日本の夏って寒いですよね。長袖スーツに靴下と靴を履いたおじさんたちが汗だくにならないように、建物に入ればエアコンがガンガン効いている。多くの女性を悩ませる「冷え性」、いろいろな不調の原因と言われています。しかし「冷え」というものに科学的根拠はありません。根拠のない「○○は冷えが原因」説には惑わされないようにしましょう。
恋愛をしていないとヒゲが生える?ーホルモンの名を借りたセクハラー
女性ホルモンが減るとヒゲが生えるんですか?生えません!ちょっと前に「恋愛から遠ざかっていたらヒゲが生えてきた39歳女性」が主人公の連続ドラマがありました。このドラマはジョークですが、恋愛やセックスと女性ホルモンの分泌を結び付ける発想はセクハラにもつながりかねないので気を付けて下さいね。
前回は「冷え」についてのよくある誤解について書きましたが、今回はホルモンについてのよくある誤解について書きたいと思います。
ちょっと前に「恋愛から遠ざかっていたらヒゲが生えてきた39歳女性」が主人公の連続ドラマがありました。すると、とある女性誌がそのドラマに関連した特集を組むことになり、私に取材に来られました。詳細は覚えていないのですが、「恋愛をしていないとヒゲが生える」のはどういうホルモンバランスによるものかということをきかれました。
「えーっと、そもそも、恋愛していなくてもヒゲは生えてきません」
と企画そのものをゆるがす発言をのっけからせざるを得なかったです。だって、事実ですから。
話によると、
恋愛をすると女性ホルモンが出る
↓
恋愛をしていないと女性ホルモンが出ないので、相対的に男性ホルモンが多くなる
↓
ヒゲが生える
という説があり、それをもとにした企画だったようです。
実際には恋愛をする・しないが女性ホルモンの分泌量に影響を与えることはありません。逆に性欲を司る男性ホルモン(テストステロン)は恋愛初期に増えるという研究があります。でも、ヒゲは生えませんけど。
その他にも「セックスをすると女性ホルモンが出てきれいになる」「男並みに仕事をバリバリしているとヒゲが生える」などもっともらしい俗説がありますが、事実ではありませんので是非覚えておいて下さい。
そもそも、恋愛やセックスと女性ホルモンの分泌を結び付ける発想はセクハラにつながりかねないと思います。「ずっと彼氏がいないと早く更年期になっちゃうよ」とか「最近肌荒れてるみたいだけど、ご無沙汰なんじゃないの?」とか。実際に性欲もないし恋愛も求めていないのに、「女性として現役でいるためにセックスしないといけないんじゃないかと思って」とあせりを感じている女性の相談もよく受けます。別にそんなことしなくても、淡々と卵巣は働いてますから!
恋愛やセックスのときに分泌されるのは女性ホルモンではなく、別のホルモンや脳内物質です。しかも、人体や脳は非常に複雑で、数種類のホルモンや脳内物質で恋愛やセックスが何たるかを解明できるものではありません。デフォルメして理解した気になりたくなるのは分かりますが、巷にあふれているエセ科学のようなものは「レクリエーション」として楽しむだけにしておいてくださいね。
前回の記事↓
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前回の「恋愛をしていないとヒゲが生える?」をツイッターで告知した時に「恋愛やセックスで女性ホルモンなんて出ないのに、美容と結びつけて女性誌で煽りまくった結果、恋愛やセックスをしていない人を不安に陥れているのは罪です」と書いたら900以上もリツイートされて驚きました。そんなにみんな恋愛やセックスで女性ホルモンが分泌されると思っていたということでしょうか。
テレビや雑誌でも「女性ホルモンを増やす」「女性ホルモンでキレイになる」というキーワードを見かけることが多くなりました。実際に、女性ホルモンをアップさせるやり方はあるのか、増えると身体にどういった影響があるのか……産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に「ホルモン」についてのお話をお伺いしました。