1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 妊娠/出産/家族
  3. 酵素ジュースってなんか良さそうと思っている方へ

酵素ジュースってなんか良さそうと思っている方へ

酵素ジュース。若い女性の間で人気ですよね。「酵素ジュースで痩せる」「酵素ジュースでお肌が綺麗に」など、いろいろな謳い文句の商品を目にしますが、医学的な面から見ると本当に効果はあるのでしょうか。宋美玄先生にお話しを伺いました。

酵素ジュースってなんか良さそうと思っている方へ

■酵素ジュースとは? 痩せるってホント?

酵素ジュース

2回に渡って女性ホルモンに関する誤解についてメッタ斬りにしたところ、大反響でした。


健康でいたい、きれいになりたいって思う気持ちは誰にでもあると思うのですが、それを利用してキャッチーな流行を産み出そうとするメディアや、商売にしている業者もいるので、やっぱり賢い情報収集者、消費者になりたいものです。(まあ、専門分野である健康関連はまだしも、政治経済なんかは私もいろいろと騙されっぱなしなんだと思うので偉そうなことは言えないですけど~。)


なので、今回は患者さんからの質問も多い酵素ジュースについてお話したいと思います。
スローライフを良しとする層を中心にいろんな「瓶漬け食品」を手作りすることの流行が定期的に起こっているイメージがあったので、酵素ジュースもその一環かと思っていました。

でも、いろんな患者さんから「妊娠中に酵素ジュースを飲んでもいいですか?」「酵素ジュースで痩せても排卵に影響はありませんか」などと聞かれるので、「酵素ジュース? 痩せる? なんじゃらほい」と思って調べてみました。

どうも野菜や果物を砂糖の類いと漬け込んで発酵させるものみたいですね。食材に含まれている酵素で発酵させる手法、買ってきた酵素を混ぜる手法、手の常在菌で発酵させる手法(汚い……)などいろいろで、「生酵素」だの「これぞ本物の酵素ジュース」だのが売られているようですね。

■酵素ジュースで痩せやすい体質になることはありません

酵素ジュースと健康

うーん、確かに納豆や味噌などの発酵食品は抗酸化作用があり健康にいいというのは事実です。しかし、酵素ジュースの効能によくある「酵素を体に取り込んで元気はつらつ」とか「痩せやすい体質に」というのは眉唾です。

酵素はタンパク質でできているので、胃から分泌されるペプシンというタンパク質を分解する酵素でバラバラに分解されてしまいます。アミノ酸レベルまで分解されてから小腸より吸収されるので、体に取り込まれた後にどこに使われるか分かりません。少なくとも酵素のまま体内に入って、お肌に届きピチピチになるとか、体中に届いて代謝が上がって痩せやすくなる、なんてことは有り得ません。

髪の毛を食べても髪の毛は生えませんね? それと同じことです。


まあ、手の常在菌で発酵したジュースを飲んでお腹を壊して一時的に痩せるということはあるかもしれませんが。「酵素パワー」って洗剤じゃないんだから、と思います。発酵食品の健康への効果は認めますが、酵素ジュースがあたかも魔法のドリンクのように扱われているのを見ると、騙されないで! と思います。

口から入ったものが消化・吸収される時は、ものすごーく細かく分解されてから吸収されるということのイメージがわいていない人が多いようで、美肌・健康から母乳育児までさまざまな誤解が流布しているようです。そんなこと言われてもアミノ酸って何か分からない! という人は、高校生物の教科書か医学生・看護学生の教科書を読んでみることをおすすめします。それがトンデモ健康説やトンデモ商法にひっかからない賢い生き方の近道だと思います。

疑似科学めった切り記事はこちら↓

何でも冷えのせいにしていませんか?

https://p-dress.jp/articles/255

日本の夏って寒いですよね。長袖スーツに靴下と靴を履いたおじさんたちが汗だくにならないように、建物に入ればエアコンがガンガン効いている。多くの女性を悩ませる「冷え性」、いろいろな不調の原因と言われています。しかし「冷え」というものに科学的根拠はありません。根拠のない「○○は冷えが原因」説には惑わされないようにしましょう。

布ナプキンで「子宮が温まる」「生理痛が減る」は眉唾

https://p-dress.jp/articles/2586

月経時に布ナプキンを使うと「生理が軽くなる」「子宮が温まる」「出血量が減る」などの効果が期待できる、と信じている女性たちがいます。Web上には布ナプキンの作り方や洗い方などの情報がズラリ。でも、その効果って本当? それとも眉唾? 宋美玄先生が解説します。

女性ホルモンをアップさせるという神話にご注意!

https://p-dress.jp/articles/2

テレビや雑誌でも「女性ホルモンを増やす」「女性ホルモンでキレイになる」というキーワードを見かけることが多くなりました。実際に、女性ホルモンをアップさせるやり方はあるのか、増えると身体にどういった影響があるのか……産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に「ホルモン」についてのお話をお伺いしました。

女性ホルモンの誤解についての記事↓

恋愛をしていないとヒゲが生える?ーホルモンの名を借りたセクハラー

https://p-dress.jp/articles/284

女性ホルモンが減るとヒゲが生えるんですか?生えません!ちょっと前に「恋愛から遠ざかっていたらヒゲが生えてきた39歳女性」が主人公の連続ドラマがありました。このドラマはジョークですが、恋愛やセックスと女性ホルモンの分泌を結び付ける発想はセクハラにもつながりかねないので気を付けて下さいね。

「オス化」って何?ーメディアが誘導したい女性像とは

https://p-dress.jp/articles/314

最近女性誌で目にする「女性のオス化」という言葉。男並みに仕事をすることで男性ホルモンが出て、ヒゲが生えたり体毛が濃くなるというようなストーリーのようですが、実際そのようなことは起きません。メディアが煽り立てる女性像とはどのようなものなのでしょうか。

※この記事は2013年9月26日に公開されたものです

宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

関連するキーワード

関連記事

Latest Article