「母って勝手な一人の女のことなんだな」と冷静に気づくときなのではないかと思っている。

かの、よしながふみ女史が、「母というものは要するに 一人の不完全な女の事なんだ……」と名作『愛すべき娘たち』で、オムニバスの中の娘に心の中でつぶやかせているのと同じように。

どちらにせよ、私自身が母を苦しいと思わない関わり方をしさえすれば、よかったのだ。自分がつらくなることを鵜呑みにする必要はなかったのだ。それこそが、自立だった。

それに気づくまでに、私はおよそ30年を要した。

■お母さんも誰かの娘だったし、その娘も誰かのお母さんになるということ

私は深く母を愛していて、世にも勝手で暴力的で、そして魅力的な嵐みたいな女神だと思っている。いつも、一人で北風と太陽をやってのける。

きっと私の母に限らず、子供を持つ多くの女性は、子供を産むと同時にとてつもない業をこの世に追加して、業を業と思わないで生きていく。

子供に、「子供は私から離れないもん」と心のどこかで思いながら。でも、それは本能があなたにそうさせていること。仕方ないこと。

だからこそ、子供を持つすべての女性にお願い。「子供は私から離れないもん」って思ったっていい。多少揺らいだっていいです。

だけど、将来「子供が結婚しない」と悩みたくないなら、「結婚なんてしなくていい」とか、「子供なんて産まなくていい」と言った、初めから選択肢を減らしてしまう言葉=呪いの言葉を口にしては、いけないのです。

この記事のライター

外資系コンサルで奮闘する会社員です。 最愛の彼氏が死んでしまったり、諸事情を抱え、人生要件定義しなおし中です。 働く女性の視点で、あれやこれやと思考をめぐらすのが好きで、このたび記事を書かせて頂きます。

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