「オス化」って何?ーメディアが誘導したい女性像とは

「オス化」って何?ーメディアが誘導したい女性像とは

最近女性誌で目にする「女性のオス化」という言葉。男並みに仕事をすることで男性ホルモンが出て、ヒゲが生えたり体毛が濃くなるというようなストーリーのようですが、実際そのようなことは起きません。メディアが煽り立てる女性像とはどのようなものなのでしょうか。


前回の「恋愛をしていないとヒゲが生える?」をツイッターで告知した時に「恋愛やセックスで女性ホルモンなんて出ないのに、美容と結びつけて女性誌で煽りまくった結果、恋愛やセックスをしていない人を不安に陥れているのは罪です」と書いたら900以上もリツイートされて驚きました。そんなにみんな恋愛やセックスで女性ホルモンが分泌されると思っていたということでしょうか。

ホルモン関係でどんなデマが流れているのかなと思ってネットで検索してみると、うさん臭い内容のコラムが出るわ出るわ。こんだけあると眉唾だと思っていても頭の片隅で「こんだけ言われてるんだから本当かな?」と思ってしまいますよね。そして、「オス化する女子」というキーワードも最近よくみかけます。

オス化ってなんじゃらほい、と思って見てみると、ようは「ガサツで所作が女らしくなくなることが男性的」というようなざっくりした行動に加えて、「ヒゲが生える」「体毛が濃くなる」など男性ホルモンが増加した身体的特徴も含まれているようです。

どうも、

女性が男並みにバリバリ仕事をする

男性ホルモンが出る

行動が男性化したり、ヒゲが生えたりする

代わりに男性が草食化、メス化する

というストーリーのようです。

男性並みに仕事をしたって男性ホルモンは出ません。男性ホルモンは積極性や攻撃性に関連すると言われていますが、バリバリ仕事をする女性が男性ホルモン高めとは限らないし、少なくとも原因と結果が逆であります。これもまた、「恋愛やセックスをすると女性ホルモンが出る。していないと欠乏する」というのと同じ、イメージ先行の都市伝説です。

ヒゲが生えていることを心配して私に相談してきた女性が、「仕事で男性と対等に議論しているからでしょうか?」と質問され、「そんなことは絶対にないよ!!」と答えました。そんなことでヒゲや体毛が生えてくるなら、女性の国会議員はみんなオオカミのように毛むくじゃらです。

男性ホルモンが女性ホルモンに対して相対的に増え、ひげが生えたり体毛が濃くなったりする状態は実際にあります。多嚢胞性卵巣症候群という男性ホルモンが増える病気や、摂食障害などで女性ホルモンが少なくなり、相対的に男性ホルモンが多くなる状態です。いずれにしても「ヒゲ女」とか「オス化」とか揶揄をこめて茶化すような対象ではありません。

それにしても、「女性ホルモン=良いもの」「男性ホルモン=悪いもの」のように単純化し、「恋愛やセックスをしてきれいになろう、愛されよう」「仕事をバリバリすると女じゃなくなるよ」と誘導するとは、女性向けのメディアの作り手は意外に「オッサン脳」なんですかね。まあ単に読者の興味を引こうと大げさに煽った結果なのかもしれませんが。

いい加減、ホルモンをネタに人の行動に難癖を付けるのは品がないってことに気づいてほしいですね。

前回の記事↓

恋愛をしていないとヒゲが生える?ーホルモンの名を借りたセクハラー

https://p-dress.jp/articles/284

女性ホルモンが減るとヒゲが生えるんですか?生えません!ちょっと前に「恋愛から遠ざかっていたらヒゲが生えてきた39歳女性」が主人公の連続ドラマがありました。このドラマはジョークですが、恋愛やセックスと女性ホルモンの分泌を結び付ける発想はセクハラにもつながりかねないので気を付けて下さいね。

関連記事↓

女性ホルモンをアップさせるという神話にご注意!

https://p-dress.jp/articles/2

テレビや雑誌でも「女性ホルモンを増やす」「女性ホルモンでキレイになる」というキーワードを見かけることが多くなりました。実際に、女性ホルモンをアップさせるやり方はあるのか、増えると身体にどういった影響があるのか……産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に「ホルモン」についてのお話をお伺いしました。

何でも冷えのせいにしていませんか?

https://p-dress.jp/articles/255

日本の夏って寒いですよね。長袖スーツに靴下と靴を履いたおじさんたちが汗だくにならないように、建物に入ればエアコンがガンガン効いている。多くの女性を悩ませる「冷え性」、いろいろな不調の原因と言われています。しかし「冷え」というものに科学的根拠はありません。根拠のない「○○は冷えが原因」説には惑わされないようにしましょう。

この記事のライター

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

関連する投稿


クリエイティブは「自分が好きなことをできる場所」から始まる【ジルデコchihiRo×中山シェフ対談】

クリエイティブは「自分が好きなことをできる場所」から始まる【ジルデコchihiRo×中山シェフ対談】

ジャズバンド「JiLL-Decoy association」のボーカルを務めるchihiRoさんがホスト役となり、同じく「ものづくり」に携わる方を招き、ものづくり、クリエイティブをテーマに語らう本対談企画。第2回では、フランス・パリの名店「Restaurant TOYO」のオーナーシェフ、中山豊光さんをお招きしました。


