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布ナプキンで「子宮が温まる」「生理痛が減る」は眉唾

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月経時に布ナプキンを使うと「生理が軽くなる」「子宮が温まる」「出血量が減る」などの効果が期待できる、と信じている女性たちがいます。Web上には布ナプキンの作り方や洗い方などの情報がズラリ。でも、その効果って本当? それとも眉唾? 宋美玄先生が解説します。

布ナプキンで「子宮が温まる」「生理痛が減る」は眉唾

「自然派」な人たちの間で人気の布ナプキン。化学繊維でできた通常のナプキンでなく、コットンでできた布ナプキンをあてることで、肌触りが良くなる、かぶれにくい、というメリットは考えられます。ところが、気になるのは、布ナプキンを使うことで「生理が軽くなる」「子宮が温まる」のように信じている人がいること。


これって本当なのでしょうか。月経は受精卵が着床するためにスタンバイしていた子宮内膜というふわふわの組織が剥がれ落ちることで起こります。月経による痛みは、子宮内膜が剥がれ落ちたときに出るプロスタグランジンという物質と、それによる子宮収縮によってもたらされます。

■「布ナプキンで痛みや出血量が減る」は眉唾

生理用ナプキンは膣の外側にあてるものなので、子宮の中で起こることとは無関係です。なので、布ナプキンで痛みや出血量が減ると言われると「眉唾」ですね。


(補足)
通常のナプキンを有害だとしたい人たちは、それが石油からできているため、高分子ポリマーや有毒物質が皮膚から吸収されるとかいろいろ言っていますが、化学繊維でできた洋服も肌に触れますし、高分子ポリマーは分子量が高すぎて皮膚から吸収されるということはありません。
ちなみに、通常の皮膚よりも膣粘膜のほうが、高分子ポリマーや有毒物質を吸収しやすいからナプキンは危ないとネットに書かれているのも見ましたが、ナプキンが触れるのは外陰部であって膣粘膜ではありません。それに、そもそも「石油からできた有毒物質が〜」というのは経皮毒というデマ(有名)ですから。


しかし、「生理が軽くなる」と言われるとそれは主観なので、そう感じる人がいてもおかしくありません。


■月経コントロールや布ナプキン信者の「独自の理論」に振り回されないで

前回のコラム「昔の人はできていた……のか?「月経血コントロール」を検証する」では、骨盤底筋(正確にはそのうちの恥骨直腸筋)を締め続けても、月経血はぴったりと膣の中にとどめておけないし、恥骨直腸筋を締め続けても体にとって良いわけではないということを書きました。


主に「そうだったのか! なんかおかしいと思っていたのでスッキリした」と言いとても大きな反響をいただきましたが、「月経中に骨盤底筋を締めるようにすると生理が軽くなるのを実感する」との声もありました。


「今までと違って体のことを考えた生活をしている」という意識がプラセボ効果を生み、痛みが軽く感じられることはあるでしょう(月経コントロールにしろ布ナプキンにしろ、月経困難症は変わらなかったという声の方が圧倒的に多かったですが)。


頻繁にトイレに行くようになったり、外陰部にあてるものによって経血の見え方が変わるので、経血が少なく感じるかもしれません(騙されたと思って月経カップを使ってみるとわかるのですが、カップで経血量を見える化するとびっくりするくらいちょっぴりです。ナプキンにべっとりつくとあんなに多く感じたのに)。


ですから、使うアイテムによって月経を「軽い」と感じることはあるかもしれませんが、月経コントロールや布ナプキン信者の「独自の理論」は医学的・生理学的に正しくないということは知っておいてほしいです。


■「コットンのナプキンで体や子宮が温まる」も誤り

コットンのナプキンを使うと体や子宮が温まるということを謳って布ナプキンを販売しているところもあるようで、大変驚きました。コットンが温まる素材? コットンは冷えるからNGというのは登山家の間では常識です。コットンは一度濡れるとなかなか乾きません。濡れた衣類は触れている体から体温を奪い続けます。


以前、屋久島を一泊で縦走したときに、ガイドさんの指示をちゃんと聞かずにコットンのタンクトップとパンツで行ってしまい、汗で濡れた下着が冷たくて冷たくて非常に辛い思いをしました。もっと寒冷地のネパールのエベレスト街道をトレッキングしたときは、化繊とウールで暖かく過ごしました。


コットンが体を温めるという人は、コットンの下着を着て標高6000メートルのエベレストベースキャンプに行ってみてください。凍えて命を失うことになるでしょう。


生成りのコットンの見た目が暖かいイメージであることから信じてしまう人もいるかと思いますが、そもそも人間は恒温動物で子宮は骨盤の一番奥の暖かい場所にあって冷えませんので、変なセールストークを信じないようにしましょう。


ゴミが出ない(持ち歩きは不衛生ですが)、かぶれにくいなど、良い面もある布ナプキンですが、信者によってありもしない体のメカニズムと効能が広められていることは大変残念です。こちらのコラムを参考に正味のメリット・デメリットを踏まえて、使うかどうか決めてくださいね。


昔の人はできていた……のか?「月経血コントロール」を検証する

https://p-dress.jp/articles/2427

「昔の女性は月経血を膣に溜めておき、トイレでまとめて出していた」といった言い伝えを聞いたことがある方もいるのでは。でも、それって本当? 実現可能なの? できていたとしても、果たして体に良いの? 宋美玄先生が検証します。

子宮に優しいのはどんな生活?

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ピルやミレーナなどを活用し、排卵をなくしたり、月経を軽くしたりというと「自然な状態ではない」と感じる人もいるのでは。でも、そもそも毎月の月経こそ、内膜を作っては剥がして……と、子宮を酷使している状態。本当に子宮に優しい生活ってどういうもの? 宋美玄先生が解説します。

産婦人科女医に「月経がない」理由

https://p-dress.jp/articles/2100

月経=1週間ナプキンをあて続ける生活、はあたりまえではありません。月経のない暮らしや月経があっても出血量が少ない産婦人科女医たち。彼女たちは一体どうしているの? 宋美玄先生が解説します。

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宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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