忙しさを理由に女と別れる男はいない。男性の心を離すのは「エネルギー泥棒」

忙しさを理由に女と別れる男はいない。男性の心を離すのは「エネルギー泥棒」

LINEやメッセンジャーで伝わっているのは文面ではなく、根底にある女性の気持ちです。もしメッセージのやりとりで、忙しい彼や気になる男性と上手くいかないなと感じているなら、あなたは無意識に態度や言葉は重くない風を演じているけど、心の中がすごく重い女性=「エネルギー泥棒」になっているかもしれません。


頭で考えない、心で感じる恋愛のすすめ【植村絵里×竹中功 対談#3】

頭で考えない、心で感じる恋愛のすすめ【植村絵里×竹中功 対談#3】

「DRESS」コラムニストとしてもおなじみの植村絵里さん、元よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役で、『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』など著書も多い竹中功さんによる対談企画。#3では「頭で考えすぎず、心で楽しむ恋愛」をテーマにお話ししていただきました。


過激なベッドシーンに目を奪われるー大人の純愛映画『ナラタージュ』 - 古川ケイの「映画は、微笑む。」#23

過激なベッドシーンに目を奪われるー大人の純愛映画『ナラタージュ』 - 古川ケイの「映画は、微笑む。」#23

『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督が、10年近く映画化企画を温め続けた『ナラタージュ』が、いよいよ今週末に公開となります。「この恋愛小説がすごい!」第1位に輝いた、島本理生の同名小説を原作に、松本潤・有村架純・坂口健太郎の切なく、苦しい三角関係が描かれる本作は、大人の女性にこそ楽しんで欲しいラブストーリーです。


引き留めないのは、プライドが邪魔をするから。別れを受け入れる男性の心理とは

引き留めないのは、プライドが邪魔をするから。別れを受け入れる男性の心理とは

意を決して別れ話を切り出したのに、何だか彼はあまりショックを受けていない様子……。そんなとき、「愛されてなかった」とショックを受ける女性は多いですが、男性だって大きな悲しみを感じています。引き留めないのは「男のプライド」があるから。別れを受け入れるしかない男性の心理についてお話します。


最新の投稿


川崎貴子さん×夫 マサヒロさん対談・前編「もし妻が乳がんになったら。夫が備えておくべきこと」

川崎貴子さん×夫 マサヒロさん対談・前編「もし妻が乳がんになったら。夫が備えておくべきこと」

川崎貴子さん(プロフィールは文章末尾に掲載)と夫・マサヒロさんの対談。今年1月、貴子さんは乳がんの宣告を受け、手術・治療中であることを告白した。妻が乳がんをわずらうと、思い詰めてしまう夫もいる。川崎夫妻はどのようにして乗り越えてきたのだろうか。


私が愛するヴィンテージ腕時計が与えてくれた心の余白

私が愛するヴィンテージ腕時計が与えてくれた心の余白

ヴィンテージ腕時計についての、ロマンを感じる物語をお届けします――。新しい生き方、働き方「パラレルライフワーク」を実践する中里 彩(なかざと あや)さんによる、生き方・働き方をテーマにした連載。第3回目の今回は中里さんが身につけている、思い入れのあるヴィンテージ時計について綴っていただきました。


秋肌に透明感を! 大人のくすみ対策プログラム【美活手帖#7】

秋肌に透明感を! 大人のくすみ対策プログラム【美活手帖#7】

夏が残していった紫外線ダメージ。秋が連れてくる無慈悲な乾燥。そして、カサカサどんより冴えない肌。さあ、悩めるくすみ肌をいたわり、透明感を取り戻すお手入れに注力する時がやってきました。ご用意したのは6つのメニュー。脱ぐ、満たす、補う、包む、巡らせる、うるおす。肌とじっくり向き合って、効果的にお手入れを組み合わせてみて。


クリエイティブは「自分が好きなことをできる場所」から始まる【ジルデコchihiRo×中山シェフ対談】

クリエイティブは「自分が好きなことをできる場所」から始まる【ジルデコchihiRo×中山シェフ対談】

ジャズバンド「JiLL-Decoy association」のボーカルを務めるchihiRoさんがホスト役となり、同じく「ものづくり」に携わる方を招き、ものづくり、クリエイティブをテーマに語らう本対談企画。第2回では、フランス・パリの名店「Restaurant TOYO」のオーナーシェフ、中山豊光さんをお招きしました。


女性として、母として気になる衆院選。1票の重みを感じながら投票に行く【わたしの選挙#1】

女性として、母として気になる衆院選。1票の重みを感じながら投票に行く【わたしの選挙#1】

10月22日に投開票される第48回衆議院議員総選挙。選挙ポスターに込められたメッセージ、同じ女性であり、中には母親業と両立する候補者の活動が気になる、という木村えりなさん。自身も働く女性で、ふたりの娘さんのお母さん。今回の選挙をどう見て、考えて、政治を通じてどんな未来を望んでいるのか。率直な思いを綴っていただきました。